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篠田節子    「妖櫻忌」(角川文庫)

篠田節子    「妖櫻忌」(角川文庫)
男性作家は文体や、考え方、思想、或は、格好、こう書けば読者は面白がるだろうと、どこか読者を客体視して作品をかく。何となく一見ニヒルである。女性作家もそういうところが決して無いとは言わないが、もっと直截的でよくぞそこまで書くものだ、何か深く得体が知れない業が書かせているようなところがある。恰好、形を遥かに凌いでいることがある。
 この作品の女流作家大原鳳月。手術により子宮だけでなく膣まで除去される。もう性行為ができない体となる。それが反動になるのか、強烈に男を求め、男に執着、執念が心にわきあがる。そして、ある著名な若手演出家とともに、火事で亡くなる。そこから物語は始まるのだから、大原は当然登場しないはずなのだが、全編大原がじっとりはりついた物語になっている。
 大原の怨念、執念は弟子の作家若桑律子にのりうつる。そして、大原の業をあますところなく律子に書かせようとする。死んでもなお、作品を残そうとする大原の凄まじい執念が
若桑律子により実現する。
 この執念、物を書くエネルギー、若桑律子がいつのまにか篠田節子の姿に重なってくる。

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| 古本読書日記 | 18:27 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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