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松本清張 「延命の負債」 (角川文庫)

松本清張 「延命の負債」 (角川文庫)
短編集。本のタイトルになっている「延命の負債」以外は、殆ど昭和30年前後の発表された作品。まだミステリーに入っていない時代。文学の香がプンプンしている作品ばかり。
このころの清張が一番好きだ。
 なかでも「賞」と「いきものの殻」が秀逸。
「賞」。実力、能力もないのに間違ってまだ二十代で学士院賞を得た粕谷。そこで自分は偉いと錯覚した粕谷。自らが信じている偉さと実際世界の評価がどんどん乖離、拡大する。結果30年後のなれの果ての哀れさがくっきりと描かれている。
 「いきものの殻」。一流会社を部長で定年退職した主人公。わだかまりもあるし、でかけていやな思い出ばかり背負って帰ってくるからもうやめようと思うのだが、会社退職者次長以上のOB会の案内がくると欠かさずでかけてしまう。重役には手が届かなかったが部長になったプライドがある。だからいつまでも会社をひきずっている。
 彼が部長時代、小石という課長が最も信頼していた部下だった。会で気詰まりになったので小石をもうでようと言って誘った。小石とタクシーにのり銀座で飲もうと言った。それまでは絶対服従だった小石が、用事があるからといってタクシーを途中でおりた。ポツンとあいた隣の席に言い知れぬ寒気が漂っている。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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