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吉村昭  「大黒屋光太夫」 (新潮文庫)

吉村昭  「大黒屋光太夫」(上)(新潮文庫)
吉村昭  「大黒屋光太夫」(下)(新潮文庫)
大黒屋光太夫については、井上靖が「おろしや国粋夢譚」で書いている。この作品は幕府の指示により蘭学者桂川甫周が光太夫から聞き取りをした記録「北槎聞略」に従って描かれている。記録をすることが主の本であるため、中身が人間の物語としては乏しい。
 吉村の凄いところは、光太夫の聞き取り記録があるのだから、同じ船に乗り、海を漂流、ロシアに行き着き、やがてロシアを横断して日本に同じように帰ってきた磯吉にたいしての聞き取り記録もあるはずとして磯吉の故郷、三重県鈴鹿にでむき、とうとうその記録本を発見する。この着想、信念、執念が素晴らしい。
 この三重の記録本は、アリューシャン列島やロシアの自然風土や人間が見事に描かれていた。結果、あのアリューシャン列島での、ロシア人による原住民の虐殺や、何といっても、
磯吉とキリロの妹の密通を吉村は描くことができ、井上の作品よりより人間味あふれた、大河物語を作り上げることに成功している。

by はなゆめ爺や

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| 古本読書日記 | 08:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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