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吉行淳之介 開高健  「美酒について」(新潮文庫)

吉行淳之介 開高健  「美酒について」(新潮文庫)
吉行と開高が3夜にわたり、美酒、美食を源に、生きることの薀蓄を語りつくす。
吉行の人生は、病とそれによる手術の連続で彩られる。しかし、吉行の作品では、それが
壮絶な病との戦いのような描写にならず、実に日常の風景のように淡々と語られる。
 いつも微熱と体のだるさを感じながら、吉行はどう自分の持つ病をコントロールしてきたのだろう。ここを読み解けば吉行文学の神髄がわかる。
 この本の解説者は、吉行の妄想力により病気の身をコントロールしてきたと言う。うまいことを言うものだと感心はするが、少し違和感が残る。
 旅をしても、街を歩いても、そこで見る風景は、すぐに移り行き、幻影だけが残像として残る。酒の中に溺れ、女性をはべらし飲むひとときも、遊女の添い寝で夢を貪るひとときも
うたかたであり、夢なのか現実なのか境界がはっきりしない。儚さの連続こそが人生そのもの。
 この儚さのなかでの漂いが、病身をコントロールしてくれている。
こんな、我々とは異なる人生を送っている作家の視座は実に面白く時に読者をはっとさせる。
 戦争直後、吉行はこの荒廃になか、美女はどこにいるのだろうと思う。巷には栄養失調で痩せた、顔色もどす黒い女性ばかり。もちろん吉行は知っている。美女、お嬢様は特権階級の奥座敷にいることは。でもそんな女性など手が届くどころか、見ることさえない。
 しかし、今は世の中、突然登場した民主主義や男女平等実現のうねりが国全体におおっている。吉行は思う。そうだ美女は共産党の中にいるはずと。いいなあ、こういう発想。

by はなゆめ爺や

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| 古本読書日記 | 06:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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