FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

鮎川哲也 「灰色の動機」 (光文社文庫)

鮎川哲也 「灰色の動機」 (光文社文庫)
社会派ミステリーという小説は、清張や森村誠一あたりから作り出され、読者から喝采をもって受け入れられた。社会の歪や権力に立ち向かったり腐敗を暴く姿勢が、読者の目を開かせた。
 結果、ミステリーは、トリックの秀逸さは後ろに引っ込み、動機とかその事件の背景が主題となるようになった。そのことが、トリックの劣化を産み、中にはトリックが無いミステリー小説までも氾濫しだした。
 動機や背景に力がはいるから、やたらに長い作品が多くなる。それで推理場面が乏しいのでは、物足りなさを増幅させる。それで、本来の推理小説はどうだったか、再確認するために鮎川の本を読んでみた。結構虚をつくトリックがあり、その着想に感心した。
 旅館に例えば、田中と佐藤という2人が泊まる。もちろん宿帳には田中、佐藤と書かれる。しかし、旅館では、田中さんと佐藤さんの区別はせず、田中さんご一行ということになる。佐藤さんも田中さんと呼ばれるようになり、ここに人違いのトリックが生まれる。

| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT