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有吉佐和子  「ほむら」(文春文庫)

有吉佐和子  「ほむら」(文春文庫)
平成も26年にもなって、まだ有吉の新刊文庫本が出版されるとは、びっくりした。有吉はいまだに多くの本が復刊されている、清張と並び、人気が底堅い作家である。
 有吉の面白さは何ていっても長編にある。考える前に、口から言葉がでてしまっている。そんな女性を描かせたら天下一品。普段の有吉そのままがでているように思え微笑ましい。
 この本は短編集。それも初期の作品を集めている。短編では有吉の味はなかなか発揮されない。後の名作長編のための習作集の趣である。
 本のタイトルにもなっている「ほむら」。老女が住む小庵に、一人の僧がたどり着き住みつく。女犯のかどで、寺を追われ放浪していた僧。放浪時も廓の女を相手の女性狂いを続ける。そんな僧だが、流石に老女には興がおきない。老女、自分は女である意識がまだあり、僧の態度が憎い。まよという下女が小庵にはいる。離れの土蔵に住まわした僧に食事の世話をさせる。
 僧は女犯の衝動から脱却するために、決して下女とは顔をあわさない。それから10年、まよが20歳になったとき、ちょっとした操作を老女がして、まよと僧が初めて顔をあわせるようにする。
 そのとき老女は、ごはんをよそおいながら、僧に体ごと飛び込めと、まよに命令する。
 その瞬間僧はもうここにはいられないと、また放浪の旅にでる。怒り狂った老女は、土蔵に火をつけ燃やしてしまう。有吉の以降の長編の原点をみるようだ。

| 古本読書日記 | 06:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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