荒木飛呂彦原作 乙一 「The Book」( 集英社文庫)
この小説ホラーサスペンスに分類される。
そして、重要な役割をするのが、自分の魂、心の意志を具現化するスタンドという存在。
スタンドは自分から離れて、人によって別の形になって現れ、その人の思いに忠実に行動する。この存在は、普通の人には見えない。だから何が起こっているか全くわからない。
琢馬は自分の生きてきたすべての起こったことを、文章に変えて本のなかに記憶として埋め込むことができる。そしてその記憶は必要に応じてとりだして使うことができる。これが一種のスタンドでこの本のタイトルになっている「The Book」。
例えば、最終場面で宿敵億奏と戦う。その前に、幾つかのナイフを手にいれる。そして、木を標的にしてナイフを投げる練習をする。しかし、なかなかうまく標的に刺さらない。
しかし100投目くらいに、ピシっと刺さる。これを「The Book」に記憶して、その後、取り出せば、相手に間違いなく刺すことができる。
一方相手の億奏のスタンドは「ザ ハンド」というもう一人の人間。
これが、面白い。対決場面で危ないと思った拓馬がとびのく。ところが、何と遠のいたのに実際は近付いている。あるいは、そのまま動かないでいるのに、「ザ ハンド」が手を動かすと、相手億奏の身体がものすごく大きくなる。知らないうちに億奏に拓馬は近付いているのである。
物語では、この拓馬と億奏の対決が読みどころ。
漫画は知らないが、多分2-3ページで闘いは終わると思うが、小説ではこれを言葉で表現することになる。それゆえ、10ページくらいにわたることになる。
漫画に比べれば間延びしてしまうのだが、乙一はこれを見事に表現して、読者を興奮させる。
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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑