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山本甲士   「戻る男」(中公文庫)

山本甲士   「戻る男」(中公文庫)
八木という男から、主人公のところに過去にタイムスリップしてみないかとの誘いがかかる。今の自分や世界を変えることはできない。そして、あの時ああしとけばよかったなんてことはできるという。但し今の自分の状態や世界を変えることはできない程度にだ。半信半疑だったが、主人公はその話にのる。一回目は、小学校のときいじめにあい暴力をふるわれたとき、あのとき振るわれるばかりでなくやりかえせれば、ということでタイムスリップをしてやり返す。2回目は大学のとき彼女に振られたが、逆に主人公のほうから振ってやりたかった。それもできた。
 最後は、忘れてしまったか曖昧な記憶を八木から持ち出される。中学校のとき、池に落ちた子供をみていただけで救ってやれなかった。そういえばそんなことあったかと主人公は思う。八木が言うそれを救ってやったらと。そして見事に救い、新聞に載るわ、学校で表彰されるわ。えらい評判となる。
 主人公は考える。自分が過去を変えたのだから、それに関わった人も過去が変わっていなければいけないと。それで、苦戦はするが、何とか関係者を探し出し過去が変わったかどうか確かめる。不思議なことに、一回目、二回目は関係者の過去は変わっておらず、三回目だけが変わっていた。
 種明かしは後半を過ぎてなされる。種明かしがさらりとなされれば、それなりに面白い作品になったであろうが、その前置きがやたらと長く、小説がえらく間延びしてしまった。
 作家がよく陥る失敗である。調べたこと、知っていることをすべて書こうする。だれかが言っていたが、小説には調査したことの5%程度を書くことが一番良いと。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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