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伊藤計劃  「虐殺器官」 (ハヤカワ文庫)

伊藤計劃  「虐殺器官」 (ハヤカワ文庫)
9.11テロから世界は大きく変わった。敵対する人間を徹底的に暴き出さねばならない。飛行機に乗るときは指紋をとられるようになったし、全身レントゲン写真まで撮られる。この小説の舞台はすぐそこの未来。物理的紙幣はほぼなくなっている。すべてはカードで収入支出が行われる。人々が犯罪を犯すと体にICタグが埋め込まれる。
 人々は、24時間どこでなにをしているか、コンドームをいくつ購入して誰とそれを消費したかまで把握されるようになる。
 それらの膨大などという言葉では表現できないほどの情報が刻々と集められる。これだけ人々の情報が丸裸されるとテロや紛争は無くなっていいはずなのに、情報を集めれば、集めるほどテロや紛争は頻発、増加する。
 集めることとそれを分析しテロや犯罪の危険を認識することとは異なるからだ。集めた情報の爪のあかの何千万分の一も使えず、情報は膨大なゴミとなる。
 情報を集めたり、分析したりする技術が革新的に進化することは、地球規模で、思想、行動様式の統一した人を探し、集めることを可能にする。ポツン、ポツンとまばらに点在する人間を集団化することが容易にできる。そして、集団間での争いがあっちでもこっちでも起こるようになる。テロもどんどん増加する。
 集団は強固どんどんなり、集団そのものが一つの生命体に変わる。そうすると、そこに属する人間は、生命体の一部の機能と化す。ハチが自らの命と引き換えに、集団を守る。そんなことは自然界には普通のようにある。集団化した人間の塊がハチの集団に変化する。

| 古本読書日記 | 06:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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