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吉村昭  「長英逃亡」 (新潮文庫)

吉村昭  「長英逃亡」(上)(新潮文庫)
吉村昭  「長英逃亡」(下)(新潮文庫)
高野長英は江戸時代後期の医者であり蘭学者。長英活躍当時では、日本で最も優秀な蘭学者であった。日本で初めて、ピタゴラスやガリレオを紹介している。
この作品では、幕府の「異国船打ち払い令」に反対して捕まり無期懲役の刑を受けたが、非人であった栄蔵をそそのかし、牢屋に火をつけさせ、火事にして脱獄。そこから幕府につかまり自害して果てるまでの6年半の長英の逃亡を扱う。
 それにしても吉村はどうして長英逃亡記を書こうと思ったのだろうか。この作品を読んだだけではその意図が伝わってこない。長英、有名ではあるが、歴史上それほど著名というわけではない。
 長英の時代は水戸で起こった尊王攘夷が猛威をふるいだしたときである。黒船襲来前夜の時代である。鎖国を続けることが絶対だというとき、老中阿部、井伊大老は尊王攘夷を排して開国に踏み切った。
 長英の時代を吉村はしつこく描く。長英逃亡、シーボルト追放事件、杉田玄白、前野良沢の漢医から西洋医学への転換。大黒屋光太夫をはじめとするロシア漂流記。それによって
知る外国の進んだ文明。
 吉村は黒船は開国のきっかけを作ったのであると言いたいのだろう。それ以前に有名、無名の人々の開国への強い要請や、海外の進んだ状況を知るにつけ、開国は日本の発展のためには必須と幕府はすでに認識していた。
 吉村は明治維新への道は、長英の時代の人々が刻苦の末に切り開いたと言いたいのだと思う。


by はなゆめ爺や

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