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池井戸潤  「ルーズヴェルト・ゲーム」(講談社文庫)

池井戸潤  「ルーズヴェルト・ゲーム」(講談社文庫)
本は読まれてこそ価値がある。いくら芸術的な文学であっても読まれなければただの紙切れと同じ。
 池井戸の作品は圧倒的に面白い。だから読まれる。きっぷがいい、けれんみがない。真っ向勝負の作品ばかりである。この作品も池井戸の特徴が存分に発揮されている。
 私が勤めていた会社には野球部があった。この本によると野球部には年間3億円のお金が使われるそうだ。勤めていた会社にも浮き沈みがあった。大きな赤字を計上し、何回かリストラという名のもとに、人員整理が行われた。そんなときいつもなぜ野球部を廃部しないのかという声が強く発せられていた。それはそうだ、やむを得ぬとはいえ、会社は何の罪もない社員に退職をせまる。そんなことをするのなら、3億円もかけている野球部をまずなくすべきだ。多分会社を自らの気持ちに反してやめた人たちの中には、会社にそう訴えていた人もいただろう。
 こんな時、野球をやっていた選手たちの想いはどうだったのだろう。辛かったろうなと思う。この作品には会社が傾きかけリストラを横でみている選手たちの苦悩がよく描かれており、なるほどあの時、勤めていた会社の選手たちもこんな状態だったのだとよくわかった。
 それでも、私の会社も野球部は廃止しなかった。会社が傾きかけたときは、jリーグが創設され、野球はダサク、もうだめではないかという風潮が全国にも蔓延した。都市対抗野球の観客席も観客は少なくなった。
 それでも、攻撃のときには、一斉に声をあげ、味方会社を応援。ピンチの時には、両手を目の前に組んで必死に祈る。この野球のリズムは企業の一体感、絆を作り成長させる。
 我慢の時代は去って、観客、応援席もたくさん埋まるようになってきた。苦境の時ほど
社員同士のその企業を愛し、信じる気持ちの強さが必要なのだ。社員こそ宝物と考え経営が行える企業こそが最後は生き残り発展すると池井戸はこの物語で訴えている。
 東京都市対抗最終予選のゲームの経過描写に池井戸は渾身の力をこめ、
30ページ以上を費やしている。実に迫力があり手に汗をにぎる。

| 古本読書日記 | 06:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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