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垣根涼介  「張り込み姫」(新潮文庫)

垣根涼介  「張り込み姫」(新潮文庫)
手放しに素晴らしい作品。リストラ請負人、村上真介シリーズ「君たちに明日はない」の3作目。全二作より物語の造詣が深く、人間を見つめるまなざしも鋭くなっている。どうしてこんなに変化したのかと思ったら、垣根はこの3作目を書く前に病気になり2年間休筆を余儀なくされている、そこで何かをつかんでいる。満を持しての復帰作。当然力もはいる。
 この本は4編の作品になっている。
私たちは、知らず知らずのうちに、自分の所属している組織、団体、(例えば会社とか、公務員とか、地域自治体とか、)のレンズを通して、人間を良いとか悪いとか評価してしまっている。
 しかし深く人生を考え、こよなく人間を愛しようとしている人は、同じタイプの人間に出会うと、その人がどこに属しているか関係なく、互いの琴線が触れ合い、ビビっと魂を揺さぶられあう。
 この短編集「やどかり人生」に登場する転職を繰り返す、会社組織にはなじめないようにみえる古屋、「みんなの力」に登場する自動車整備士宅間の鮮やかな飛躍は、人間をみつめる視線をどこにおかねばならないか読者に迫ってくる。
 久しぶりに小説を読んだという気持ちになり満足感が溢れた。

| 古本読書日記 | 06:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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