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2020年02月 | ARCHIVE-SELECT | 2020年04月

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司馬遼太郎     「この国のかたち一」(文春文庫)

 1993年から司馬が急逝する2000年まで雑誌「文芸春秋」の巻頭を飾った日本に関する随筆を出版したものである。本は一巻から六巻まである。

 薩摩の方言にテゲという言葉がある。大概という意味である。将たるものは下の者にたいしテゲだけ言っておく。
 それを下の者が、忖度、斟酌して実際の計画を造り実行するのである。

会社でも社会でもトップにたつものは空である。中身があってはならないのである。
何か重要なことを決断するときは、トップは重役や幹部と話し、集団で決定したことにする。
そして、それが失敗したときは、幹部や部下に失敗の責任に押し付けるか、集団で決めたことであるから、誰が責任をとるか曖昧にするようになっている。

 このようなリーダーの在り方が、日本社会を衰退させているということで、トップダウン型のリーダーを待望するリーダー論が今でもかまびすしく論じられる。そういう英雄型のリーダーを尊敬する論も多く出版されている。

 トップの指示がテゲなら、その指示に反対する勢力の主張もあいまい。説明責任を果たせとか、国民的議論をつくせとか。説明責任を果たすとか国民的議論という言葉は踊るがその具体的内容が我々には浮かばない。

 日本では、上も下も中身のないことを言い合い、責任の所在が消えるようになっている。
無責任が蔓延している世界である。

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| 古本読書日記 | 06:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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山田詠美編 『幸せな哀しみの話 心に残る物語 日本文学秀作選』

「小説のために磨かれた大人の舌にこそ相応しい、幸せな哀しみの味
 確かな言葉が、言いようのないやるせなさを引き立てる、
 美味なる綴れ織りの数々」
だそうです。

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中上健次「化粧」: グロいです。

半村良「愚者の街」: 人情味。大人だからわかる味。

赤江瀑「ニジンスキーの手」: 
物語としては一番面白いが、時系列がちょっとわかりづらかった。

草間彌生「クリストファー男娼窟」:
比喩が多すぎて、噛み砕いて理解するのに疲れた。
私は大学時代を松本で過ごしたので、派手なオブジェも見かけた記憶が。

無

河野多恵子「骨の肉」: 
よく言えば余韻のある終わり方。悪く言えば「ん? 夢オチ?」

遠藤周作「霧の中の声」:
一番読みやすかったし、『幸せな哀しみ』のイメージに近い。

庄野潤三「愛撫」:
ピーターパンやロビンフッドは、戦前日本に入ってきていたんですねぇ。

八木義徳「異物」
よくある話のような、深い意味がありそうな、そうでもないような。

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遠藤周作の怪奇小説集は爺やの本棚にもあるが、文字がデカい。
小さすぎるよりはいいけど、話をまとまりで頭に入れ、ページをめくりたい。
どうしようかねぇ(-ω-)

| 日記 | 00:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「漆の実のみのる国」(下)(文春文庫)

 漆、桑、青芋(あおそ)それぞれ100万本を植え付け育てることができれば、10年後には16万5千石が藩収入として増加になる計算だった。しかし、同じようなことは他藩でも行っており、その競争は激しく、結局天明5年には数千石の増加にとどまっている。

 鷹山は膨大な借財を完全に返済したそうだが、この作品では、それがどのようにして完済されたのかが描かれていない。

 そして、藩主としてあるべき姿を遺訓として次の藩主である治広に残した。その遺訓こそ藩政改革の肝と作品では強調される。
それが以下である。
一、国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして我私すべき物にはこれ無く候
一、人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれ無く候
一、国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候
右三条御遺念有間敷候事

正直これを貫けば、膨大な借財が返済できるとは考えられない。この作品を読んでも鷹山のどこが際立って優れていたのか、明白ではない。

思想、姿勢は美麗な言葉を駆使して描かれるが、具体的でなく、何だか道徳の教科書をよんでいるようだった。中身は精神訓話の色合いが強く、説教調でまいった。

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| 古本読書日記 | 08:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「漆の実のみのる国」(上)(文春文庫)

 江戸時代米沢藩第9代藩主、上杉鷹山の生涯を描く。藤沢周平最後の作品。上杉鷹山はそれほど知られていなかったのだが、童門冬二が1983年「上杉鷹山」を出版。これに火がつき大ベストセラーとなり一躍有名になった。この本を読めと会社や官僚のトップから指示があり猫も杓子もこの本にとびついた。この本のおかげで鷹山は日本のケネディと一部で称されるようになった。江戸時代の名君としての誉高い藩主である。

 上杉の「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」あまりにも有名で経営者がよく引く言葉。
鷹山は高鍋藩主秋月種美の次男として生まれる。そして、米沢藩8代藩主上杉重定の養子となり、9代藩主となる。

 上杉という名でわかる通り、越後の武将上杉謙信を祖先に持つ。関ケ原で上杉が敗れ、会津に移封され120万石となるが、そのご米沢藩30万石に移封され、更に領土を割譲され15万石と小さな藩になる。

 しかし越後より抱えていた武士がそのまま縮小されても移動、同規模の藩で抱える武士は通常1000人程度にも拘わらず、5000人を抱え、加えて大凶作が続き鷹山が藩主になったときは20万両の膨大な負債を抱えていた。

 鷹山は、それまで江戸での藩の生活費1500両を209両に大幅減額。武士の扶持を減額したり藩に借り上げしたりして徹底的に経費を削減。これに対し、贅沢三昧で経費削減に抵抗した7奉行を退け、民政家で産業に明るい竹俣当綱や財政に明るい莅戸善政を重用し藩政改革を推進する。

 しかし天明の大飢饉が起こり、負債の返済は進まない。天候に左右されるような米本位制では安定した藩運営はできない。

 そこで竹俣当綱は米に代わる新しい産業を興すことを鷹山に提案する。
それが漆、桑、青芋(あおそ)それぞれ100万本を植え付け育てるということ。これにより15万石の収入は10年後には30万石相当に増大すると提案。これを鷹山も支持する。青芋とは縮綿の材料となる作物。

 産業を興すことは改革の肝であることは正しいが、本当に3つの作物植え付けで、石高が倍増するものだろうか疑問を持ち下巻に進む。

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| 古本読書日記 | 08:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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柚木麻子    「BUTTER」(新潮文庫)

 直木賞候補にもなり、新文各紙や評論家から絶賛された作品。
2009年、木嶋佳苗が起こしたとされる連続不信死事件をモチーフにしている。この事件の特徴は、財産や金を持っている中高年の男たちに結婚をエサに近付き、金と財産を奪いその後男を殺害するというもの。

 この事件で世間が驚いたのは、木嶋佳苗の写真がマスコミによって公開されたとき、木嶋の姿が、異常に太っていて、顔もしわだらけでこの女性と結婚までしたいという気持ちを起こさせることが信じられないということだった。

 この物語では木嶋は梶井真奈子という名前で登場する。

3件の変死事件が起こるのだが、その事件の傍らに全部梶井が存在していたということで、検察は梶井が殺人を起こしたと断定、しかし法廷では梶井は殺人を否認する。

 梶井はどんな人生を歩んできて、どうして結婚詐欺、果ては殺人まで行うようになったのか、マスコミは梶井に何とか刑務所で面会して、直接聞き出そうとしたのだが、面会を梶井はすべて拒否する。

 主人公の「週刊秀明」記者の町田里奈は大学時代からの親友玲子のアドバイス、梶井はフランス料理に異常に興味があり、セレブを対象にした高級フランス料理教室サロン・ド・ミユコに会員として参加している。料理を切り口に面会申し込みすればとのアドバイスに従って、梶井に手紙を書き、梶井井から面会の許諾を得る。そして、梶井から、梶井の故郷新潟で梶井の幼友達や家族を紹介してもらい面談にこぎつける。

 梶井がフレンチ料理や、衣装や装身具が超高級品ばかりを身に着けるセレブ生活を謳歌し、どのような手口で中老の資産を詐取していたかが明らかにされてゆくと思ったら、この新潟行きあたりから、物語が柚木の独特の想像物語になってゆく。多分料理に凝ったあたりまでは、実際の木嶋事件と相違はあまりなかったように思えた。

 柚木の想像が非現実すぎてだんだん付いて行けなくなった。特にそれはないだろうと思ったのが、新潟に一緒にでかけた親友玲子が、失踪して、何と家庭を捨てて、3件目の事件が起きた時、梶井と同棲していた横田のところにやってきて、一緒に暮らしたいと要望するところ。

 玲子にも、里奈にも暗い過去がそこから語られ、そのために梶井にだんだんとりこまれてゆく。
 考えられないことではないが、それはないよとどうしても思ってしまう。ここが素晴らしい想像と評価する人々やマスコミが絶賛したところだろう。

 私はあり得ないと思い、少し距離をおいて読み進んだ。
なお現実の被告木嶋は死刑判決が確定している。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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加藤千恵   「この街でわたしたちは」(幻冬舎文庫)

東京を舞台に、4組の男女が繰り広げる恋愛模様を描いた短編小説集。

出会いのきっかけは書かれていないのでわからないが、多分コンパが開かれそこに参加したとき主人公の私は颯爽とした前田さんと出会い付き合いを始めたのだろう。

 そして今、前田さんの予約した外苑前の「フロリレージュ」という高級レストランで向かい合っている。数万円/人する、とても私のような庶民が行くことができる店ではない。

 前田さんは、IT企業の経営者。ネットで調べたが何をやっている会社か全くわからない。
青山のタワーマンションに住んでいる。そこに連れていかれた。東京の夜景を独り占めしている素敵な部屋。そこで抱かれた。

 こんなありえないようなことがあってもいいのだろうか。前田さんは、私のどこが気に入っておつきあいをしてくれているのだろうか。

 住んでいる世界が違いすぎて、高級レストランで食事していても、話題が無い。いつか別れを宣言されるだろうなと震えながらのおつきあい。

 食事中会話が無く、前田さんの携帯は鳴りっぱなし。「失礼」と言って席をはずし、電話で会話をしている。忙しいのだ。

 そして、「今日は急用ができて行かれない。」と電話を受ける。そんなとき、馴染みの街下北沢にでて、普通の食堂に入りハンバーグを一人で食べる。寂しいけど、ほっとする。庶民の味だ。

 夢のようなお付き合いをしていて、とうとう別れを宣言される日が来た。北品川にある三ツ星フレンチレストラン「カンテサンス」で。

 「もう会えない」ときりだされ「とうとうその時がきた。」とそれでもがっかりする。前田さんが悲痛な声をあげる。「会社が倒産したんだ。」と。

 それから、少し期間をおいて、思い切ってわたしから食事を誘う。場所は羽田空港ターミナルにある「うどんそば」の店。

 よれよれでくたびれきった前田さんがやってくる。2人で「カレーうどん」を食べる。
前田さんが「おいしいね」と言う。続いて「それにしてもどうして羽田空港なの?」と聞く。
わたしが答える。「だって今、ここからどこへでも旅立てるじゃん。」と。

 すこしぐっとくる暖かい物語だ。

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| 古本読書日記 | 06:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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有栖川有栖  「濱地健三郎の霊なる事件簿」(角川文庫)

 有栖川有栖と言えば名探偵火村英生や江神二郎の名探偵に作者と同盟の有栖川有栖という作家をワトソン役にしたてたシリーズ作品で有名だ。

 そこに探偵濱地健三郎が新たに登場。ワトソン役には興信所勤務経験のある女性志摩ユリエを配する。

 濱地健三郎は通常の探偵とは異なる大きな特徴を持っている。被害者の亡霊が見えるのだ。亡霊が殺害者にとりつく場面が見える。
ということは、難しい推理を駆使しなくても犯人はだれかがわかる。何か有栖川、推理ネタが浮かんでこなくなったのか、楽な道を選びだしたような思いが読む前からする。

 この本はそんな濱地が活躍する7つの作品が収録されている。

 心霊探偵濱地の物語の特徴がよくでているのが2作目の「黒々とした孔」。

 主人公の熊取寿豊は大手熊取不動産会社の甘えん坊息子。眠ろうとしてベッド脇の壁をみると百円玉くらいの黒い穴が見える。じっと見ているとそれが黒くコーヒーの受け皿くらいにまで拡大する。そこに目を合わせず九九をとなえると七X六 四十二になった時壁に眼をやるとその黒い穴は消えている。

 海から首なし死体が引き上げられる。鑑定により被害者は駒井鈴奈と判明する。駒井はフリーの記者で、寿豊の母である大女優那珂咲恵の大スキャンダルを追っている。それで、寿豊のもとにも取材でしつこくやってくる。そのスキャンダルが公になると、寿豊の贅沢三昧の生活も崩壊する。

 その崩壊を恐れて寿豊は駒井を殺害する。
駒井のマンションが火災にあう。しかし駒井の遺体はでてこない。火元はトイレ。不思議な場所である。

 そして、寿豊と濱地の対決となる。寿豊の後ろには鈴奈の亡霊がとりついていて、濱地にはすでに寿豊が犯人とわかっている。

 濱地が言う。
「首無し死体。首が無いということは頭を殴打したか顔を破壊したかどちらかで殺害した。しかも殺害場所はトイレ内。殺害はピストルによる殺害。殺害場所はトイレ。硝煙反応を隠すためにトイレを焼く。」
言い当てられたため、寿豊はうろたえる。しかし、切り落とした顔もピストルも山奥に埋めてある。証拠が無い。だから体勢を整えて「証拠が無いじゃないか」とはねかえす。

 すると濱地が言う。
「証拠はあるじゃないか。目の前にある黒い壁の穴。それがピストルの弾痕と一致しているよ。」と。

 それは濱地と寿豊にしか見えない孔。それでも寿豊はがっくりと肩をおとす。
これがホラーとミステリーが結合した作品。なかなか面白いけど、手抜きに思えないこともない。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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林真理子ほか  「東京小説」(日経文芸文庫)

 青山、銀座、下高井戸、深川、新宿を舞台に5人の作家が競演した作品集。
ハードボイルド、ヤクザ、マフィア小説の舞台といえば何といっても新宿。新宿はあまたの作家によって多くの作品が生み出された。

 その新宿を扱った、盛田隆二の新宿序曲のような作品。新宿は全く知らないが、少し古いかもしれないが、本格新宿小説の導入作品になっている。

 作品の初め早朝の新宿の様子が見事。
「サウナやカプセルホテルの入ったビルからスーツ姿の男たちが次々と出てくる。終電車に乗り遅れたため、タクシー代惜しんで仮眠をとった埼玉や千葉のサラリーマンだろう。駅に向かって足早に歩いてゆく。シャッターを降ろしたゲームセンターの前では、一目で家出娘とわかる少女が男にふたりがかりで口説かれて頬を紅潮させ、コマ劇場前の広場には数羽のカラスが舞い降りて生ごみをつつき、劇場の軒下では蓬髪の男が紙袋を抱えてすわりこみ、早くも並び始めた歌謡ショーの客の列をぼんやり眺めている。」

こんなところから始まり、予備校通いの伊知郎は、麻薬かわりにパブロンSの咳止めをたてつづけに4本飲む。覚せい剤のもとになっている塩酸メチルエフェドリンが器官を広げ、アヘンの成分であるリン酸ジヒロドコデインを飲むと幻覚症状を味わえる。

 それから本屋で万引きをして、立ちんぼのお姉ちゃんと遊ぶ。しかし、払うお金がない。すると優男が現れる
「私は東京の大学に留学しています。来年は大学院に進学します。だから問題をおこしたくありません。でも平気で人を殺せる子分がいます。3万円のペイで肩の骨を折ります。10万円で顔を切ります。30万円も払えば、目を潰して埼玉の山の中に埋めます。どれにしますか。」

 これを読んでからあまたの新宿小説を読めばよかった。

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| 古本読書日記 | 06:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「回天の門」(文春文庫)

 江戸末期、山形庄内藩に生まれた郷士であり酒蔵で富豪の斎藤家長男で希代の山師、策士と言われた清河八郎の生涯を描く大長編。

 この作品で知ったのだが、将軍徳川家茂が江戸より上洛するとき、幕府は警護として浪士を募って上洛したのだが、その中に新選組となる、近藤勇、土方歳三、芹沢鴨などがいた。 浪士を募ることを幕府に建策したのが清河八郎だった。しかも清河は、集めた浪士たちに尊王攘夷をとなえ、倒幕をすることを求めた。そこで賛同した集団を浪士組と言った。

 その時当然ながら、近藤勇らは、佐幕派であり新選組を結成、家茂が江戸へ帰還する際その警護のため随行はしないで京都に残った。

 清河ら浪士組は、横浜で将軍を殺害する計画をたてたが、これが事前に漏れ、幕府の随行員に殺害され清河はわずか34歳の生涯を閉じる。

 明治維新と言うと、坂本龍馬や西郷隆盛など西国の志士ばかりを注目するが、まさに倒幕、明治維新に向かって大きく門を回天させたのは清河であると藤沢は描く。

 もうひとつ成程と思ったことがある。

徳川楽冨がその権威を失い凋落の坂を下りはじめたのは何時からかかということ。

ペリーの黒船がやってきて和親条約締結を強要してきとき、時の老中阿部は条約締結の決断ができず、どうすべきかを大名に意見を募った。もちろん過去にも大名に意見を募ったことはあったがその相手は譜代大名までだった。しかし、初めて幕府は外様大名まで意見を募る。

 そしてその後ハリスが通商条約締結を強要しに日本にやってくる。他の列強国も通称条約締結を迫る。阿部の後を継いだ老中堀田は何とどうすべきかをわざわざ上洛までして朝廷にあおいだ。

 この瞬間に権力は180度回天した。この堀田阿部の責任回避が幕府凋落のきっかけだった。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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太宰治  『人間失格』

「人生に二度読む本」の流れです。

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人間失格と走れメロスくらいしか知らない

表面だけ読んだら、原因は親というより友人な気がしますね。、
親の前では「こんな奴をもてなす必要はない」と言い、
「『世間』が許さないぞ」と偉そうに責めるけれど、
主人公が立ち直って収入を得るようになれば、たかりに来る。
主人公の妻が襲われていても、「ちょっと来てみろよ」と呼ぶだけで助けず、
「お前もろくなもんじゃないし、奥さんを許してやれよ」と言って退散。
最後は、「不思議な美しい微笑」で優しい言葉をかけ、脳病院へぶち込む。

「あのひとのお父さんが悪いのですよ」と言ったマダムには、
男の麗しい友情に見えていたかもしれないですが。

Kにとっての先生。豊太郎にとっての相沢。私にとっての堀木。
友情なんて嘘くさいものだ(-ω-)

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シヅ子・シゲ子の母子から、手遅れになる前に離れたのは良かったですね。
連れ子を虐待死させるニュースは毎日のように流れてくる。
臆病な道化者で、巻き込んで不幸にした人物がそこまで多くないから、
『人間・失格』『ああなってはもう駄目ね』と評しつつも、
後味が悪くないのだと思う。

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伊坂幸太郎     「AX」   (角川文庫)

  伊坂の大ヒット殺し屋シリーズ「グラスホッパー」「マリアビートル」に次ぐ3作目。
「AX」もすでに45万部を売り上げベストセラー作品となっている

 主人公の三宅はいまは別名「兜」と名乗り殺し屋をしている。一方で文房具メーカーの営業マンとしても働いていて妻も仕事をしていてダブルインカムである。

 殺しの依頼は、謎の個人医師に呼び出され行われる、兜は殺し屋をやめたいと思っている。
しかし家のローンも抱えているし、医師に今まで使ったお金がまだ回収できていないと脅され、仕方なく殺し屋を続けている。

 伊坂の作品はどうにもうまく入ってこない。ゲームの世界を描いているように感じる。どうしてきちんと仕事を持っている兜が殺し屋をせねばならないのかわからない。妻も仕事を持っているのだから、収入にはゆとりがある。
 兜が殺し屋になる経過、背景がわからない。その経過の中で、どれだけ指示者の医師がお金を使っているのかもわからない。

 更に人を殺しているのにその報酬額がわからない。そんな危険をおかすのだから数千万円にはすくなくてもなる。家のローンなど2回も人殺しをすれば回収できるように思う。

 伊坂の作品ではそんな何故を思ってはいけないのだ。とにかくそうなっているのだからつべこべ言わずに受け入れて物語を楽しめと言われているようだ。

 この物語で唯一受入れできて面白いのは兜が強烈な恐妻家であるところ。妻と幸に暮らすためには、夫はどう身を処すべきかは深く切り込んでいて、納得感がある。

 とにかく読んでいていつもどうしてが浮かんできて読書を邪魔し、本当に弱ってしまう。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「風の果て」(下)(文春文庫)

 会社に入ったころは、いつも7-8人の仲間がいて、遊びや酒飲み、会社に対する批判を大声で言い合い、夏冬の旅行をつるんでやっていた良き青春時代だった。

 そんな仲間が、一人、二人と海外駐在になるようになり、帰国すると地位も得て、仕事も多忙となり、全く昔の仲間の交流が無くなった。

 片貝道場の同僚、主人公の上村隼太(後の桑山又左衛門)、野瀬市之承、杉山鹿之助、三矢庄六、寺田一蔵の5人は道場だけでなく、勉学も遊びもいつも一緒互いに大切な友達と認識しあっていた。この中で、杉山は元執政(老中、家老)の家柄で1000石の報酬を得ていて別格、残りの4人は登城する必要のない部屋住み家臣で報酬も160石から35石の下級武士だった。

武士の身分にも公務員のキャリアである上士とノンキャリアの下士の二つに完全に分離生活も職務も区別され、上士と下士が交わるということは殆ど無かった。だから遊び代、飲食代は殆ど上士の鹿之助が持っていた。下士の長男は家督を継げるが、次男以下は災難だった。同じ下士で女性の子しかいない家を探し、そこに婿入りするか脱藩し浪人となり、自ら食うための仕事を探すかしか生きていく方策がない。この2つの方法からあぶれる独身のまま長男の家に寄生する身分となりこんな独身は厄介叔父と言われ蔑まれる。

 上村隼太は大蔵が原という不毛の地の開墾を上士である桑山孫助の支援もあり成功させた。普通はありえないが上士の桑山の娘満江と結婚し、桑山家に養子にはいり桑山又左衛門と改名する。そこからスピード出世をして、片貝道場の仲間であった杉山鹿之助を凌ぎ、筆頭家老にのぼりつめる。そんな時に昔の道場仲間の野瀬市之承より決闘果たし状がくる。

 野瀬は何故又左衛門に果たし状を送ったのだろうか。作品では色んなにおわすことは書かれているが、明確にはしていない。

 野瀬の人生は、輝かしい又左衛門に比べ、暗くみじめなものだった。同じ仲間だった一蔵が殺人を犯し、脱藩逃走。それを追っかけ殺害することを藩から命ぜられる。大の親友だった仲間を殺すことは辛かっただろう。それから武士閣僚の異例の出世には必ず殺しが伴った。野瀬は暗殺者として勤めをさせられ、陰の扶持をもらって多くの武士を殺害した。

 果たし状を又左衛門に送ったとき、野瀬は不治の病に陥っていて、老い先短い人生になっていた。明るく輝く道を歩むかっての仲間又左衛門に比し、自らの人生はあまりにも暗く辛すぎる。死ぬのなら最後又左衛門と切りあい死にたい。わかる心情だ。

 私の青春の時の会社仲間、今は殺害なんてことはできない。かっての会社仲間から社長がでた。久しぶりに集まって明るく社長就任のお祝いをした。

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| 古本読書日記 | 11:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「風の果て」(上)(文春文庫)

 NHKでもドラマ化された藤沢の名作のひとつ。
物語は東北の小藩の筆頭家老まで上り詰めた主人公桑山又左衛門のところに、かっての片貝道場の同僚野瀬市之承より決闘果たし状が届くところから始まる。

 そして、かっては同じ仲間だったのに、何故果たし状までもらうような冷たい関係になってしまったのか、過去を又左衛門が回想する形で物語は進行する。

 物語の評価については、下巻の書評で書く。

私は田舎の百姓の子に産まれた。藤沢を読んで胸にいつもズシンと来るのは、藤沢が百姓や普通の人々を表現するのに、地についた、彼らの言葉を生き生きと表現しているところだ。

 こんな言葉を自然に表現する作家はもはや存在しないし、これからも出てこないのではと思う。血と肉がしみついた表現を持つ最後の作家のような気がする。

 この上巻にも、又左衛門の義父飛助の言葉がずしんとくる。
「百姓というものは、見ておると実にひまなく働くものだ。雪の降る冬だけは田仕事から解き放されていくらかひまになるというものの、それでも冬仕事というものはある。藁仕事、山仕事。一年の間に使う縄、草鞋といったものは、冬の間に作らねばならないし、俵、筵を編まねばならん。なお余力があれば蓑をつくろい、背負子をつくろうというふうでな。その上に山奥から大木、大石を切り出すのは、橇がつかえる冬の仕事だ。」

 本当にこの通りと思う。
冬中、春に備えて繩造りをしていた父の姿を思い起こさせる。
三日おきに、山に炭焼きに連れていかれるのが苦痛だった。

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ちくま日本文学  『中島敦』

有言実行。ようやく1週間後に読み終わりました。
ブログ内検索してみたら、2014年にも「いずれ読んでみたい」と書いていました。
読むからには最初から最後までちゃんと、と思うわけで。うん。

作者が死んだのは三十四歳。私は追い抜いてしまう(-ω-)

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しんどかったのは、「かめれおん日記」。
あんまり、カメレオンは関係ない。
内省的というか哲学的というか、分かったようなわからないような。
中国ものも、注釈と見較べて疲れましたが、
ドラマとしての面白さがあるので、まだいける。
パラオが舞台の話は、長さもほどほどなので、楽しかったです。

「のだめカンタービレに、沙悟浄というあだ名のキャラがいたなぁ」
と思いながら、悟浄の2編を読みました。
西遊記は、三蔵法師・孫悟空・猪八戒・沙悟浄の名前程度しか知らない。
(夏目雅子・堺正章・ドラゴンボール・ゴダイゴ……うーん)

あと、「巡査の居る風景」でひっかかり、ググって、
関東大震災でデマによる朝鮮人虐殺があったと知りました。
こういうのは、知識として持っておいた方がいいんでしょうね。

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藤沢周平    「闇の梯子」(文春文庫)

 藤沢初期の5編の中短編集を収録。
本のタイトルにもなっている「闇の梯子」も佳品だが、トップで収録されている「父(チャン)と呼べ」が良かった。

 大工の徳五郎は仕事帰りの途中、老人と痩せた中背の男がもみあっているのに遭遇した。そこに一人の幼い男の子がいて、老人の足にしがみつき懸命に懐に手をいれている。
もみ合いは老人が男を殴り倒して終わる。

 辻場所から駆け付けた見廻りが、倒れた男をしょっぴいて連れて行った。草陰に隠れていた幼子を「もう大丈夫だ」と言って誘い出したが、家のことやお母さんについても聞いても何も言わないので仕方なく家に連れて帰る。その道々色々聞くが子どもは何もしゃべらない。

 妻のお吉は驚くが、訳を話してやりごはんを食べさせて寝かす。

翌日棟梁に昨日のことを話す。棟梁が調べると、争った男は物取りの常習犯で、もし昨日物取りがうまくいっていると死罪になるが、未遂だったので島おくりとなるだろうという。

 徳五郎には一人息子の徳治がいた。とんでもない不良で、ずっと前家をでたきり戻ってこなかった。ある晩家に2人のやくざが訪ねてきて、徳治をだせという。徳治が組のお金を10両使い込んで、親分が連れてこいといっている。徳治がいないのでまた来ると言って2人は消える。

 その徳治が突然帰ってくる。仲間に追いかけられているから匿ってくれと。徳治は懸命に男に抵抗するが、立ち上がれないほど殴られ、けられる。その時何も今までしゃべらなかった子が初めて叫ぶ。
「父(チャン)死なないで、起きてくれよ。」
眼を覚ますと、徳治は不良に連れていかれた後だった。

しばらくして仕事を終え、家に帰ると子供がいない。徳五郎がお吉を問い詰めると美人の女がやってきて、子供の母親なので子供を連れて帰ると言う。お吉は抵抗したが、子供が走り母親に縋りつく。

 徳五郎は誰もいなくなったことを知る。そしてお吉に言う。
「おれのことをチャンと呼べ」
お吉は何をバカなことをと言うが、徳五郎がしつこく迫るので

 「チャン」と言う。「オーっ」と徳五郎が答える。
「チャン」「オー」が何回も繰り返される。その掛け合いの声がだんだん大きくなる。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「風雪の檻 獄医立花登手控え二」(文春文庫)

 青春の素晴らしいところは何だろう。純真無垢でお金は無いし世渡り上手では無いけれど熱い情熱で突っ走るところだろう。

 それから法務大臣も署名してまさに死刑が執行されようとしている寸前で、無罪とわかったとき、執行は止まるだろうか。公式な手順は進んでいる。何となくこんな状態が起きたら執行を重視する官僚制度では、死刑が執行されるのではと思ってしまう。

 この作品では、青春のすばらしさが感動を持って表現される。

  大津屋の旦那が血まみれの匕首を持っている。その場所には妾が亡くなって倒れている。誰がどうみても、旦那が殺害犯人である。

 ところが大津屋の主人は牢獄に入っても、拷問を行っても、自分は殺していないと言い張る。主人は牢獄で何も食べられなくなりやせ細ってゆく。

 しかし、主人公の獄医立花登は、居候している医者の娘の少し不良っぽい娘おちえが大津屋のおかみと手代が仲良くしているところを見たという目撃談を知り、大津屋の主人は無実ではないかと思う。

 そして自分の考えを岡っ引きの吉次に言う。しかし、登は吉次の上司でもない。しかもどうみたって犯人は大津屋の主人。だれもが、登の考えはしりぞける。しかし吉次はそんな見方もあったのかと新たに捜査をし、関係者の証言を取り直し、徹夜で犯人は大津屋の手代だと突き止める。

 しかし、老中からの死刑執行命令は下され、徹夜明けの朝執行されることになっている。
登は執行を待つように懸命に頼むが、規則通りに官僚は動く。それは止められないと言う。

 ひどい話だと思って読み進むと、徹夜で懸命に吉次が書いた上申書が同心から老中にわたり、死刑執行停止の命令書を握りしめ、吉次が執行場所に駆け込んでくる。

 自分の我を通さず、素直に失敗を認めて、それを取り戻すため、懸命に走る吉次の姿に感動する。
 青春は素晴らしい。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平 「霧の果て 神谷玄次郎 捕物控」(文春文庫)

 北奉行所 定町廻り同心の主人公神谷玄次郎は全く不良同心。役所には出勤しないし、定められている街の見回りもせず、行きつけの茶屋「よし野」の女主人お津世とねんごろになって遊びほうけている。当然このひどい勤務態度では上司の与力金子は失職させたいのだが、難事件を名推理にて次々解決するのだから、失職させられない。

 15年前、佐代という札差井筒屋に奉公していた娘が殺害される。この事件を追っていたのが源次郎の父で当時同心だった父神谷勝左衛門。この追及途中で、何と亥治郎の母と妹も殺害される。更に不可解なことに、この事件の捜査に幕府からストップの指示が突然あり、
勝左衛門はショックを受け、病気を患い1年後に亡くなってしまう。

 物語は事件を解決してゆく、短編と、15年前の事件を追う亥治郎の物語が折り重なって描かれる。雰囲気はアウトロー、ハードボイルド小説となっている。

 材木屋奥州屋の奉公人増吉が殺害される。その時奥州屋からは娘お園の簪が無くなったので探してほしいとの願いが奉行所に届けられていた。実は簪は、お園の結婚相手の神戸の米屋神戸屋の惣領準之助から贈られた高価なものだった。

 お園は奉公人幸七と深い関係にあり準之助とは結婚したくなかった。2人は駆け落ちをしようとしていた。2人は空部屋で毎晩抱き合っていた。幸七と増吉は同部屋だった。幸七は増吉が寝静まると部屋をぬけだしお園の待つ部屋にゆく。それを後から増吉が追いかけ隣部屋から2人を覗く、そして2人が結婚式前に駆け落ちしようとしていることを知る。その時お園の簪が落とし忘れる。それを、増吉が拾い、準之助にみせる。

 準之助はお園と結婚したかった。それで簪を増吉から高額で買い取る。

 準之助は増吉を殺害する。そして奥州屋を訪ねたとき、簪を幸七の行李に入れる。殺害を幸七にかぶせるため。それが亥治郎の推理により暴かれる。

 しかし、準之助が増吉を殺害したことが物語の発端になっているのだが、その動機、理由がよくわからない。そこに納得感がある背景が欲しい。もうひとひねりが必要だった。

 しかし藤沢はすごい作家である。亥治郎の手下に岡引きの銀蔵がる。その容姿を次のように表現する。
 「どうみても田舎のごんぼ掘りといった格好」
「ごんぼ掘り」は普通の作家ではでてこない。生活に密着したあざやかな表現。感動した。

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| 古本読書日記 | 06:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「隠し剣 孤影抄」(文春文庫)

 その剣術は秘伝。これだと認めた人間だけに剣術指南役から密かに伝授される。剣客小説の新しい境地を切り開いた8編を収録した小説集。

 赤倉不動は麓から二十町ほど入った谷合にある。毎年春秋二回本尊の開帳があり、その時は多くの参詣客でにぎわう。祈祷を受け、お札をいただくと諸病に効き、霊験あらたかと信仰されている。多くの参詣客はそれで帰るのだが、特に信仰が熱い人はお籠り堂で一夜を明かすという夜籠りという儀式に参加する。主人公の檜山弦之助は母の代理で赤倉不動にやってきて、夜籠りをするため、お籠り堂にはいった。

 そこには雑然と多くの夜具が敷かれていてたくさんの信者がいた。男だけでなく女性もいた。家から持ってきた夕食を食べていると、斜め後ろの女からどうぞと焼き魚をすすめられた。美しい女性である。武家の婦人である。夜になると、手をとりあってでてゆく男女が多数ある。

 女が私たちもでましょうと弦之助を誘う。外は月が輝き明るい。そこここで抱き合う男女がいる。叢に寝ころび、「夜籠りは、自由にだきあってもよい祭りなんですよ」と女から引き寄せられ2人は抱き合う。

 街に帰ると、赤沢という流しの剣士が廃寺で剣道場を開いていた。道場破りをして、悉く申し合いに勝利していた。

 弦之助の父は弥一右衛門は、雲光流の師範代を長年務めていた剣術の達人だったが、今は病に倒れ臥せっている。

 赤沢が絃乃助に申し込みをしてきた。弦之助は剣術から離れて久しいので断ろうとしたら赤沢がとんでもないことを言う。
 「夜籠りでお前が抱いた女は俺の妻だ。申し込みを受けないと、そのことをばらすぞ」と。

 「妻は石女だが、今お腹におまえの子がいる。もし申し込みを受けないとこのことをばらすぞ。」と。

完全に赤沢に諮られた。しかも赤沢は真剣で行うと提案してきた。このままでは、完全に赤沢に負け殺されてしまう。

 そこで臥せっている父親の枕元にゆき、秘伝の「竜尾返し」を教えてくれるよう頼む。しかし父親の言っていることがわからない。それでいつも父のそばにいる姉の宇禰に聞いてもらう。長い時間かかった後、宇禰が弦之助を外の河原に連れ出す。宇禰が「竜尾返し」を懸命に教える。

 果し合い当日、ものすごい勢いの刀が赤沢から上段より弦之助に振り下ろされる。弦之助は驚いた様子でしゃがみこみ、背中をみせる。一瞬赤沢が虚をつかれる。その途端振返った弦之助が下から喉元に向け短刀を突き刺す。これが秘伝「竜尾返し」。

 戦いの後、弦之助は廃寺に向かう。その時すでに赤沢の妻は旅にでてしまっていた。
弦之助の果し合いの場面の一瞬の赤沢の躊躇の場面が見事。藤沢剣客小説を堪能した。

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| 古本読書日記 | 06:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「驟り雨」(新潮文庫)

 11編の短編集。

 「運の尽き」がおもしろい。

主人公の参次郎。ちょっとぐれた遊び仲間と居酒屋「おさん」に集まって女性を征服した自慢話をしている。参次郎が、米屋の一人娘をひっかけて遊んだ自慢話を大声でする。

それを聞いた米屋の主人信次郎が、怒り狂い怪力で参次郎を米屋に引っ張ってゆく。
その後毎日参次郎は米やで力仕事をやらされる。

二年もたつと、優男だった参次郎、筋力まんまんの男に変身する。米俵一俵を軽々かつげるようになる。

 信次郎が娘をお前にくれてやると宣言する。遊びの時はへちゃむくれと思ったが2年たって色気がでて魅力的な女性に米屋の娘は変わっている。
 それで結婚を決意する。

しばらくぶりに居酒屋「おさん」に行く。相変わらず、昔の仲間が女性の話題で騒いでいる。

参次郎はみんなをみて「皆人相がわるくなったなあ」としみじみ思う。
 信次郎は昔がたぎの頑固親父でいい親父だなあと思う。参次郎もいい後継ぎになりそうだ。

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| 古本読書日記 | 05:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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鷺沢萠  『コマのおかあさん』

コマは、
「こ、これはあたしが飼わなきゃホンットに保健所行きになるタイプの犬だぁ……」
「こ、こんなに大っきいのに『座敷犬』なんですか……?」
となるような、ザ・雑種の犬です。鼻黒です。

同じく鼻黒の、我が家のさくらも、
「あれは家の中で飼う犬じゃない」と祖母に言われています。
コマと違ってよく吠えるので、
「ご近所さんは迷惑しているだろうから、お詫びに伺ったほうがいい」
と続きます。

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抜け毛がひどく、愛想がよくて、盗み食いするけど、おおむねイイコ。
あるあるエピソードが楽しく綴られています。

「もしおかあさんが事故か何かに遭って死んでしまって
 誰かに引き取られる、というようなことになったら、
 もうその翌日にはおかあさんのことなどすっかり忘れて、
 新しい飼い主にシッポを振ってるに違いないんですから」
「心の中では、『アタシより先に死んでくれるなよ…』と理不尽なことを願っている」

2004年に作者が自ら死を選んだ後、コマは2009年まで生きたようです。
この本にも登場するお姉さんが、コマを引き取ってくれたそうな。

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恩田陸   「終りなき夜に生まれつく」(文春文庫)

 長編「夜の底は柔らかな幻」のスピンオフした短編4編が収録されている。本編より過去を扱い、本編に継承されるようになっているようだ。

 作品は本編を読んでいることが前提になっているようで、未読だった私には中身がよくわからず、最初戸惑った。

 まず当たり前のように「在色者」という人間が登場する。なんの説明もなしに「在色者」がいきなり登場するので、これが何なのか思いめぐらし困った。読んでくうちに、超能力者であることがわかる。色が超能力を指す。この色は、それが使われると、社会を破壊したり、他人を抹殺することが簡単にできる。そして、その力を使った在色者はそれにより大きな反動をうけ、精神的破綻をおこす。そのため。その力を緩和する薬の開発が進行している。

 例えば、建物建設中の足場が突然崩れ、それに下敷きになり2人が即死する。あるいは、人や物が、宙に浮かび、それをいきなり地上に落とす。あるいは、学校の食堂の中で、鳥が群れて飛び回っていると思ってよくみると、食堂の食器や箸や、書物や筆記用具がぶんぶん宙を飛び回っているなど。

 次に今の高知県を想像させるが、「途鎖国」という日本に属しているが、半独立している国が存在する。この国は鎖国状態で、出国が難しい。更に一旦出国して再入国するのはもっと難しい。何でこんな国ができあがったのだろうかと注意して読むと、「途鎖国」ではたくさんの在色者が存在するから。

 在色者と一般の人間とは対立している。だから、日本にとっても「途鎖国」にとっても、在色者と普通人がまざりあっていることを忌避する。だから、出入国管理が厳しくなるのだ。

 更に在色者たちの間でも派が分かれ対立している。
本編「夜の底は柔らかな幻」の内容がわからないので、何とも言えないが、紹介した知識があれば本編も楽しめそうな気がする。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平  「刺客用心棒日月抄三」(新潮文庫)

 名作シリーズの三作目。前二作では藩の密命をおびて江戸に脱藩して浪人として行った主人公青江又八郎。所属藩が小藩でお金が無いということで、手当給金無しで出かけたが、それは可哀想ということでこの三作目では給金を持たされて江戸にむかう。しかし、江戸の借家でそのお金を盗賊にすべて奪われ文無しとなる。

 こうなると、前作同様、口入屋(民間ハローワークのようなもの)の相模屋市蔵に用心棒の仕事を紹介されて、日銭をかせがねばならなくなる。

 面白いのが「隠れ蓑」。今回の依頼人は藍玉問屋の佐川屋六兵衛。この六兵衛、愛人のおきんを抱えていて毎晩おきんの家で過ごす。

 ところが数日前おきん宅からの帰宅途中何者かに襲われる。そこで、自分を守ってくれるための用心棒を相模屋に依頼する。
おきんは「駕籠を使うか、朝明るくなってから帰れば」というがケチな六兵衛は拒否。さらに朝は主人として自分の家にいないと店の者に示しがつかないと言い張り夜明け前に帰宅することを譲らない。

 江戸時代の身分制度は士農工商。武士が圧倒的に偉いのである。しかし、そこが全く逆転して、最下層の商人を武士が守るのである。しかも、妾と睦あっている間、隣部屋に控えて六兵衛を守り、愛の交歓の後店に警護をしながら送っていく。このコントラスト、悲哀が実にうまく描かれている。

 しかも六兵衛がこの帰宅途中に何者かに拉致され、30両を身代金として要求される。
用心棒の大失態である。しかし調べると、拉致したのは愛人おきんが集めた者たち。

 六兵衛の愛人手当がケチで少なく、国の弟が病気で葬式代欲しさに仕組んだことがわかる。
猶更用心棒である武士又八郎のわびしさがこみあげてくる。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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矢作俊彦  「ドアを開いて彼女の中へ」(新潮文庫)

 あれが欲しい、これも欲しいと欲望のありかたを追求するエッセイ集。
床屋の椅子が欲しいというエッセイ。私と矢作は一歳違いだけなのに、住んでいた場所の関係か、私には未経験のことが書かれていた。

 私は小さい頃、床屋に行ったことは無かった。父親がバリカンで髪を切ってくれたからだ。矢作も床屋に行ったことは無かった。当時、床屋は行く所ではなく、やってくるものだった。

 たいがい床屋は中国人がやっていたらしい。おおきなカバンを抱えていた。家の奥まではいりこんで、祖母、祖父と長い話をした。おもむろにカバンから小さな丸椅子が取り出されそこに座らされて、大きなエプロンを首にまわされた。イーゼルみたいな鏡台がセットされ、梅の木に皮ベルトがつるされ剃刀の刃を研いだ。おばあさんが、盥に熱い湯を用意した。

 昔は物売りだけでなく、職人も仕事道具を持って行商してまわり歩いた。

 矢作は言う。ほしいものと言ったら何といっても床屋の椅子だと。
 私も本当にそうだと思う。

 特に不眠症の人にはよい。あの椅子に腰を深くして坐ると、それだけでどうしてかわからないが眠ってしまう。不思議な椅子だ。

 小さい頃は、テレビのある家が少なかった。テレビのある家のひとつが床屋だった。
あの弾力のある椅子にすわりながら、白黒の巨人ー阪神戦をみた。王が4打席連続ホームランを打った。椅子から転げおちそうになった。床屋の親父の手元も怪しかった。

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| 古本読書日記 | 07:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「凶刃 用心棒日月抄四」(新潮文庫)

 用心棒日月抄の最終シリーズ作品。前の3巻は、連作短編集の形となっていたが、最終版である本作品は400ページ以上の長編となっている。

 さらにこの作品では主人公青江又八郎がそれまでは藩の密命をおび、表向き脱藩し浪人となって江戸に向かうが、前作から16年たっており、又八郎は近習頭取となっていて、江戸詰めの近習頭取小塚が病気のため、彼が回復するまでの期間6か月間江戸に代わりに行くという役目を持っての派遣である。

 物語は、全編江戸の影用人組嗅足組のリーダー谷口佐知と又八郎の恋と、この嗅足組の解散物語になっているように思われるが、本質は異なっている。それに引っ張られると何の物語かわからなくなる。

 3つ重要な鍵がある。又八郎の剣術のライバルで友人の河井甚之丞と牧与之助の役割。
 
 それから、藩領地の隣に幕府直轄の天領があり、そこの境が不明確になったままになっている。幕府はその天領を大がかりの新田開発を目論む。そのため、隠密に行商人を装い藩に忍ばせ、勝手に領地を確定させるため測量地図を作製させる。その隠密の行動が怪しいことに氣づき、藩の武士が隠密を殺害してしまう事件が起きる。

 更に、藩主壱岐守の側室お卯乃の出自が幕府旗本久保の娘になっているが、実は出自不明の捨て子ではないかと疑われる。これは藩として絶対秘密にしておかねばならない。このことを巡って毒殺を含めて多くの関係者が殺害される。

 これらが緊張感をよびおこし、その殺害の黒幕が友人牧与之助、この又八郎と与之助の最後の対決はすさまじい。

 これに、又八郎と佐知の悲恋が背景として流れ、味わい深い作品となっている。

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| 古本読書日記 | 07:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平   「神隠し」(新潮文庫)

 短編集。「鬼」が印象に残った。

 主人公のサチは不器量である。それも並外れている。まわりの子供たちから「鬼」と呼ばれている。

 サチが川面で洗濯をしていると、傷ついた武士がやってくる。2-3日かくまってほしいという。なかなか色男の武士である。川面から道に上がるとき手をつないで引き上げてやる。

サチは男と手をつなぐことの経験はない。そのとき胸ときめいて稲倉に連れてゆきかくまってあげる。その武士は、貧困地域に対する厳しい年貢の取り立てに怒り、農民をリードして藩に反旗をひるがえし、逃げていた。

 毎日サチはご飯を稲倉に届ける。そんな時、武士はサチが可愛いと言って抱いてくれる。サチは武士に身をよせる、サチの初めての恋である。

 しかし追っ手は迫る。そして稲倉にかくまっていることが暴かれる。
武士はつかまり、死出の旅路にでる。
サチはせつない。武士は「ありがとう」とサチに心をこめて言う。

サチは、自分が醜いことを知っている。しかし自分は誰もできない最高の恋をしたと実感している。だからずっとこれからも生きていけると思う。
 物語の中身は正直陳腐だ。しかし、歴史物にして、名人藤沢の手にかかると味わい深い作品に衣替えする。

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| 古本読書日記 | 06:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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笑点の謎

先日の、「紹介された本を、これから何冊か読んでみます」は、嘘じゃないんですよ。
カフカ「変身」の後、「人間失格」・中島敦作品集・「笑点の謎」を同時並行したというだけで。

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ミレニアムフィーバーな頃に出版された本です。
ここに出てくる円楽さんは、腹黒なインテリではなく、馬面の元「星の王子様」。
私(昭和末期生まれ)の記憶ではすでにおじちゃんですが、Wikipediaの写真は26歳。
若い頃は結構イケていたのかもですねぇ。

「この寿司屋に行けば、この雀荘に行けば、メンバーの誰それに会えるかも」
「こん平さんの声が大きいのは、食事時に遠くの田んぼにいる親を呼んでいたから」
みたいな、フライデー臭いネタや憶測ネタも書かれています。
本に残すほどのもんじゃないよなぁ( ̄▽ ̄;)
過去に出たグッズ、視聴率が高かった回、面白ハプニングなんかは、興味深かったです。

小遊三さんが聖火ランナーをやったというネタも入っていました。
二度目に挑戦するそうですね。
着火はしたが、さて、開催できるのやら。

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さくら 3歳

3月10日生まれということになっています。3歳ですね。
野犬の子ですので、正確な誕生日は分かりません。
保護された時のサイズから逆算して、3月10日ごろという話。
たぶん、この中にいたんじゃないかと思う。

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これが

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こうなった

爺やはペットに甘く、食卓からあれこれあげてしまう人です。

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が、しばらく前からゆめこさんは病人(病犬)です。
獣医さんが、「低アレルゲンのフードで、症状が軽減される可能性はある」とな。
そんなわけで、最近はメディコート<アレルカット>シリーズのフードやおやつだけ。
残って冷凍したご飯とか、身の残った魚の骨とか、爺やのおこぼれとか、全部さくらに行くわけです。

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おかげで、さくらはふくよかです。ゆめこはスリムになりました。
先代のテリーもふくよかだったから、ビーグルはむっちりと思うだけで、今の体重が健康的でしょう。
病的なほど痩せてはいません。

おまけ
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先代です。犯人は、未就学児だったねえや(私)です。

| 日記 | 00:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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藤沢周平  「愛憎の檻獄医立花登手控(三)」(文春文庫)

 獄医立花登シリーズの第3弾。獄医というのは、監獄にしゅうかん収監されている囚人を定期的に健康診断したり、囚人に病気が発生した場合、治療を担当する医師のことである。

 藤沢の非凡なところは、誰も気が付かない獄医を主人公にして物語を創るところ。
この作品連作集で印象に残ったのは「皆殺し」という作品。

 牢獄の中で殺人が発生する。しかいし殺された人は例外なく、獄医の検死により自然死となる。

 牢獄内で殺人となると、看守である役人や、場合によっては奉行所役人まで責任がとわれる。更に牢獄外での事件が多発していて牢獄内での事件の捜査に人を割くことはできない。こんな中で、とても獄医が殺人などという検死書を作成できない。

 なにしろ、牢獄に収容されている囚人が多すぎ、生活条件がひどすぎるということで、多くの殺人が起こる。それがすべて自然死になる。

物語では、どうしても殺さねばならない奴が牢獄にいる。殺害を目論む者は微罪で故意に捕まる。そして殺人を実行する。とにかく牢獄では罪にならず人殺しが実行できる。

 主人公の立花登は死体検分で、遺体が人殺しで死んだことを認識する。しかし、報告書は心臓発作とする。しかし、その後調査をして、殺人者が判明する。

 しかし、自然死として自らも検視結果をだしている。だから、殺しは行われていないとなる。

 中国でコロナウィルス対応で政府をネットで批判していた人が、行方不明になる。多分すでに自然死?したのだろう。
 医者を巻き込んで、国家が人殺しを行う。本当に恐ろしい。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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矢作俊彦   「真夜中へもう一歩」(角川文庫)

 暴対法が施行されて、暴力団の表立った活動ができにくくなった。それで、構成員も少なくなった。しかし、辞めた暴力団員はどこへ消えたのだろうか。資金が潤沢な団員は、この作品では、政治家になったり、地方の名士、それから病院経営者になったりしたと言っている。

 みための印象で言っては失礼とは思うが、IR汚職で逮捕された秋元議員の言動が報道されるたびに、この作品の言っていることは本当なんだなあとつい思ってしまう。

 この物語の舞台は精神病院だ。一般病院は、診療時間数分。患者を回転させ金を稼ぐ。精神病院はカウンセリングが数十分必要となり患者回転数が少なく、あまり儲けにはならない。

 作品の精神病院は入院ベッド数が300床にも拘わらず、常に450人の患者が入院していることになっている。そしてこの450人は、その殆どがホームレスや身寄りのない孤独老人で、治療費は公費負担。300人しか入院できないのに、入院患者が450人いるということは、病院内で人が消されているということが起こっていることになる。死亡診断書は医師が作成する。病院内で死亡させるタイミングは病院が決める、死亡診断書は突発性心不全などの自然死。死亡した人は身寄りが無かったり、家族に見放された人、どこからも追及がない。これで、ごっそり公費をせしめる。

 さらに死体を解剖して、内臓をとりだす。闇でおこなわれちる臓器移植手術医者に高額で売り渡す。更に新薬治験にも患者は使われる。

 ぼろ儲けをする。

まるで病院が人間ロンダリングの場になっている。患者が医者の死亡診断書により、自然死の遺体に生まれ変わり、殺人が消される。

 殺人が犯罪にならない方法がある。金はかかる。だからこんな病院を通して殺人ができるのは、政治家やセレブの階級の人たちしかいない。

 読んでいて恐ろしくなるが、これは世の中には絶対に存在すると確信をもってしまう。

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| 古本読書日記 | 06:23 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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矢作俊彦  「引擎/ENGINE」 (新潮文庫)

 矢作俊彦、堀口大学のメキシコ革命を舞台にした青春時代の波乱の恋を描いた作品「悲劇週間」に感動していたので興味を持ちこの作品を手に取ってみた。
 相変わらず文章は荒っぽい。そして雑だなあと感じた。

意図があるのかわからないが、主人公の刑事片瀬游二の表現が「彼」だったり「游二」だったりして乱れている。またズボンをハードボイルドを意識しているのか「トゥラウザーズ」と表現。素直にズボンにすべき、文章から浮いてしまっている。

 超高級車や銃が多く登場するが、読者には殆ど馴染みがなく、細かく部品まで説明するが、何を言っているのかわからず、ついてゆけない。読者と矢作の間に大きな壁があり、矢作もこの物語についてこれない読者はいらないと雰囲気がある。だから一般読者には読みにくい作品になっている。

 物語は、高級外車窃盗団を追って銀座で張り込みをしていた築地署の捜査一課、そこに超高級車ランチアテーマ・8・32に乗った謎の女が登場し、銃を乱射。ティファニーから宝石を奪い、築地署の茂原刑事を射殺して逃げ去る。

 白昼堂々に発生した事件、」しかも刑事が殺される。その捜査方法をめぐり、世論が沸騰。世論に対するいけにえに主人公の片瀬刑事がされ、片瀬は捜査本部からはずされ、刑事という身分もはく奪され一人で謎の女を追うことになる。

 その過程でお決まりの中国人マフィア、それから中古車の密輸先ロシアマフィア、そしてパキスタン マフィアまで登場しておびただしい数の人間が殺害される。

 舞台も東京、密輸基地新潟、そして最後は沖縄と目まぐるしく動く。そして事件の黒幕は憲法を改正して、武装国に日本をしようとする飯島という政治家まで飛躍する。

 いろんな事件の真相は、最後沖縄での謎の女との対決中に明らかにされてゆくが、読んでいる間、何でこんなことが起きるのかわからず戸惑うばかり。
 とにかくよみにくい。矢作の作品をあと4-5冊買い込んである。それを思うとこの後が辛い。

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| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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