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伊坂幸太郎  「PK」(講談社文庫)

伊坂幸太郎  「PK」(講談社文庫)
3篇の独立した小説から構成されるが、それらは最後には一つの小説として完成される。完成までが複雑で、よくわからず読者にはモヤモヤ感を残したままになる。文は平易だが結構難解な作品であり私も伊坂の意図が理解できていない気がする。
 しかし鍵らしきものはわかる。
一作目の「PK」は、ワールドカップサッカーの予選の最終戦。まったく調子の悪かったFWの小津が、ドリブル突破をして、相手の選手の反則を誘い、PKを得る。PKを蹴るのは不調の小津。そのときの小津は蒼白で、絶望溢れる表情をしている。そこに友の宇野が何か声をかける。途端に小津の表情は一転し、顔は紅潮、自信に満ち溢れた態度になり、見事にPKを決め、日本のワールドカップ出場が決まる。
 それから11年後、ある大臣に初めてなった政治家がいる。政治家は今重要な決断をせねばならない分岐点にいた。そこで政治家は秘書官に命令する。あのとき宇野は何を小津に言ったのか。どうして小津が鮮やかに豹変できたのか。
 2作目の「超人」。
かの有名なノーベルは、生前間違えて新聞に「死亡記事」を載せられてしまった。その追悼文として「死の商人」として称されてしまった。ノーベルは死んだ未来に、人々が彼をどう評価するか死ぬ前に知ってしまったのだ。そこでノーベルは未来の評価を変えたくてノーベル賞を創設した。
 3作目が「密使」。
色々手がこんだ話になっているが、今ある世界は過去のどこかで、今があることを選択する分岐点があり、そこで今に通じているAの道を行くことを決断するか、Bを決断するかで、
今が異なる世界になる。結局Aを決断したから今がある。その今、不都合が多いのでその分岐点までもどってBを改めて選択して違った世界を作り上げる。まあ、およそこんな話。
 未来の在り様を決める、今が不満だから、過去にさかのぼり、今を変える。それができる人がいる。サッカーでの宇野は、きっとそんなことができる人間だったのだ。
 

| 古本読書日記 | 06:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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