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恩田陸  「月の裏側」(幻冬舎文庫)

恩田陸  「月の裏側」(幻冬舎文庫)
人間になる前の生き物は、水の中で暮らしていた。それが、変化なのか進化なのかわからないが、水をでて陸へ上がった。水の中では、考えも感情も行動も、相違がなくすべて一緒だった。
時々我々は、一瞬意識を失うときがある。ふと気が付きあれ今のはなんだったと不思議な思いにとらわれるときがある。それは、人間が本来の水中に戻ったときかもしれない。水の世界に郷愁があり、時々戻ってみたいという潜在的思いがあるために起こる現象かもしれない。
 人間の祖先が、陸に上がったとき、苦難が待ち受けていた。意識、思いがバラバラになったのである。そこにそれぞれの個性が生まれた。何も考える必要もなく、仲間と同じ行動をしていればよかったのに、個性がでて、何かをやるには、相手と言葉を交わさねばならなくなった。調整や、説得が必要になった。それがうまくできなければ、争い、時には戦争に発展、殺し合いまでするようになった。行動を起こすことに、長い時間をかける話し合いが必要になった。
 個性の違いは人間の本質部分。それを薄めたり無くそうとして平和とか戦争の無い世界をといっても、なかなか本能を凌駕できない。会社や社会も、個性重視、能力重視などと言っているが、本音は水の中にいたころのように、皆が同じ意識、思いで協調しあって行動することを期待している。
 月の表側の異なった個性が本質である世界が良いのか、裏側の個性は無く、みんな平等で考え、行動がいつも同じ世界がいいのか。どうなのだろうか。

| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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