住野よる 「 か「」く「」し「」ご「」と「 」(新潮文庫)
高校生では、何よりも友達と常に繋がっていることが、大切なこと。恋よりも、友達を優先する。
友達は何でも隠すことなく言い合える。どんな行動も許しあえる。そしてその友達はなにが起こっても壊されることなく生涯続くものと信じられる。
しかし、本当に何でもわかりあえ、信頼している仲間となっているのだろうか。むしろ、どうなっても仲間を失いたくない、それにより仲間を傷つける言動はしてはいけない、自分は仲間外れになってはいけないと最大限の気を使って緊張してつきあっているのではないか。
この作品は面白くて、こんな関係のなかで、それぞれ5人が形は違うが、相手の気持ちがどうなっているか、形となってみえる、だから楽しそうにしゃべっている相手が本当は悲しんでいたり、怒っていることがわかるのである。
ミッキーは京のことが好きだ。京もミッキーのことを少なからず思っている。しかし、2人が恋人同士になると、仲間から離されるのではないか。それがブレーキになって気持ちを表せない。もし仲間はずれになって、2人の関係が壊れたら、また仲間に迎えてくれるだろうか。それより、2人がいなくなったら、残った3人は友達同士が続けられるだろうか。
住野さんは、思春期である高校生の価値観、心情を実にリアルに描く。その力量にただただ感心。
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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑