夏石鈴子 平間至 「きっと大丈夫」(角川文庫)
自分は正しいという強い信念が表出しすぎていて、鼻につく部分はあるが、その真っすぐさが小気味よく楽しい作品になっている。
待機児童が問題になっている。双子の子供がいる。兄は認可保育園に通っているが、弟は同じ保育園にいない。どうしてそんなことのなるのか。2人も同時に保育園に入れるとなると、不公平になるから一人しか入れない。両親の介護を抱えているため、保育室に子供を預けている。これが限度は2か月間と決められている。どうして、もう少し家庭の状況を考慮して長い期間預けることができないのか。
「困っている人は、あなただけでなく吐いて捨てるほどたくさんいる。あなただけを優遇はできない。」と公務員である職員はつれなく答える。
ここに夏石さんは怒りをぶつける。こういうところが一途であり、自分が正しいと思い込んでいる性格がでている。少し冷静にみれば、職員の言い分もあながち間違っているようには思えない。
母親だけを集めた一歳六か月の歯科検診時、保健センターの歯科衛生士がみんなに向かって言う。
「こうやってよくブラッシングしてください。特に前歯のすき間は、虫歯さんができやすいのです。今、虫歯さんができたら、この年齢では削ったりする治療ができません。」
相手は子供ではなく、れっきとした大人の母親たちである。少し相手を馬鹿にしていないか。何なのだ「虫歯さん」とは。ちゃんと「虫歯」と言え。虫歯にさんなどつけるな。
これは確かにその通りだ。最近はこの種の話が多く、ふっと違和感を覚えることが頻繁にある。
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| 古本読書日記 | 05:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑