東野圭吾 「恋のゴンドラ」(実業之日本社文庫)
少し手を抜いて軽めの本でもだそうかと思っても不思議は無い。この本はそんな軽めな連作短編集。
そのなかの「プロポーズ大作戦」を紹介する。
日田はホテルに勤務している。根は真面目だが、風采もあがらず、女性と付き合うということは、とてもありそうもない。
ところが、その日田に橋本さんという彼女ができる。付き合って二カ月半。もう日田は橋本さんにぞっこん。結婚の申し込みをしたいのだが、絶対橋本さんが断れないような申し込みをしたいと同僚の水城に相談する。
水城は、橋本さんをスノボーに連れてゆき、スノボー禁止エリアに誘い込む。そこは新雪が積もっていて、スノボーが雪の中に埋まってしまい、スノボーができなくなる。
しかたなく、橋本さんは、ポールを手にし、雪にズボズボ埋まりながら歩きだす。
弱り切ったところに、どこからともなく日田が現れる
そしてポールを持って、橋本さんを引っ張ってあげる。そして日田は言う。
「これからも、俺についてきてくれるかな。」
橋本さんは、驚く。さらに日田が決めゼリフを言う。
「俺が引っ張るから、ずっとついてきてほしい。」
もうこれで決まり!
いよいよ本番開始。
立ち往生する、橋本さん。そして日田が登場する。
そこにスノーモービルに乗った男が突然わりこむ。
「浮気は悪かったごめん。」男は土下座をして謝る。
「なんだコウタじゃん」
「ずっと好きだったんだ。絶対幸せにするから結婚してくれ。今誰かと付き合ってるのか。」
「付き合っている人はいるけど、正直で優しい人だから大丈夫。きっと納得してくれる。」
2人は雪の上で抱き合う。橋本さんを乗せたスノーモービルが雪景色の中に消えてゆく。
可哀そうだけど、こういう役回りの人って、必ず周りにいる。
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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑