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山本周五郎  「夜明けの辻」(新潮文庫)

山本周五郎  「夜明けの辻」(新潮文庫)
この作品を発表した「新国民」という雑誌がどんな雑誌か知らないが、この作品は無理があり、ある意図があり、かなり違和感を持つ。
 解説がまったく頓珍漢なことを言っている。伊兵衛と道之進との友情を縦糸に、佐和と道之進の愛情を横糸にした力強い青春小説であると。
 この作品には知識人として山縣大弐という人物がでてくる。山縣大弐の講演を聞き、また直接話をした伊兵衛、彼の今までの人生観が変わり新しい人生観を持つ。それが道乃進や佐和にも影響を与え、道は険しくても、山縣の思想の実現に邁進するというところで終わる。
 この思想が、本当の主君とは誰かという問いに対し、当然江戸時代であるから、藩主であり、更にその上の徳川幕府ということになる。しかし、山縣は徳川は朝廷から任じられている将軍であり、あくまで主君というのは朝廷であるという。そして、自分の命をささげるのは朝廷、天皇であると。
 作品は昭和15年に発表されている。時代や国家が求めているものを考えざるをえない。周五郎は、人民は天皇を崇め、天皇のために身命をささげろと言っているのである。大作家はこんな作品を書いてはいけない。少なくても沈黙していなくては。後味が悪い作品である。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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