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恒川光太郎  「金色の獣、彼方に向かう」(双葉文庫)

恒川光太郎  「金色の獣、彼方に向かう」(双葉文庫)
まるで芥川の歴史、怪奇物を読んでいる雰囲気。恒川の作品は凡作が無い。文章が素晴らしくストーリーと完全にマッチしている。
 鎌倉時代、蒙古襲来があった。神風が吹きそれを退却させたというのが通説だ。この作品では違う。
 実は、蒙古は日本の実情調査のため、スパイ15名を旅楽隊という名で博多に送り込んでいた。その中に、対馬に住んで一家惨殺されたがそこから逃れた仁風という日本人と、蒙古によって壊滅させられた小国で孤児となった占術師匠鈴華という女性がいた。
 鈴華は蒙古に恨みを抱いていたので、謝という博多で一番の中国人権力者に蒙古がやってくることを折にふれ伝えていた。この謝を鈴華に紹介したのが日本人であった仁風である。
 蒙古は3万人の兵をひきつれ博多へ上陸し、家々を焼き払った。その後、兵糧を求めて家々を探索したが、何もでてこない。蒙古は日本を征服しながら食物を略奪するつもりだったので、食料は4日分しか用意していなかった。
 鈴華の情報により、すべての食糧が隠されたのだ。これでは蒙古軍は飢え死にを待つだけになる。攻め込んでも、退却しても壊滅する。
 こんな恒川の想像が歴史の真実であったと思わせる卓越した構成と文章がこの物語にはある。

| 古本読書日記 | 06:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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