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乙一  「失はれる物語」(角川文庫)

乙一  「失はれる物語」(角川文庫)
短編集。ユニークなのは、本のタイトルにもなっている「失はれる物語」。植物人間のような状態になった、しかし頭は活動し、右腕の手のところだけが少し動かすことができる。こんな人間から、妻や医者がどうみえ、いつまでも死ぬことができないまま生きるとどういう心境に陥ってしまうか、新しい視点から物語を作っている。本当に乙一の発想は面白い。
 乙一がしばしば創り上げる物語の主人公は「しあわせは子猫のかたち」で表現されている。
「何かとかかわることが辛いのだ。だれにもあわなければ、ねたむことも、うらむことも、憤ることもない。最初からだれとも親しくならなければ、別れの苦しみをあじわうこともない。」
 しかし、こんな主人公は、どこか人との関わりを渇望している。その渇望がホラーの体験を連れてくる。そこで、恐れたり、苦しんだり、逃げ惑ったりする。そして、その体験を通り越すと、いつもの孤独で寂しい自分に戻っていることを認識する。
 孤独 体験 孤独の循環がどれもリアリティがあり乙一は大変な作家であることを認識する。

| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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