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桐野夏生   「緑の毒」(角川文庫)

桐野夏生   「緑の毒」(角川文庫)
主人公と妻はどちらも医者。主人公は開業医、妻は総合病院の勤務医。主人公は妻が総合病院の救急医と浮気をしていることを薄々気付いている。その浮気は毎週水曜日に行われている。一人家で待つ主人公は悲しく孤独である。だから、その孤独のハケ口を近所のアパートの独り住まいの女性をレイプすることで紛らわす。
 この話では、主人公のレイプの証拠が早い段階で読者に提供され、犯人を追いつめていくミステリー感は他の桐野の作品より弱い。
 で、この作品で桐野が言いたかったのは、インターネット時代の恐ろしさである。
レイプされた4人は、インターネットですぐに結びつく。男の卑劣さ、人間としての汚らわしさを迷いながら語り合い、警察に言えない辛さを告白しあう。そして、4人で犯人を追いつめることを誓いあう。
 クライマックスの復讐、そこでもインターネットを使う。主人公が家をでたところで、主人公の映像をとりながら主人公がレイプ犯であることを叫ぶ。近所の人も集まってくる。そこも写す。
 しつこく、しつこく写す、叫ぶ、写す、叫ぶ。病院の中までそれが続く。
 写し叫ぶ度に、レイプ男の写真と叫び声をインターネットへ流し、瞬く間に世界へ拡散してゆく。主人公はなすすべもなく、奈落の底へ落下してゆく。

| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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