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井上靖  「天平の甍」 (新潮文庫)

井上靖  「天平の甍」 (新潮文庫)
遣唐使は7世紀から9世紀までの間20回計画され、15回が実行された。ということはしょっちゅう行われていたのではなく、10数年に一回の割合で行われていたのである。
 小さい船、風だけを頼りにして進む。風が無ければ碇をおろして、風がでるまでその地に留まる。少しでも風雨が激しくなると、船は軋み難破し、沈没する。だいたい遣唐使船は4つの船で行われるが、そのうち無事に唐に到着するのは1船だけということもしばしば。
 この作品で扱っている鑑真和上の日本行も4度試みられている。しかも一回は蘇州近くの揚州から出帆しているが日本どころか、長い日にちをかけ何と香港近くの海南島まで流されている。
 この小説の素晴らしさは、偉大なる僧正鑑真に焦点をあてるのではなく、鑑真に寄り添い日本まで同行した若い無名の僧たちの視点から描かれていることである。
何千億人という人々のほとんどすべてが無駄に生き死んでいるように思えるが、その無駄に思える人々が重層に重なり合って今の時代に我々が生きていることを、この物語は静かに我々に教えてくれる。


by はなゆめ爺や

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