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米澤穂信  「追想五断章」 (集英社文庫)

米澤穂信  「追想五断章」 (集英社文庫)
この作品で知ったのだが、リドルストリーという形式の小説がある。この小説は、最後の結末は書かずに、読者にあれこれと想像させる形式の小説である。芥川龍之介の「藪の中」がそのタイプの小説。
 米澤の発想がユニークなのは、北里という殆ど無名の作家の娘が、北里が書いたリドルストーリーの掌編5作品の結末だけを持っていて、それぞれの結末に対応した本編を探すという逆転の発想で物語を作っているところである。
 多分この物語は昔「ロス疑惑」という世間を大騒ぎさせた事件があり、犯人ではないかとされた三浦という男が、お喋りで、これでもかというくらい事件に関する情報を提供、マスコミのみならず、一般人まで、事件の真相はこうではないか、ああではないかと言い合ったことをヒントに創ったように思う。
 米澤は、読者が(一般の人が)当然想像できるような2つの推理を提供し、さて真相はどちらであるかと、本編が発見される都度、読者を翻弄し物語に引き込ませる。この辺りは実に巧みだ。そして、とことん読者を引き込ませた後、とんでもない真相を暴露する。
 面白いし、真相も納得いくし、何よりも真相により物語も深くなっている。読者を読ませ楽しませ、素晴らしい作品になっている。

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| 古本読書日記 | 11:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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