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森揺子  「望郷」 (角川文庫)

森揺子  「望郷」 (角川文庫)
ニッカウィスキーの創始者の竹鶴政孝がウィスキー作りのため留学していたスコットランドの小さな田舎町で知り合い女房にしたイギリス人リタの生涯を描く。
少女漫画を読んでいる雰囲気。作者森は多分イギリス小説が好きな人のように思う。ブロンテ姉妹の本作品と筆致がよく似ている。いろいろな困難を克服しながら、夫婦で歩んでいくが、最大の試練は戦争。日本と英国が敵同士となる。住んでいる余市にはもちろん青い眼の異国人はいない。特高にはスパイの疑いで常に行動を監視されている。街を歩けば
子供たちが群がって石をリタにバラバラ投げつけてくる。そして戦争がいつ終わるかわからない辛さがある。
 辛さ、恐怖、孤独が極限に達し、リタは声をあげる。
「わたし、この鼻を削りたい。そしてわたしのこの眼を黒くしたい。」
それにしても、潰れる寸前のニッカをよみがえらせたのは戦争だった。軍納製品にニッカウィスキーは指定された。材料の大麦は優先して納品された。人々は経済統制で困窮していた時代にニッカはバカバカと儲かっていた。軍隊では一般兵は当然ウィスキーなど飲めない。将校クラスのために納品されていたのだ。


by はなゆめ爺や

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