FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

中村航 「星に願いを、月に祈りを」(小学館文庫)

中村航 「星に願いを、月に祈りを」(小学館文庫)

 この物語は言葉の物語だ。宇宙はビッグバンにより130億年前にできた。だから、宇宙の端にある星を眺めればビッグバンの様子がわかるはず。で、当然なのだがそのときには言葉はなかった。宇宙は限りなく大きい。でもひっくりかえしてみると、ちいさいものはこれも限りなく小さい。素粒子の小ささは手のひらを基準にすれば、ちょうど宇宙の大きさの反比例した位置にある。そう手のひらは大小の中間にある大きさなのだ。
 言葉はその中間にある本当にちっぽけな世界に生まれ、あやふやな過去とわからない未来の間をさまよっている。
 小学生は持っている言葉は少ない。デートなんかしても一言、二言の次の言葉がでない。でも、経験した冒険は強烈な印象になって人生をひきずる。そして思春期。中村の次の文章が印象に残る。
 「 『あーあ』 そのため息は、すべての中学生男子を代弁するように、空にはなたれる。
出口のない思春期の道を、二人はふらふら揺れるナックルボールのようにあるいている。」

| 古本読書日記 | 08:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT