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三浦哲郎   「愁月記」(新潮文庫)

三浦哲郎   「愁月記」(新潮文庫)
背骨というか、土台ががっちりしている短編小説集。久しぶりに落ち着いた作品を味わった。
ママでなく母、パパでなく父、ばあちゃんでなく祖母、ねえちゃんでなく姉と表現される小説。東京と青森。離れて暮らしている。普段の交流はほとんどない。それでも、何かで会えば、姉弟になり、叔母になる。
今の作家が描けば、ぐらぐら揺れて土台からこわれそうになる、母の死や愛犬の死が、少しはざわめくが、土台が頑丈ゆえ、少しの漣がたつだけ。
たたずまいが実に静かで落ち着きがある。
それにしても番傘は今はどこへいけば手に入れることができるだろう。この小説では浅草に専門店を偶然みつけ手に入れる。昭和60年ごろ、値段は1万2千円。今ではもっとするだろう。油紙の匂いと、たえまなく雨音をはじく音がなつかしい。
そう言えば、昔の家はトタン屋根の家が多かった。トタン屋根の雨音をはじく音も大きかった。

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| 古本読書日記 | 15:23 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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