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福井晴敏  「終戦のローレライⅠ」(講談社文庫)

福井晴敏  「終戦のローレライⅠ」(講談社文庫)
この小説には、その通りと思わずうなずいてしまう非常に重要な場面がある。
大戦末期の潜水学校で先生をしている絹見が、すべての講義が終了した直後、黒板に「帝国海軍潜水艦戦備の誤り」と書く。そして生徒に問う。「誤りとは何か」と。
 戦争中である当時、海軍に誤りがあると思う者などまったくいないから生徒は度胆を抜かれるし、なかなか答えようがない。
 それでも、生徒の一人の発言から誘発されるように、意見がポツリ、ポツリとでてくる。
それに対し、絹見は何の指摘もしないで、ただ見守っている。
 最後になり彼は言う。
「事実を見据え、問題点を拾いだし、可能なら改善方法を探れ」と。
私も、戦争を回避し、平和を維持する方法はこの絹見の言葉に尽きると思う。
事実を見据えないで、誰もが反対できないようなスローガン、戦争反対、平和を守れ、子供たちの未来に平和をなどと叫ぶ人たちが権力を持つことこそ最も戦争に近付くことだと思う。こういう人たちは、権力をもつと平和のために今こそ戦えとか、反動主義を殲滅せよと豹変する資質を有している人たちだ。
 どんなに恰好悪くても、苦しくても、事実を見据え、課題を拾い出す姿勢が重要であることを、作家福井が教える。

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| 古本読書日記 | 05:50 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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