上原隆 「晴れた日にかなしみの一つ」(双葉文庫)
この作品では、希望退職、リストラの名目で解雇された人達の、苦痛、生活の苦しさを扱っている。そこで、リストラについて少しつづってみたい。
ツイッター社をイーロン・マスク氏が買収して、従業員の半分を紙切れ一枚で解雇して日本人を驚愕させた。
私は大学卒業後、定年まで就職した会社で勤め上げた。そして、その後、嘱託でベンチャー企業に勤めた。
その会社は、定年まで勤めた会社と社風が全く異なっていてびっくりした。何しろ会社で一番働くのは社長。社長は土日もなく、会社に泊まり込んで24時間体制で働く。家に帰ったのは、正月の一日だけ。必死でもあったが、社長はとにかく仕事、会社が何よりも好きだった。
イーロン マスク氏のように解雇をしなくても、社長についていけなくて、辞める社員がたくさんでて、毎日社員募集広告をだしていた。
イーロン マスク氏も、何よりも仕事をすることが大好きな人だと思う。だから、解雇も悩むことなく必要とあらば実施する。ツイッター社の平均年間所得は1400万円を超えるそうだ。
日本は年齢序列で、給与は勤続年数により、上昇してゆく。ところがイーロン マスクの会社では、入社して数年で所得がピークとなり、後は年とともに給与は下がってゆくそうだ。
日本では、従業員の解雇は法律により簡単にできない。アメリカでは不要となればどんどん解雇して、新しい人材を高額給与で採用する。
このシステムが、アメリカの経済を支えていると言われている。
日本でも昔ほど希望退職が大きく問題として取り扱われなくなってきた。
アメリカのようなシステムに切り替えないと、岸田さんが言う新しい資本主義は実現しないかもしれない。
大変な時代がそこまできているような雰囲気がある。本当に現役世代には厳しく、苛酷だ。
もう首切りのルポなど、本として出版されることはなくなるかもしれない。
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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑