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重松清  「峠うどん物語」(上)(下)(講談社文庫)

重松清  「峠うどん物語」(上)(講談社文庫)
重松清  「峠うどん物語」(下)(講談社文庫)
うどん屋「峠うどん」は市の葬祭場の向かいにある。中学3年生淑子のおじいさんがやっている店だ。おじいさんは、すばらしい腕の職人だが、店は葬祭場の前にあるので、通夜とか葬式の前後にやってくるお客さんだけで、すべてが一元の客ばかり。
 このおじいさんとおばあさんを中心とした、人々との交流、その背景にあるずっと昔の悲喜こもごもの物語を重松得意の読者を感涙にむせぶ構成で描き出す。
 特に最後の交流物語「アメイジング グライス」は、おじいさんの唯一のヤクザになってしまった幼友達が亡くなり、その友達の約束に従って、友達の好きな「アメイジング グレイス」をかけながら、その場所に「予約席」の札をおいておく舞台は重松得意の設定で、読者を泣かすには十分すぎる。
 しかし、そのほかの物語はなぜ主人公の中学生が物語に登場する必要があるのかまったくわからない物語ばかりだ。中学生を登場させず、普通にかかわりのある人々のみを登場させ物語にすべきである。特に、街が戦争中に大きな空襲にあい、そこでの惨劇、悲劇を、平成生まれの中学生に目の前に起こった出来事のように語らせるのには白けた。
 重松は子供を描いたら日本一の作家と思っているふしがあり、その呪縛に捕われている。
そして、多分ずっとその呪縛から解き放されないような気がする。

| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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