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沢木耕太郎  「冠」(朝日文庫)

沢木耕太郎  「冠」(朝日文庫)
アトランタオリンピックのルポである。阿川佐和子が解説でこの作品を絶賛している。
何にでも顔をだす八方美人キャスターだ。
しかし、私にはこの作品は沢木のなかでもできの良くない作品だと思っている。まず、沢木はテーマを決め、それに向って飽くなき追及、調査、思考、分析を繰り返し作品を創造する。しかしこの作品は雑誌社に依頼され、テーマ、目的なく書かれた作品である。更に、FIFAと同様、極端に商業化され、腐敗しきったIOCとオリンピックに嫌気がさし、未来は無いと断じている沢木の想いがそこかしこに顔をだすし、取材、ルポに全く情熱を感じさせないからである。
 どこかで読んだが、IOCの会長や幹部たちは、無給でボランティアだが、彼らは、4つ星ホテルのスウィートルームを使うどころか、住居にしている人もいるそうだ。使いきれないお金の海にアップアップしているのである。
 この作品でもびっくりしたのだが、開会式、閉会式の入場料が630ドル。これは余程
かぶりつきのスーパーシートだと思ったら、最も会場の端のてっぺんの席だったそうだ。水泳も150ドルだった。
 驚くのは、閉会式がアメリカの独占放映権をもつNBCの要請に応えて、CMタイムに進行がポチリ、ポチリとストップすること。
 サマランチがIOC会長になり、強引に自分の地元のバルセロナでオリンピックを強行させた。そして私はひねくれやになり、オリンピックに関心がなくなり、テレビでみることは無くなった。

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| 古本読書日記 | 19:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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