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三浦綾子  「天北原野」(新潮文庫)

三浦綾子  「天北原野」(上)(新潮文庫)
三浦綾子  「天北原野」(下)(新潮文庫)
力作である。大長編でもあるし、読み応え十分。
苦悩を背負う象徴として孝介、貴乃がでてくるが、この2人が苦悩を背負う原点が本当に衝撃的なわりに、それを背負う生き方が、自然でなく、どうして?という疑問がいつも頭にこびりついて離れなかったのは残念。
 特に孝介のあり方は不可思議。孝介は、完治の学校放火により、校長だった父ともども町から追放される。父は日高にゆき、失意脳溢血で亡くなる。孝介は当時貴乃と祝言をあげる約束までしていたのだが、完治と父の企みにより樺太へおいやられる。完治は無理やり貴乃を犯し、結婚を迫り実現する。
 6年後、網元として大成功を収めた孝介が、完治、貴乃の前に現れる。ここが不思議なのだが、孝介は完治の妹あき子を嫁に欲しいという。それについては、膨大な結納金や完治のために今の億に相当するお金を投資するという。
 これは何か孝介に策略があると読者は考えるが、全くそれはなく、むしろ横暴な完治にふりまわされ孝介は苦しい道を歩む。この孝介のありようを受け入れる読者にはとてつもない人間ドラマを突き詰めた作品に思えるし、ここでつまずく読者には大きなわりきれなさだけが残る。

by はなゆめ爺や

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| 古本読書日記 | 08:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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