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2021年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2021年03月

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黒木亮   「獅子のごとく」(下)(幻冬舎文庫)

 日本では接待攻勢で商売を獲得するというのは一般的だが、同じことはアメリカでも。そしてアメリカのほうがその規模が違う。

 芸能プロダクションと契約して、タレントをホテルに派遣するなんてことは当たり前。高級マンションまで提供する。

 物語では主人公の逢坂が接待相手を乗せて高速で都心に帰る。1500万円するポルシェ。客がポルシェを褒める。するとそのポルシェを客にあげるという。断る客の家にポルシェを乗り捨てタクシーで帰宅する。

 ウィスキー会社の副社長に逢坂が言う。
「副社長にゴルフ場をさしあげたいんですが。」
「いやもう私は会員権は持っていますから。」
「会員権じゃなくて、ゴルフ場そのものをあげます。」

こんなことを日本ですると背任罪になるのだが、外資投資会社のパートナーはすでに数百億円の資産を保有していて、こんな接待を日常行為のようにするのである。

 東立銀行(モデル第一勧銀)から転出した帝都鉄道(モデル西武鉄道)の社長檜原(モデル西武会長後藤)と逢坂の戦い。武蔵野鉄道が西武の旧一族の株を買い占め、檜原を西武から追放しようとする。バックにいるのは私鉄関西大手の浪花電鉄。この買い付けの仕掛け人が逢坂率いるエイブラハム・ブラザーズ。

 逢坂も強引で、犯罪スレスレの手法が目立ち、パートナーから追放されそうな状態。
そこまで、読者をひっぱり、逢坂、檜原どちらが転落するかと気をもんだが、最後はあいまいで不満が残る。

 それは仕方ないのか。檜原モデルの後藤も71歳にして今だに西武の会長で健在 逢坂モデルの持田もゴールドマン・サックスの日本法人社長で健在なのだから。

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黒木亮     「獅子のごとく」(上)(幻冬舎文庫)

 日本の銀行に勤めていた主人公の逢坂丹が、米国投資銀行に身を転じ、あらゆる手段を用いて社内のライバルを蹴散らし、巨大投資銀行の中でのしあがっていく姿を描く。

 この逢坂には実際のモデルがいる。ゴールドマンサックス日本法人社長の持田昌典である。但し、この作品では持田が勤めている投資会社はエイブラハム・ブラザーズという架空の会社になっている。

 逢坂は大学を卒業後、大手都市銀行東立銀行(第一勧銀と思われる)に入行。逢坂の実家は祖父の時代から貿易会社をやっていて、成功し、都内にビルまで建てる。しかし父の時代に会社の業績は傾き、更に父は愛人を作り、母と離婚をして、実家をでる。母は会社を経営していたが、病で亡くなり、会社は立ち行かなくなり、メイン銀行であった東立銀行から資金を引きあげられ倒産してしまう。この時倒産を主導したのが、東立銀行の檜原。

逢坂の人生の目標はこの檜原を徹底的にうちのめすこととなる。物語は逢坂と檜原の闘争物語でもある。

 檜原は第一勧銀が総会屋小池隆一に脅迫され、多大な融資をしてしまい、倒産危機に瀕したとき、行内で立ち上がった4人組の一人で、その後西武鉄道グループに転出した後藤高志がモデルである。

 アメリカの投資銀行はどこでも同じスタイルで仕事をしているが、そのスタイルに3つの特徴がある。

 一般の見習社員アナリストがいて、その上にアソシエイトがいる。このアソシエイトを5年ほど勤めて出世すればバイスプレジデントとなる。投資会社は100人程度のパートナーがいて資産も利益も彼らに帰属する。パートナーになれば年収4億円程度になり、そのほかに大きな資産を会社から与えられ、だいたい10年ほど勤めて4-500億円の資産を貯め、リタイアして悠々自適の生活に移るのが一般的。バイスプレジデント以下は、2000万円から4000万円の年収がある。

 このパートナーへの昇進は、ボードによる選定ではなく、候補者をパートナーの投票で決める。ある意味公平である。

 また、アソシエイトなどの評価は360度評価をとる。360度評価とは、上司だけでなく部下からの評価もなされ、部下からの評価が悪いと昇進にひびく。

 上司の命令、指示は絶対で、無理難題であっても絶対実行、実現せねばならない。このため徹夜、土日の仕事は当たり前の状態になる。数千万円年収があっても割の合わないということになる。

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知念実希人   「優しい死神の飼い方」(光文社文庫)

 人間は必ず死ぬ。死ぬときに世の中に未練があり、それを残したまま死ぬと、なかなか死後、天国に行くことができず、地縛霊となって現実の世界を、未練が無くなるまで彷徨う。

 主人公のレオは、天国の主の命令で、死が目前の人の未練のなかに入り込み、その未練を解決してあげ、心おきなく天国の主のもとへいけるようにしてあげる任務を行う。

 癌でホスピスに入院して死を待つ状態の内海は画家を目指していたが、いくら描いても、全く世間からは反応がなく苦境に陥っていた。

 そんな時、真夜中に全身を黒マントで包み、サングラスをした親子がやってきて、子どもが内海の風景画をみて「キレイ」と感動する。父親はこの作品を、5万円で購入すると言う。
 初めて、絵が売れた。

その後、内海の絵はある大きな賞をとり、絵も売れるようになる。ある日画商の店にゆくと、男がこの絵を買ってくれと持ち込んでいる。埃だらけで汚れた絵。こんなものは買えないと店主が断る。内海は驚く。その絵は、黒マントとサングラスの子が購入してくれた絵だ。それが何でこんなに薄汚くなって、画商の店に持ち込まれたのだ。このことが内海の最大の未練だ。これが解決しないと、死んでも死にきれない。

 この内海の記憶にレオの魂が入り込み真相を追求する。そして、黒マントの父親は殺され、息子は行方不明になっていたことがわかる。

 ここで私たちは知らない特殊な病気が登場。真相がわかり、内海は未練なく死に向かう。
物語の発想は面白い。だけど解決に知らない病気をもちこむところは、煙にまかれたようで、どうも釈然としない。

 収録されている作品の中から、印象に残った「死神、芸術を語る」という作品。

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知念実希人  「レゾンデートル」(実業之日本社文庫)

 知念のデビュー作。
末期がんで数か月しか余命のない医師、岬雄貴が殺人鬼になり人殺しを次々起こす物語。

 この物語の重要な点は3点。

「切裂きジャック」と言われる殺人鬼が2人いて、一人は医師岬だが、岬に殺人の指示を与えるもう一人の「切裂きジャック」がいること。二人のうち一人が何かあった時の保険のために、もう一人の「切裂きジャック」を用意しておく。

次は当然殺人鬼である「切裂きジャック」が2人いるなどと想像できない、捜査本部。「切裂きジャック」は2人いると主張する松田公三は問題外として孤独な捜査を強いられること。

 それから、死についての岬が研修医時代の時の先輩医師の言葉。
「死ぬとき人間はな、いろんな顔をするんだよ。滅茶苦茶に苦しそうな顔するやつもいれば、泣いたような顔になるやつもいる。あと驚いたような顔もな。けどな、時々、笑顔で逝く奴がいるんだ。死ぬ瞬間で意識も失って、体は悲鳴あげてるのにだぜ。そういうやつらはな、みんながみんな、人生に満足してるんだよ。やるべきことはやった。人生に満足してるんだよ。」
 死ぬ年齢など関係ない。この世に未練を残したらいけない。

実感が無いけど、そういうものかなあとは漠然と思う。未練ない死というのは知念の作品にはよくでてくる。知念の信念のように思われる。
 そして最後「切裂きジャック」の正体には驚いた。読んで確認して。

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知念実希人   「屋上のテロリスト」(光文社文庫)

歴史の事実と異なり 1945年日本は連合国のポツダム宣言を拒否して、そのまま戦争を続ける。結果広島、長崎に続き新潟にも原爆を落とされ戦争が終結される。その結果日本は東西に分裂する。

自由民主を基盤とする西日本共和国首都は東京。それから社会主義国家となる東日本連邦皇国。首都仙台に分かれる。

 原爆を投下された新潟以外では、分裂を象徴する壁が築かれる。

1989年11月9日のベルリンの壁崩壊には驚き、感動した。

 壁が破壊され、東西ドイツが統一されるなどということが起きるとは思われなかった。
そしてこの統一が、人々の犠牲者がなく、一般民衆により出来上がったことは感動した。
だいたい、2つの国が統一するのは、戦争により、膨大な犠牲者の上で、実現するのが普通のことだった。

 権力の上にたつ人間は、国民の要望利益など考えていない。自分の利益を守り拡大することだけに関心があり、そのために国民を犠牲にすることに躊躇しない。

 この物語は、西日本の最大財閥の娘、高校生の佐々木沙希が、学校の屋上で自殺しようとしていた酒井彰人を巻き込み財閥の人脈、資金を使い、全く犠牲者もなく分裂国家日本を統一まで突っ走る物語。

 テンポもよく、いろんな駆け引きも面白く、何よりも民衆は、統一を心底願っている。そこに掛けた物語が素晴らしい。
 本当に世界に国家があり、国境があることが空しく感じる作品だった。

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貴志祐介   「コロッサスの鉤爪」(角川文庫)

 防犯コンサルタントで名探偵の榎本と弁護士純子が活躍するシリーズ。

小笠原諸島、ゴムボートでサメ釣りをしていた布袋、ゴムボートが転覆して、海に投げ出され、そのままひきずられるように、海に沈み、傷だらけで、遺体となって発見される。

 その傷にはサメに襲われたと思われるものもあるが、何かに刺された傷もある。この物語で知ったが、深海で生息する、大型の吸盤に鋭いトゲがついていて、それで引っ掻いて敵を襲うイカがいる。名前はコロッサス。棘が鉤爪にみえそれが作品のタイトルになっている。

 遺体の状況から、殺人方法のいろんな可能性が提示される。

更に、この殺人が逆密室殺人事件であったことが説明される。
 逆密室というのは、犯行を行った犯人が密室にいて犯行が不可能な状態で犯行が行われたことを指す。
 こんなたくさんのトリックについての話がおりこまれて。推理は複雑になる。

更に殺人が不可能と思われるのが、釣り人布袋を殺害した犯人は深海300Mで実権船「うなばら」に乗船していたこと。
深海300Mでは31気圧。1気圧である海上から体を31気圧に対応するためには10時間、逆に海上に体を対応できるようになるためには何と10日間もかかる。
 実験船から海上にでて、殺人を行い、また実験船に戻ることは不可能。

これをどんな方法で実行するのか。正直その方法には、気圧変動に対応できる最新技術の特殊スーツが使われていた。何これ?! これはミステリー、推理小説ではない。こんなものをもちだしたら、どんな殺人だってできてしまう。

 あ~あ、殺人の設定条件は面白かったのに。

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知念実希人    「改貌屋」(幻冬舎文庫)

 過去に読んだ本のリストにこの本は無かったから、初読みだと思うが、どうも同じ作品を読んだような気がして仕方なかった。この作品には天才美容形成外科医柊貫之が登場する。患者の要望にそったどんな顔にも作り替えれるまさに天才外科医。

 こういった類の作品では作り替えられた顔により、過去の自分は捨て去り、新しい名前の人間になりすます事件がおき、それが多発生すると、誰が誰だかわからなくなり、混乱がどんどん広がる物語が進行する。

 物語のクライマックス、人と事件がぐるぐる回転し、なかなか興奮して面白い。
物語の本筋とは少し離れるが、途中で挿入されている小話がウィットに富んでいて面白い。

柊クリニックに早苗という看護師が勤めている。

 早苗は強くせまられフリーターの男と結婚。しかし、結婚すると夫はギャンブルに狂い全く働かない。そのことを咎めると暴力をふるう。最後追い詰められ離婚を決意。夫の目の前に離婚届をさしだす。すると、かって無かったほどひどく、ぶんなぐられる。

 翌日、マスクとサングラスで顔を隠し、柊クリニックを訪れる。そして柊の手術により絶世の美女に生まれ変わる。

 その夜、夫がいつも行っているバーに行く。すると夫がにやにやして寄ってくる。
「自分はIT企業の社長をしていて、5000万円年収があり、乗っている車はポルシェ。」と言う。必死になって夫は早苗をこの後どこかへ行こうと誘う。早苗がでもあなたは結婚している。そんなことはわかる。

 夫は
「もう妻との関係は冷え切っている。離婚寸前だ。」と言う。

 2人は次の夜、同じバーで会うことを約束して別れる。

そして次の夜。早苗は自分の名前と夫の名前の書いてある離婚届けを夫に見せ、早く判子を押してとお願いする。
 夫はまじまじと早苗の顔をみつめ、「え~!あなた僕の妻!」とものすごい悲鳴をあげる。

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武田綾乃   「石黒くんに春は来ない」(幻冬舎文庫)

 久住京香は学校の女王様。学内に存在する絶対的カースト。その最上位に位置する特別な存在。彼女の周りにはいつも華やかなグループが形成され、そこに属するに値する人間たちが集まってくる。その外側にいるおとなしい生徒たちは教室の隅へとおいやられ、息を殺して彼らの様子をうかがっているしかない。

 主人公の恵、茉希、優菜、花はそんなはじかれた仲良しグループ。

クラスのスキー合宿中に、石黒は、女王京香に恋の告白をする。京香は拒絶。その経過を石黒を強烈にののしりながらラインで告白する。そのラインは石黒も見ているのに。

 石黒はスキー場で行方不明になり、翌日重体になっているところを発見され病院に収容される。石黒が不明になった最後の姿をみていた花は、石黒を呼び止めなかったことで、石黒の重傷の原因は花にあるとラインで責められ、登校拒否になる。

 ラインやネットはそれがフェイクであっても、権力者とその周りの意見が真実で正しいとなる。石黒も花も仲間からラインによりはじかれてしまう。

 ところが、ここから重体で動けないはずの石黒がラインに再登場する。更にタマリンという匿名の存在が京香を攻撃するために、クラスのラインに登場する。

 このタマリンの登場により、京香をあがめるライン仲間に亀裂が生じる。京香の周囲の生徒が一人、二人と段々ラインから退出し、京香は孤立するようになる。

 このタマリンは誰なのか。ライン上の石黒は誰なのか。物語はタマリン、石黒の悪意を持った投稿と重なって、クラスや4人の親友たちの関係が瓦解してゆく。ここが恐い。

 現代の高校生の状態を描いて秀逸な作品だ。

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銀色夏生  「スーパーマーケットでは人生を考えさせられる」(幻冬舎文庫)

 全く恥ずかしいのだが、このエッセイで銀色さんは女性作家だったと初めて知った。

作品は、銀色さんが歩いて2-3分のところに通う、スーパーマーケットでの観察記。

スーパーと銀色さんは言うが、その店は小さなデパートの地下2階にあるデパ地下。専門店が出店している。しかし、最近最寄りの駅の地下にスーパーができて、銀色さんが通うデパ地下はお客が減り、専門店もしょっちゅう閉店し、休憩所になる。休憩所ばかりが増えてゆく、すぐにもデパ地下が店じまいになるのではと不安がらせている。

 店員やレジには苦手な人がいる。銀色さんはアイスクリーム屋のバンダナをしている愛想のない店員が苦手。アイスクリームを買いたくても、彼女が店番していると、我慢して通り抜ける。

 レジにも嫌いな人がいる。少し列ができていても、彼がレジにいると他の列に並んで、彼のレジは避ける。ある日どうしても彼のレジに並ばねばならなくなる。

 野菜を唾をつけた手で持ち上げレジを打つ。でも気が小さい銀色さんは文句を言えない。

 私の家の近くにも2-3分で歩いていける小さなスーパーがある。専門店もないし、催事なども行われることが無い。典型的な地方にあるスーパー。

 銀色さんがある日魚を買おうといつものスーパーに行くが殆ど魚を売っていない。そういえば昨日台風があり飛行機が飛ばなかったことを思い出す。そして思う。ここの魚は新鮮だったんだと。

 我が家の近くのスーパーは何があっても魚が切れたということがない。ということは・・。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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ももこ記念日

19年目に突入します。
足腰は弱ってきた感はありますが、食欲やトイレの様子に変化は見られず。

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ん?

痩せてもいない。茶々丸は晩年、けっこうゴツゴツでしたが。

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タヌキ感

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若かりし頃①

同じくサビ猫である、くるねこさんちのポっちゃんも数えで20歳まで生きた。
この調子ならいけるかもしれない。
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保護主さんに、「まだ元気ですよ」と近況を伝えたい気持ちはあるが、
ほとんど爺やの布団で寝ているので、写真が撮れない( ̄▽ ̄;)

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若かりし頃②

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村上龍    「ライン」(幻冬舎文庫)

 物語は20章から成り立っている。それぞれの章の最後に新たな人が現れ、次章では前章の最後に登場した人物についての物語になる。このようにして、最後の章まで繋がってゆく物語。現在のLINEを彷彿とさせる。

 それぞれの章に登場する人物は、今の社会で生き抜くには、閉塞感に覆われ、全く存在を否定され、はじき出されるような人ばかり。しかしはじかれ、追い出された世界は小さく狭いが、その人にとっては広く、やすらぐ世界でそこで初めて自分の存在を獲得したと感じる。

 杉野は音響機器メーカーに勤めていたが、希望退職制度に応じて会社をやめる。会社には同期入社した信頼できる友達がいた。

 その友達もやがて会社をやめ、FM放送局に再就職する。放送では恋愛の話が頻繁になされる。その恋愛という言葉を杉野と変える。すると放送が杉野にむかってくる。

 杉野のことばかり考えている人は案外杉野に縁がない人かもしれないし、でも杉野が全く無い世界を想像してみてください。それは何の楽しみも潤いも興奮もない灰色の世界です。杉野に失敗する人は大勢いると思います。

 これで杉野はかっての友達が放送を利用して自分を攻撃してくると思い込む。だから、放送局に500通も抗議の手紙を書く。しかし全く相手にされない。だから、新聞社に雑誌社にも友達について投書する。時には方須局、新聞社にもゆく。しかし変質者として排除される。

 そのうちにいつもどこでも友達が攻めてきていると思い、夜も寝ずに、外を監視続ける。
食べるパンにも飲料にも毒が含まれていると思うようになる。

 家族がやってきて精神病院にかかるように強制する。国家も社会も家族もみんな友達に支配されている。もう逃げ場が無いとおいつめられた時、ある女性に言葉をかけられる。そして彼女には友達の影響がないと感じる。だから彼女との世界で生きていこうと思う。

 次々こんな人が登場する。小さな世界では確かに生き生きしているように見える。
しかし、その世界はぞっとするほど冷たくて恐怖感ばかりが募ってくる。

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月村了衛    「土漠の花」(幻冬舎文庫)

 ソマリアでの海賊対処行動に従事するジブチの自衛隊活動拠点に、有志連合海上部隊の
連絡ヘリが墜落する。墜落場所は連合部隊の活動拠点から70km南のジブチ、ソマリア、エチオピアの3国が近い国境地点。

 本来なら所属するアメリカ軍が捜索にあたるべきところだが、米軍はイスラム武装勢力アルシャバブ相当作戦の真最中であり、更に海賊対処活動で事故が多発し、人員がさけないということで、自衛隊に捜索活動の依頼がある。この活動は憲法、安保法に違反しているが人道上の活動として自衛隊が捜索にあたることになる。

 自衛隊が捜索活動していると女性3人が助けを求めてやってくる。彼女たちを追ってきた兵士と戦闘になり、自衛隊にも犠牲者がでる。彼女たちも2名が犠牲になる。

 生き残った女性はアスキラと言い、ピヨマール・カダン氏族のスルタンの娘。ソマリアは氏族集団の集まりの国。実はピヨマール・カダン氏族の領地に石油が埋蔵されていることがわかる。これを奪おうとイスラム過激派アル・ジャバブと最大勢力を持つワーズデーン氏族が組んで、ピヨマール・カダン氏族を殲滅しようと戦争になる。アスキラたちはそこから逃走。それをワーズデーン氏族が追いかけてきたのである。

 そこで生き残ったアスキラと自衛隊員7名が活動拠点までの70kmでワーズデーン氏族と過激派アル・ジャバブとの死闘が始まる。

 全編その戦いの描写で、それは凄いもので、面白いのだが、何だか劇画を見ているようで現実感が無い。こういう物語にありがちなのだが、相手はものすごい大量の兵士でせめてくるのだが、いくら銃撃しても自衛隊員にはなかなかあたらず、自衛隊員の銃弾は相手兵士に当たり、相手に夥しい犠牲者ばかりがでる。もちろん数名の自衛隊員の犠牲者はでるが。
 中東でも、紛争は続くが、石油資源を背景に裕福で強い国が多くある。
アフリカにもシェラレオネのダイヤモンド、ボーキサイト、アンゴラのダイヤモンドと石油、コンゴのダイヤモンドと銅、コバルト、リベリアの鉄鉱石と資源国があるのだが、その資源のために紛争が絶えず、貧しい国になってしまう。その現状をアスキラが嘆く。

 この作品を読むと、何かアフリカは悲しい。

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片桐はいり   「わたしのマトカ」(幻冬舎文庫)

 旅行好きの女優片桐はいりが出演する映画「かもめ食堂」の撮影のため訪れたフィンランドで出会った出来事を綴った旅行エッセイ。

 片桐さんは、独立心が旺盛だ。ホテルの部屋にとどまることはなく、たった一人でどんどん行動する。路面電車にも乗るし、鉄道にも乗る。夜のクラブ、ディスコにも連れ立つことなくたった一人でふらっとはいり遊ぶ。ちょっとこんな自由な行動をする女優さんはみたことがない。

 会社生活をしていたとき、オランダによく仕事で行った。事務所で仕事をしているオランダ人がタイプをしている。危険だ。と英語で打つ。「dang」と打ったところで就業終了時間17時になる。すると事務員の人は、そこでピタと仕事をやめ、机の上はそのままにして帰る。そして次の日の朝、何もなかったように続の「arous」と打ち出す。これを見た時にはびっくりした。

 日本での撮影は一日30カットを撮るのは当たり前で、朝から深夜まで撮影は続く。カットとカットの間は、裏方の人が次の舞台を準備して構え、カットが終わると即舞台設営、衣装の着替え、化粧などが切れ目なく流れ作業のように行われる。トヨタの工場のようだ。

 フィンランドでは8時間と労働時間は法律で決められそれ以上は割増。更に夜10時を過ぎると昼間の倍の割増が支払われる。これも法律で規定。

 しかも6時間連続労働した場合は、必ず長い休憩をとることも法律で義務付けられている。例えば休憩が一時間とすると、俳優や監督、カメラマンなどは6時間たつと即休憩に入れるが、裏方は舞台を片付ける作業が残る。それが終わり1時間の休憩にはいる。その後裏方は1時間後に次の舞台の設営にはいる。

 ということは、俳優や監督は殆ど2時間の休憩となる。フィンランドでは一日の撮影で
3カットしか最大撮影できない。

 労働者が優遇されている。これで国が成り立つのなら、フィンランドに生まれたかった。

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石原慎太郎    「救急病院」(幻冬舎文庫)

 幻冬舎のモンスター社長見城徹が刎頚之友石原慎太郎をくどいて、書かせたと思われる

 首都圏随一の規模を誇る「中央救急病院」。毎日、多くの重篤患者や重傷患者がひっきりなしに運び込まれてくる。懸命の処置手術をして生を取り戻す患者もいれば、亡くなってしまう患者もいる。

 この作品の組み立てが変わっている。
救急患者が次々運び込まれ処置されてゆく様子が、映画をみているように時間を追って流れるような組み立てになっている。

 一人の病人がかつぎこまれ、ある処理がされ、また突然にその次の患者が運び込まれ、それから前の患者のその後の処置や、家族の説明などが、いろんなケースが取り混ぜられて進行してゆく。あまり見たことのない組み立て。それがなかなか面白い。

 ユニークな玩具を製造して業績を拡大してきた有田工業の有田社長。「中央救急病院」にかつぎこまれ、腎臓疾患により、3年前から人工透析を受けている。

 その有田担当医師に人工透析をやめ、腎臓移植を受けたいと要望する。
しかし、移植は完璧に有田の腎臓に合致する腎臓を探すのが難しい。たまたま、妻が腎臓をわけてもいいと申し出て、しかもこれも殆ど奇跡的に有田の腎臓と合致し、有田は妻から腎臓をもらう。

 腎臓が一つ欠けた妻はその後どうなるか。実は、欠けた腎臓のスペースを他の臓器が埋めようとして増殖するのだそうだ。その増殖が行われるたびに、猛烈な痛みが臓器提供者を襲う。提供者はずっと傷みに苦しめられる。

 妻は夫有田に言う。
「あなたは年齢からいって、必ず私より先に死ぬ。その時はあげた腎臓を返してね。」

いいね。この落ちは。

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見城徹   「たった一人の熱狂」(幻冬舎文庫)

 41歳で角川の重役になるが、それを投げうって角川を飛び出し、幻冬舎を設立し、圧倒的成功を収めた見城徹が贈る55の熱狂的人生の言葉を収録したエッセイ。

 数日前にも全国紙一面全部を使って、今月の幻冬舎文庫新刊を写真いりで広告がでていた。他の出版社は新聞一面の下段四分の一を使い文庫タイトルだけの広告だ。幻冬舎の広告は異常だ。

 以前見城に仰天したのは、文庫の広告で女優井上晴美を全裸にして、篠山紀信が撮影。
胸を文庫本で隠して「文庫本もこんな使いかたがある!」と新聞全面広告をうったこと。
熱狂、情熱の極致だった。

 作品は見城の熱狂的人生の成功談を見城自身が熱く語る。のるかそるか厳しい状況もあったが見事に最後は成功する話ばかり。

 いかに見城といえども、失敗もあったろうに、読んでいてここまで成功の話ばかりで暑苦しくなる。

 失敗はひとつだけ。
村上春樹が「風の歌を聴け」で作家デビューしたころ、当時勤めていた角川に作品を書いてもらおうと見城が村上にアタックする。

 そのとき見城は「風の歌を聴け」は映画「アメリカン・グラフティー」を下敷きにしていますねと村上に言ったところ、村上が何も言わなくなり、一作は角川の雑誌に書いてくれたが、それ以来口も聞いてくれなくなったそうだ。

 今見城の後継者と目される人が幻冬舎には3人いるそうだ。見城は言う。その3人を合わせても自分には到底及ばないと。出版界で編集、宣伝、営業、経営すべてをできるのは自分しかいないと豪語する。

 見城は今年古希である。おそらく見城は死ぬまで幻冬舎の社長でいるのだろう。

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朝倉かすみ   「ぼくとおれ」(実業之日本社文庫)

 人生は毎日の小さな選択の積み重ねによりできている。ぼくらの今は大小とりまぜた数限りない積み重ねでできている。この物語のモチーフだ。

1972年9月8日、札幌の同じ病院でぼく、蒲生栄人とおれ、仁村拓郎は隣同士で生まれた。
 それから2人は毎日選択をして進学、恋愛、就職、結婚とそれぞれの人生を歩んで40歳となった。

 交わりそうで、交わらない2人の人生を、それぞれの年代の事件や世相を絡めて描いた物語。小さな選択だから、大きな事件は起こらず、普通の人生の歩みが丁寧に描かれる。

 各章の最初にその年に起こったこと、紅白歌合戦の司会者や、トップシンガーや最後のトリの歌手と楽曲が一覧表になっていて、読者も自分のたどってきた人生を2人の人生とともにたどれるようになっている。

 ああ、そうだったなと思いだしたこと。

 少年の頃、購読していた学習雑誌によく21世紀の日本のことが描かれていた。

バスや車、電車は空を飛ぶ。道路という道路は自動走路になっている。月や火星に仕事で通勤する人もいる。

 21世紀をずっと夢みていた。早く21世紀にならないかと思っていた。21世紀を想像することで胸がたかまった。
 現実の21世紀はとても想像した世界まで到達しなかった。

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東山彰良  「女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた」(講談社文庫)

 青春を謳歌できる大学生になった、有象くんと無象くん。恋に焦がれるのだがまったく何の兆しもない。へこみっぱなしの2人のちょっぴり切ない話6編を収録。

青春コメディである。そしてとにかく笑える。東山は博覧強記。いろんな知識が豊富。それを縦横無尽に手品のように使って物語を創り上げる。素晴らしい作家だとしみじみ思った。

 2人はゼミのアイドル ビッチちゃんに恋をする。

2人が恋だと感じた瞬間。ビッチちゃん、無象くんには「ずっと仲良くいれたらいいね」有象くんには「有像君といるとなんだか落ち着く」と言う。それで2人とも舞い上がった。自分こそビッチちゃんの恋人だと思っていたら、何と同じような声をかけられてビッチちゃんを恋人だと思っている人がさらに4人もいた。

 大学祭のゼミのだしもの。ゼミの教授の発案で、教授が得意のソーセージ造りをすることになる。ビッチちゃん料理は得意なのだが、味付けの済んだ肉をミンサーのノズルよりだす。それを羊腸をかぶせるのが上手くできず、悪戦苦闘をしている。

 見かねた教授が言う。
「もっと優しくやるんだよ。譬えて言うなら、そう、男性に避妊具をかぶせてあげる要領だよ。」

 ビッチちゃんが言う。
「いやん、先生それを早く言ってくださいよ。」

ノズルと羊腸を自分のよく知っているものに見立てたとたんビッチちゃんは要領をすっかりつかみ、ソーセージ造りが段違いにはかどった。

収録されている「ビッチと呼ばないで」より。

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| 古本読書日記 | 06:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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井上ひさし   「野球盲導犬チビの告白」(実業之日本社文庫)

 天才大打者田中一郎。全盲なのだが、かってのプロ野球選手で、名コーチの永田の指導を得て、投手の動作、投げたボールのコース、軌道、速さを一瞬のうちに読み取り、それを見事に打ち返す技術を習得。

 しかしランナーにでた場合、次塁に走ったりする判断が困難。そこでいつも盲導犬チビがついて、田中を引っ張って走らせなければ野球ができない。

 プロ野球の入団テストを受けるが、盲目選手で犬が必要ということで巨人はテストさえ拒否する。それを今のベイスターズ、物語の当時の横浜大洋ホエールズが入団させる。

 そして、最初のデビュー戦、ホエールズは0-3で負けていたが、9回表に満塁のチャンス。そこで代打で田中は登場して巨人のエース西本から満塁ホームランを打つ。しかし九回裏に巨人に追いつかれ延長戦に。そして12回の表に大洋はまた満塁のチャンス。ここで田中はまた満塁ホームラン。一試合で2本の満塁ホームラン。空前絶後の偉業を成し遂げる。

 この田中選手とチビのコンビとそれにまつわる多くの人々との交流が、楽しい井上の筆致により描かれる。

 しかしこの物語を見事に支えているのは、井上ひさしのプロ野球についての深く広い、すこし偏屈な知識、調査内容である。

 例えば、田中の指導者永田は、プロ野球選手だったが、現在のプロ野球機構に属する選手では無い。実は、戦争直後、現在のプロ野球機構とは別のプロリーグが作られていた。このことは別の小説で読んだが、架空話かと思っていたが、それが実話だったことをこの物語で知った。永田は国民リーグ大塚アスレチックスの選手だった。

 私の幼い頃は、パリーグの西鉄ライオンズが強く、私もファンだった。この西鉄に強打者大下弘がいた。

 戦前のプロ野球は使用球はすべて再生球だった。従って反発力がなく、ホームランは殆どでず、試合数はわからないが、本塁打王は年間、6-7本打てばなれた。

 戦争が終わり、まだ再生球を使ったが、大下はこれをポン、ポンとホームラン、20本を打ち本塁打王となった。それまでは、空をみあげれば戦闘機と爆撃ばかり。

 大下が放つホームランを観衆が見上げる。そこには青い空ばかり。大下のホームランをみて人々は平和と自由をかみしめた。

 この物語、巨人の江川投手のドラフト破りが起きた年を舞台にしている。
巨人が田中に江川の球を打たせないため、秘密に公式球の縫い目108を150に変えてとんでもない変化球を放らせるように細工する。

 そういえば、その頃、巨人が公式球を細工しているとの噂があったことを思い出した。

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知念実希人   「誘拐遊戯」(実業之日本社文庫)

4年前、「ゲームマスター」と名乗る男から、中学生の少女を誘拐したと電話が警察にある。

この「ゲームマスター」との交渉役にあたったのが当時警視庁刑事上原慎吾。この「ゲームマスター」の次々の指示についていけなくなって、少女は殺害され、その後の捜査で「ゲームマスター」も見つかるが、すでにその時、「ゲームマスター」は首をつって自殺していた。

 上原刑事は自殺したのは「ゲームマスター」では無いと思い、真の「ゲームマスター」を捜索することを決意する。しかし警察としては事件は処理済みになっており、警察として継続捜査はできない。それで仕方なく上原は警察を退職して一人で捜査を行う。

 そして4年後また「ゲームマスター」と名乗る人間が、貿易会社社長の高校生の娘を誘拐する。そして「ゲームマスター」は交渉役として、もう刑事ではない上原を指定する。
 そして上原はまた「ゲームマスター」の指示についていけなくなり、高校生の娘は殺される。

 「ゲームマスター」はいったい誰で、何故交渉相手に上原を指名するのか、謎のまま、緊迫した物語が展開する。

 そして、「ゲームマスター」は読者がとても思いつかない人物が上原の必死の捜査でみつかる。私も驚く。そして素晴らしいミステリーだと感動する。

 ところが作者知念はさらに別の結末を用意していた。「ゲームマスター」は更に驚かされた人間とは別の人間だった。
しかし、この別の人間だった結末は平凡。急に興奮がしぼんだ。最初の「ゲームマスター」で物語を終了しておけば、大拍手だったのに。もったいないことをした。

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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知念実希人   「白銀の逃亡者」(幻冬舎文庫)

 かってウィルス感染病でパンデミックを起こした、DoMS。その後ワクチンが開発され発症者は激減、騒乱はおさまったが、DoMSから生還した人々に大きな体の変化が起きた。異常に聴覚が発達することと、筋肉が発達することだった。

 この人たちをヴァリアントと呼び人間とは区別して、危険ということで「憩いの森」という施設が作られ隔離された。

 この物語、異常な力をもったかっての感染者は人権があるから隔離を解くよう要求する人々と、異常な力を持つこと自体が人間とは言えず、人権は無いという考えとの対立を焦点にして展開している。

 総選挙の前、「憩いの森」からのヴァリアントである脱走者が、ある家に侵入。そこで17歳の娘を強姦。まだワクチンが未開発だったため、娘はDoMSになり、その後死亡する痛ましい事件が起きる。
そのためヴァリアントの人権尊重を主張した与党が選挙で大敗。ヴァリアント隔離を主張した野党が大勝する。

 それから4年後、また総選挙がある。この時「憩いの森」から脱走したヴァリアントと強姦で捕まったが刑務所を脱走したヴァリアントが結託して、選挙戦公開番組に突入して、強姦事件の真相を暴露して、ヴァリアントの解放を求める。これにより、かっての政権与党が選挙に大勝し政権に返り咲く。

 ここがわからない。冷静に考えてみて、ヴァリアントの恐怖は人々が払拭できていないしその異常な力で刑務所を脱走した人間の主張がそんなに簡単に社会に受け入れられるとは思えない。
 物語の結びが雑すぎると感じた作品だった。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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葦舟ナツ 『消えてください』

休日に2冊買いました。

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たぶん、右の本が言う「読書」って、左の本みたいなライトなやつじゃなく、
モーパッサンとか三島由紀夫とか、何かお堅いのじゃないかなと予想はしますが。

で、ライトな本の感想です。デビュー2作目です。
自然や心情の描写は、疲れるくらいに丁寧です。
15歳男子の目線なのに、おメェは詩人か? というくらい色や匂いを秒刻みで。

切ない恋愛ものっぽいあらすじやイラストですが、
作中に『恋」とか『好き』とか……無かった気がする。

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1作目の感想がこちら
ショックが冷めない状態で、がっつりネタバレしています。
4年経った今でも、唐突に投げ出して終わられたという印象は、変わっていない。
今作も、最後のページが最後の行までびっしりなので、終わる予感がなかった。
前作ほど、置いてけぼり感はなかったけれども。

「ラノベだから分かりやすいはず」と甘く見ている自覚はあります。
「もしかしたら、今作はちゃんと作者の意図を読み取れるかもしれない」
という期待?もあった。
が、彼女が消える(た)条件が何だったのか、正解がわからなかった。

前作同様、私の感覚がイカンのか? センスが無いのか? ともやもやするのです。

| 日記 | 00:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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松本清張 『戦い続けた男の素顔』

爺やの感想はこちら
個人的な体験が濃く出ている短編を集めています。
ミステリー要素を期待した読者は、
「またこの設定か」「このあと、この男(父)は米相場に失敗するんだろ」と、
先が読めることにちょっと物足りなさを感じる。

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それでも変化はつけています。
 ある作品では、「父が養子に出されたのは嫁姑の諍いが原因だろう」。
 別作品では「父は、不義の子だ。私は、父の異母兄弟を訪ねてみる」。

 ある作品では「あのころ、同居していた叔母(母の妹)は父とデキていただろう」。
 別作品では、「叔母は、父と母に殺された。私も、妻の協力で妻の妹を始末する」。
という具合に。

私は、がっつりフィクションの方が好きです(*´ω`*)

| 日記 | 00:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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 『猫が見ていた』 湊かなえ他

猫にまつわる短編集
「マロンの話」湊かなえ 愛猫をモデルにしているような内容。(実際は知りませんが)
「エア・キャット」有栖川有栖 たぶん、火村ナントカのシリーズを知っている人なら面白い。
「泣く猫」柚月裕子 「凶暴な気分」井上荒野  女性作家が書く「バカなオンナ」の話。
「黒い白猫」東山彰良 味わいがある。海外が舞台だと名前が覚えづらい。
「三べんまわってニャンと鳴く」加納朋子 いい話です。モノレール猫の人ですね、たしか。

「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」北村薫
成人した娘がいるような年齢の男性が、
「運命の人と出会うまで百万回別れを繰り返す必要はない」
と語るのって、正直気持ち悪……
読み返してみても、なにが「絶望」なのかピンとこなかったけど、
そういう本だからこそロングセラーなのでしょう。
深い考察を求められそうなので、「好きな絵本」として挙げるのは覚悟がいりますね。

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「猫と本を巡る旅 オールタイム猫小説傑作選」澤田瞳子
気づけば自宅に、猫本ばかり集めたコーナーがある。エッセイも写真集もある。
猫好きってそんなものです。

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つしまのセンスは好きです。

| 日記 | 00:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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知念実希人    「淡雪の記憶」(角川文庫)

 「神酒クリニック」シリーズ第2弾。天才的洞察力で人の心を見抜く主人公の精神科医師天久翼が活躍する。

 日本を代表する化粧品メーカーの梅沢化粧品の梅沢社長から神酒クリニックに電話があり至急自宅に来るよう呼び出しがかかる。神酒や天久らクリニックのスタッフが梅沢の自宅に駆け付けると、全身ずぶぬれの女性(後で津田美鈴と名前が判明するが)が意識不明の重体で横たわっていた。医療スタッフの蘇生治療で一命はとりとめ意識は回復したが、自分の名前をはじめ記憶喪失になってしまっていた。

 実は美鈴は大手化学品メーカーの研究者としてかって勤めていて、時限爆弾を作ることができた。そして、2つのビルが爆破される。

 あまりにも、私は乱読者のため、本のタイトルは忘れたのだが、時限爆弾に3本の線があり、そのうち1本を切断すれば、爆破を止められるが、残りどれを切断しても、その瞬間に爆破が起こるというシーンがあり、その物語では、どれが爆破を止められる選か推理することで爆破を回避したが、この作品では対象の線が10本あり、1本だけが爆破をとめられるという場面がある。とても推理ではあてられない。

 どの線か、爆弾を製造した人間に教えてもらわねばならない。

天久翼の懸命な説得が最後は製造者に通じて、その線を教えてもらう。この説得の場面は切迫感があり、どきどきしながら読んだ。

 爆破事件があり、有名絵画の盗みあり。いろんなことが次々起こり、スピード満点で面白かった。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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知念実希人  「天久鷹央の推理カルテ」(新潮文庫)

天医会総合病院に新設された統括診察部の部長である、頭脳明晰、博覧強記の天才女医天久鷹央が数々の事件の真相を解き明かすメディカル・ミステリー集。「不可視の胎児」がびっくりした。

17歳の美香はクラスメイトの男の子と恋仲になり、妊娠してしまう。母親静子の指示で、天医会総合病院で中絶手術をする。自分の子どもを殺してしまったと落ち込んでしまって悩む美香に、突然下腹が傷みだし、つわりの症状がでてくる。美香はあの子がまた体に戻ってきたと喜ぶ。

 しかし、美香は中絶以来、学校へも行ってないし、家からもでていないから新たに妊娠する機会はなかった。産婦人科の主治医は、中絶後CTスキャンで胎児が残っていないことを確認したし、新たに美香を検査しても妊娠していることは無かった。

 美香は別の病気か、想像妊娠か。

ここで天才女医天久鷹央がひらめく。
 腹腔内が大量出血している。腹膜にエコーをかけろ。と。
するとエコーのディスプレイに人が映し出された。
「腹膜妊娠」。美香は双子を妊娠していた。

驚くなあ。子宮ではなく、腹膜に卵子が着床するなんて。

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朝倉かすみ   「少女奇譚 あたしたちは無敵」(角川文庫)

 思春期になる前の少女。夢をみたり、不思議な体験を味わってみたかったり、味わったように思いこんだり。もちろん男の子にも同じようなことはあるが、男の子は一人で夢想するのだが、少女たちは何人か同志が集まって、夢や不思議な体験を語り合い、それがどんどん高揚して、実際に体験したような感覚になる。そしてそれを自慢しあう仲間、友達ができる。

 この短編集は、そんな少女たちの不思議な夢想を描く。登場する少女たちの名前も、現実から遊離して、夢に登場する名前、ワーチカとかリリアなど、少女漫画にでてくるような名前で、少女物語の雰囲気を醸しだしている。

本のタイトルにもなっている「あたしたちは無敵」が少女物語の雰囲気がよくでている。

 小学6年生のリリアは、通学途中の工事現場で抜け落ちた「乳歯」を拾う。同じように同級生の朝比奈さんと、関口さんも「乳歯」を拾う。しかも、同じにみえる乳歯が光にかざしてみると、金色、空色、ピンクに異なってみえる。3人は、3つを合わせれば、無敵。どんな怖いものにおそわれても、全部粉砕できると秘密会議をして信じる。そして、その力を試す恐怖にであいたいと毎日思うのだが、「乳歯」の力を試すような出来事は全く起きない。

 そのうちに、朝比奈さんは、乳歯に願うと、いろんなものが透けて見える。黒板を見ていると、黒板が透けて、グランドで遊んでいる生徒が見えるとか、関口さんは重い石灯篭が動いたとか言い出す。リリアは焦る。全く不思議な力を発揮することができない。

 ある日下校途中でおおきな地震がある。その時、3人は思う。とうとう乳歯の力を発揮するときがやってきたと。崩れ落ちた家の前で、乳歯を握りしめ大声でおまじないの声をあげた。しかし、何回も、何回も叫んでも元通りにはならない。

 奇跡の力を持っていると信じていた少女が現実をみる女性に変わる。しかし3人はずっと友達であってほしいと心から願う。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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鉢植えを買う女 と 馬を売る女

「鉢植えを買う女」は「潜在光景」に、 「馬を売る女」は「憑かれし者ども」に収録されています。
ちなみに『女』のつくタイトルは他に、「地方紙を買う女」とか「巻頭句の女」とかもある。

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恋愛や結婚は諦め、同僚に金を貸して貯金を殖やし、
いずれはアパートでも建てたいと思う、ブサイクOL。
「あのブスは、ちょっと優しくして体の関係になってしまえば、ほいほい金を出すはず」と狙う男。
ここまでは共通。

今回読んだのは「馬を売る女」のほうです。
情事の後で「で、今月はいくら返済できるの?」と言う、
したたかな女・・・・・・だが、殺されてしまう。
いったいどこでボロが出て、犯人が捕まるのかという面白さがあります。
高速道路の退避場所についての話が、あとで繋がってくるのは予想できますが、
もう一段階があるのがいい(*´ω`)

今だと、高速道路も含めてカメラがどこにあるのか調べてからじゃないと、
この犯罪には踏み切れないでしょうね。

| 日記 | 00:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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知念実希人    「螺旋の手術室」(新潮文庫)

 「ハンチントン舞踏病」という難治病がある。日本人では20万人に1人程度の確率で患者が発生する。典型例では40歳前後から、意思とは関係なく手足や顔面の筋肉が不規則に動く、不随意運動と、認知症、性格の変化、幻想妄想、易怒性などの精神症状がみられるようになる。それらの症状は10年から20年程度の経過でゆっくりと進行し、最終的には寝たきり状態になる。この病気は、ハンチントン病の遺伝子変異の持つ子どもが親から二分の一の確率で引き継ぎ、将来ハンチントン病を発症する者がでる。

 物語は、純正会医科大学付属病院の教授選の候補だった冴木真也准教授が不可解な死をとげ、この真相を同じ病院に勤務する主人公の医師冴木裕也が追う展開で進行する。

 その間に、同じ教授選の候補となっている医師や、冴木真也の上司である海老沢教授まで不審死になったり、殺されたりする。

 いよいよこの作品は、教授選に絡んだ殺害事件かと思って読み進む。しかし、功成り名をある程度遂げた人が、殺害までして、対立する教授候補を殺すなどということがありうるだろうか、そこの納得感が薄いなあと思い読み進むと、最後に殺害の裏に「ハンチントン病」が隠れていることが判明する。

 物語としてはそれなりに面白いが、素人には全く知られていない病気を登場させるとは、はぐらかされ、ずるいと思ってしまった作品だった。

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| 古本読書日記 | 06:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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朝倉かすみ  「たそがれどきに見つけたもの」(講談社文庫)

 朝倉さんの作品は、今のことを書いても、おかしなことを誇張したり、最近の漫才のように、しつこいくらいこれぞと思うことを繰り返すようなことは全く無く、淡々とあるがままに出来事を描く。しかし、そのさりげない表現が凡人では想像できないほど卓越しているので、たんたんとした物語なのに強烈な印象が残る。

 例えば、この作品集のなかで、印象に残ったのは最後に収録されている「さようなら、妻」。

主人公は、定年も近い中年から老年にさしかかった利一郎。会社から帰宅途中、最寄りの駅で降りて、自宅に向かう。駅前には小さな商店街があり、そこの一角に「すず」という居酒屋がある。気になっていたが、利一郎には食事だったら別だが、居酒屋に一人ではいるということは無かった。しかしその日は思い切って「すず」に入った。カウンターだけの店で、利一郎と入れ替わりに前の客が帰り、店は利一郎だけになった。

 利一郎は大将に店はいつ開店したのかと聞く。「来月4周年記念になります」と大将が答える。ここからが、朝倉さんらしい表現が始まる。

 「利一郎の背中が、自然と、ゆるく、のけぞった。木製の四角い椅子には背もたれがなかったので、バランスが少々くずれた。「四年か」と声がもれ、「そうだ、四年だ」と胸のうちでうなずいた。夜中につくづく妻の尻をながめたのが長女が就職した年だったから、四年前だ。」

 どうして、こんなことを思い出すのか。
利一郎の妻は、2年前に 
「自分でもどうしてかわからないが、家を出たくなったの。」
と置手紙をおいてどこかへ行ってしまった。

 妻がいたら利一郎は「すず」には一人ではいらなかったろうし、妻の尻も思い出さなかったろう。

 この小説の最後の置手紙と妻の尻を思い出す場面が繋がって、得も知れない切ない味を醸し出している。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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朝倉かすみ     「植物たち」(徳間文庫)

人間の不可思議な行動を植物の生態に仮託して描いた7つの作品集。

最後に収録されている「趣味は園芸」以外は、朝倉さんの想像の産物だと思うが「趣味は園芸」は朝倉さんの自伝的作品のように思えた。

 主人公の私は30歳。20代は全然おもしろくなかった。じゃあそれまでは楽しかったのかというと全然そんなことはなく、総じて物心がついて今までぱっとしなかった。

 仕事はしているが、同じことの繰り返し、これなら、一か月毎日仕事をして次の一か月は休みにしてほしい。毎週金曜日まで働く。土曜日は一日何もせずに寝ている。日曜日は掃除洗濯をして買い物をする。これで十分。体を動かして遊ぶなど、とんでもない。
 私も仕事は楽しくなく、この主人公の暮らし方が好きだ。

この主人公のわたしである朝倉さんが、就職面接を受ける。その時、うなるような感動的なことを言う。
「私は今まで進路で迷ったことがありません。高校も短大も自分の実力で入れるところが決まっていたので、無理せず、そこに入りました。就職もそうしようと、入れてくれるところに入ろうと思っていました。そんなある日、雑誌を読んでいたら「ACCESORY?いいえ、NECESSARY?」という広告コピーをみて迷ってしまいました。自分に必要なものってなんだろう。と、こころが立ち止まってしまいました。こんな経験ははじめてでした。わたしは自分が働きたいのか、そうでないのか、よくわからなくなりました。このような状態で、御社で働くのは失礼だと思います。」

ACCESORY,いいえ、NECESSARYこのコピー朝倉さんが就職した80年代初めの女性就職の状況をよく表しています。

 主人公のわたし面接でもう少しひねってこう言ってほしかった。
私が御社にはいったら、私は単にアクセサリー、それとも必要な人?って。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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