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篠田節子  「夏の災厄」(文春文庫)

篠田節子  「夏の災厄」(文春文庫)
これは凄い小説である。
90%はきっと篠田が細密に調査した事実を駆使して、残り10%は篠田が作り上げた架空物から成り立っている。だから、恐怖、パニックにリアリティがある。次に主人公らしき人たちは登場するが、こいつがという人はでてこない。塊と塊が戦いあう。
 それにしても、権威ある病院が、昭川市で発生している奇病を日本脳炎と誤診断をすると、
症状が日本脳炎とは異なりそれは違うのではという疑問が一部にでるものの、役所、医療機関は日本脳炎として一糸乱れぬ対応をとる。
 日本脳炎は蚊が媒体し伝染するが、その奇病はまだ蚊が出始めの5月に発生、また家畜など動物が日本脳炎にかかるはずなのに、どの家畜を調べてもウィルスは発見されない事実が次々現れるのに、全く顧みられない。走りだしたらまっしぐら。
 役所も何だか原因がわからないより、日本脳炎と断定してくれたほうが、対応がとりやすい。だから、真実は葬り去られ、恐慌状態に突き進む。
 本当に、先送り、事なかれということがどれほど恐ろしいことなのかがこの小説で明らかにされる。

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| 古本読書日記 | 06:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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