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吉村昭  「夜明けの雷鳴」 (文春文庫)

吉村昭  「夜明けの雷鳴」 (文春文庫)
幕末、水戸藩主徳川斉昭の息子の昭武を代表として、パリ万博に20人が15代将軍徳川慶喜の命により派遣される。この中に随行医としての高松凌雲がいた。
 彼らは何と当時のフランス独裁者ナポレオンと会っている。薩長は軍の顧問として英国に頼り、幕府はこれに対抗してフランスに頼っていたのである。もし、幕府が薩長に勝利していたら、ナポレオンの援助のもと日本の近代化が進んだかもしれない。
 パリ万博に派遣された20人の悲劇は、パリに彼らがいる間に派遣した徳川幕府が倒れ新しい明治体制に政体が移行したことである。
 また凌雲が、箱舘に移り、榎本武揚の戦で敗れた負傷兵の病院をつくり治療に尽くす。その際、政府軍の兵士が病院までせめてきたとき、体を張って、負傷者に敵も味方もない、と
兵士を説得してひあげさせた。
 更にこれ以上の死傷者をだしてはいけないと思った凌雲が、榎本に政府軍に白旗をあげ
和議の交渉にはいらせた。このことがそのごの凌雲の心の奥に重荷として残り、物語はクライマックスに向かう。
 吉村の素晴らしいことは、五稜郭の戦いを政府討幕軍と幕府軍の戦、戦術ものとして描くのではなく、全く新しい医者の行動、その眼から描き、他の大作家たちの作品より優れた
歴史物になっていることである。


by はなゆめ爺や

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| 古本読書日記 | 08:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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