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アンソロジー   「Story Seller 3」(新潮文庫)

アンソロジー   「Story Seller 3」(新潮文庫)
 沢木耕太郎がカウンターで寿司を初めてつまんだのは20代のときだ。
編集者に連れられて行った神田の「鶴八」。私は神田「鶴八」は知らないが、分店が新橋駅前のビルにあることは知っていた。東京の寿司の名店紹介の本によってだ。
 「すきやばし次郎」「水谷」「美家古」と並んで「鶴八」もあった。新橋の近くには勤めていた会社の取引先があったので、東京出張のときには「鶴八」で寿司をたべてみたいといつも思っていた。
 そしてある昼時、「鶴八」に入った。当時、私の住んでいた田舎の街では、高くても特上握りが2000円。並は900円だったので、いかに老舗といえ、5000円もあれば食べられるだろうと思い、お茶をだしてくれた小僧さんにそっと尋ねたところ、昼は安くなっていて、おまかせで1万円との答え。ショックで「また来ます」と言ってあわてて飛び出たことを思い出す。
 ボーナスをもらって間もないころ、出張があり、今日こそはと一万円をにぎりしめ「鶴八」に行った。昼時は混みそうだったので、11時30分に行ったところ店の開店は12時からとのこと。寿司を頭に浮かべてよだれが垂れるほど空腹を覚えていた。我慢しきなくて近くの大衆食堂で煮魚定食を食べてしまった。
 それから全く寿司の名店とは縁が切れた。カウンターで食べる寿司は我が家の近く。心優しい同い年の大将が握ってくれる。居心地は実によいが、正直寿司はあまりおいしくない。

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| 古本読書日記 | 20:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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