笹倉明 「上海嘘婚の殺人」(祥伝社文庫)
上海に渡航すると、その繁栄ぶりは東京をしのぐほど、何でそこまでして日本を目指すのかさっぱりわからなかった。
上海も人口1400万人。ぜいたくな暮らしを謳歌しているのは本当に一握りで、大多数は貧しい暮らしを強いられている。それで日本を目指す。
日本に来て、男性はマフィアの一員に取り込まれ、女性はもっぱら売春で稼ぐ。
しかし偽造パスポートで入国しても、一時ビザで入国しても滞在できるのはわずかな期間。期限きれで滞在していると不法滞在で日本から追い出される。
それで、どうするかというと異性にお金を払い偽装結婚をして永久的に滞在することを試みる。
密航女性はこの作品では売春で一か月60万円を稼ぐ。不法入国の斡旋屋や、偽装結婚相手の斡旋で背負った借金を毎月返しても、まだゆとりのある暮らしができる。中国に追い返されたらまたあのどん底の暮らしが待っている。だから中国に帰るなど考えられない。
ところが最近は、偽装結婚が多発しているために、法務省は、夫婦の生活状況や、結婚に至る経過を問いただし、その結果、結婚を認めるようになっている。
結婚前のデートの写真や、ラブレターなどが証拠として求められる。もちろん同居しているかも。
相手の男も、偽装結婚のために、斡旋屋からお金をもらっている。しかし、偽装のために数回でも2人が接触していると、特に男は本当に結婚をしたくなり、必死に求婚をする。それに弱り切った女性が事件を起こす。
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| 古本読書日記 | 05:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑