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中村文則  「掏摸」(河出文庫)

中村文則  「掏摸」(河出文庫)
こういう小説は私にとってはいやな小説だ。読者をどことなく馬鹿にしている。
何でこうなるの、どうしてそうなるの、と考えてはいけない。人間世界など矛盾と混沌のなかにいるのだから理解などできない。正しいのは支配と被支配があり、どんな人間でも必ず死ぬことだけがこの世界にはあるのみ。虚無ニヒルを認識しろ。わからない奴はレベルが低い。わかるやつだけが読んでくれればいい。
 こういう小説を書くと、必ずしたり顔をして絶賛する輩がでてくる。何か自分だけは高級知識人の世界にいると思い、普通人を馬鹿にする輩。
 イスラム国に生存していて、眼前に支配者がいて、そいつの発した命令に従わないと、自らが殺されることが絶対という世界だと、この話はリアルに読者の目の前に現れる。
 しかし、時々支配者なる人間が現れ、どうして彼がそんな全能の支配力を持っているのか裏付けはなく、命令があればそれを完璧に実行しないと、命令を受けた者は抹殺されるだけでは、読者は全く納得しない。
 多くの人たちがなるほどと納得できる内容にすると、作品の価値は落ち、大衆小説になる。馬鹿はいらないさとせせら笑っている作家中村がページの向こう側にいる。

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