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阿部和重  「ニッポニアニッポン」(文春文庫)

阿部和重  「ニッポニアニッポン」(文春文庫)
新聞やテレビが、森田都史君殺害事件を連日報道している。森田君を殺害した中村22歳はどんな奴人間かあれこれと週刊誌が暴きたてている。この本を読むとどことなく中村という人間の形成過程がわかるような気になる。
 絶滅してしまった日本のトキ、このトキを中国からもらいうけ、自然交尾に挑戦し、繁殖させてみようというプロジェクトが始動する。ニッポニアニッポンはトキの学術名である。
 引きこもりである主人公は、中国種を交配させたって日本トキにはならないと憤慨する。
それからトキについて、徹底的に調査をする。それがすべてネットで。次々、情報は深く広がる。朝から晩まで、眠ることも厭い、ひたすらトキについて情報を得ることに集中する。情報はどれほどとってとりつくしても、留まることはない。
 そして、トキ保護センターに忍び込み、ユウユウを殺害しようと思うようになる。そのユウユウがなぜ憎いのか。ユウユウは中国からつれてきた番のトキから生まれて二か月。そこにミンミンというトキを中国から譲り受け、ユウユウとミンミンと交尾させる。これに成功。その姿をネットが伝える。主人公は25歳の今まで、性体験などなかった。女性との付き合いらしいこともない。それなのに絶滅品種であるトキが出会った数日後から交尾をはじめる。ものすごい差別と嫉妬をユウユウに感じる。これが殺害動機。
 すごいのは、佐渡の両津港から保護センターまで何を使って、どういう道程でゆくかを
ネットを駆使し調べ決めるまでに2か月をかけるところ。
 ネット 妄想、ネット、妄想が知らないうちにネット、真実、ネット、真実に変化している。その過程が恐ろしいほどリアルに描かれている。森田君殺害の中村もくりかえす妄想がこれは真実であるに変化していったのだろう。

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| 古本読書日記 | 05:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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