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吉村昭  「暁の旅人」(講談社文庫)

吉村昭  「暁の旅人」(講談社文庫)
幕末、オランダの医官ポンペより実証的医学を学んだ松本良順の生涯を描く。
松本良順は司馬遼太郎も「胡蝶の夢」で描いている。司馬は悲劇であれ成功劇であれ、主人公を英雄的に際立たせる。そのために不必要な資料は読んでも無視する。また、結構史実とは無関係に頭のなかで物語を作り上げる。司馬の松本は、漢方医学を是としていた幕府に西洋医学取り入れさせたり、明治の医学界をリードした革命的先駆者として描かれる。
 吉村は史料をくまなくあたり、史実に沿い淡々と松本の実像を描く。
松本は医家の家に養子にでている。この医家は漢方医で有名で、幕府にも重用されている。松本はもちろん蘭医学を信望するが、養父や親戚をおもんばかり、蘭医学の採用を幕府にせまりはしない。むしろ幕府が緒方洪庵などの求めに応じて蘭医学を採用した、その後を松本は歩む。
 一見地味に見えるが、そんな悩みに右往左往しながら医学を前に進めていく吉村の描く松本のほうが司馬の松本より人間らしくみえ、シンパシーを感じる。


by はなゆめ爺や

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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