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池井戸潤  「シャイロックの子供たち」(文春文庫)

池井戸潤  「シャイロックの子供たち」(文春文庫)
銀行の小規模支店が舞台。パワハラ全開の副支店長がいる。理屈、道理は通らず、成績があがらない行員には、人間性まで否定して、人前で徹底的にいたぶる。ある行員がそのいじめに理屈、道理で反逆。まともに答えることのできない副支店長が、かっとして拳を顔面に殴打する。行員は倒れ血を流し一旦家に帰るが、その後入院をする。一気に副支店長はピンチとなるが、殴打された行員が退行となり、絶対的ピンチを逃れる。それで少しは反省して態度が変わるかと思うが、そうはならず今もパワハラ全開中。
 こんな副支店長がいる小さな支店は、当然雰囲気はよくない。支店長は、本部ばかりに目がいく。達成不可能なノルマを本部は支店長経由で行員におしつける。しらける行員もいるし、諦める行員もいる。上役に食ってかかる行員もいる。早くこんなちんけな支店を脱出しようと画策する行員もいる。副支店長や上席は、ちょっとした不祥事が起きると、できる限り他人にその責任を負わせるように腐心する。まあ。とにかく勝手バラバラ。
 不満だらけ、諦めの境地の個人には、ふっとした悪い誘惑、危険な悪魔がはいりこんでくる。それが、悪のスパイラルに人生を陥れ、奈落の底につきおとす。
 忘れられている銀行の小さな支店は、切なくわびしい風が吹き抜けている。

| 古本読書日記 | 06:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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