FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

井上靖  「花のある岩場」(角川文庫)

井上靖  「花のある岩場」(角川文庫)
小説の対象とはなりえない人物。正義でも悪でも輝きに満ちているそんな人ではない。だめ人間として生き方、暮らしが突出してひどく、素行も悪いそういう人でもない。
 ただ、他人と関わったりすることがうまくできなく、孤独だがそれほど異形の人間ではなくまあ平凡な人間。こんな人間でもわだかまりや、狂気をどこかに宿している。
 小説不向きな人間を題材にして創作された作品集。
やはり、本のタイトルにもなっている「花のある岩場」が印象に残る。
 岩場先導人である徳次は62歳。街での仕事がうまくいかず、穂高登山者の先導人となる。
もう62歳だから、先導人として期待されているわけでもなく、当人も張りをもって仕事に臨んでいるわけでもない。街で仕事がうまくいかなかったのは、人の好き嫌いが激しいため。この仕事でも、相手の想いとは別に、徳次自身が好きと思い込めば、徹底して先導人としてのサービスに勤める。
 重宗も徳次が大好きな登山者。その重宗が女性を同伴で穂高に来る。女性は登山が終われば重宗とは別の男と結婚することになっている。最後の穂高登山である。
 夜中の登山。ある岩場。その岩場に足を運ぶと、岩もろとも崩れ転落することを徳次は知っている。重宗が岩場にかかる。徳次はそこを懐中電灯でうつし、「そこは危ない!」と叫ぶ。その後、女性が岩場に着く。懐中電灯で足元を照らす。だけど「あぶない!」という
声は発しない。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 11:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT