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森史朗  「松本清張への召集令状」 (文春新書)

森史朗  「松本清張への召集令状」 (文春新書)
作者の体験やみたことをモチーフにしてできあがった作品が清張のなかにもたくさんあることを森のこの作品で知った。
 名作「遠い接近」の主人公山尾信治は清張を映している。山尾は30半ばを過ぎ、家族6人を養っている大黒柱。若者が彼の住む町にはたくさんいたのにも関わらず、戦争末期突然召集令状をもらう。彼のような年代のものには令状はこないのが普通なのに。戦争末期の令状はそのまま戦死に直結する。
 大黒柱を失った山尾一家はやむなく親戚をたどって広島に居を移す。そこで原爆にあい全員死ぬ。もし、令状がこなければこんな悲劇は起こりえなかった。朝鮮から帰還した山尾は、令状がどのようにだされたか追及をはじめる。
 赤紙は町に割当枚数がくる。それを役場の係員が適当に人選して決める。ここに恣意が働く。召集を忌避したい人間は、賄賂やいろいろ便宜を係員に働きかける。だから割を食う人間がでる。係員の恣意により戦死する人間がでる。
 清張は32歳で召集される。一家6人を残して。そうか、山尾は清張なのか。そう思って読むとこれは本当に奥行のある作品となる。
 ところで清張の作品はタイトルと作品内容と結びつかないものが多々ある。「砂の器」はその典型。連載を予定していた読売新聞から、宣伝をするからタイトルだけでも欲しいと言われた清張。まだ何も作品の構想ができていない。「砂は指の間からこぼれる。はかなさ切なさを表現している」。でなにを書いてもあてはまるタイトルとして「砂の器」でいくと答えた。

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| 古本読書日記 | 06:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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