三谷幸喜 「清須会議」(幻冬舎文庫)
信長の宿老4人が集まる。柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興の4人。もう一人の滝川一益は関東へ出兵中で参加できなかったとされるが、この小説では秀吉の腹心、黒田官兵衛が、間に合って清須にはやってきた滝川を、別室で匿い、会議に出席をできないようにしたと書かれている。
ここで、対立していたのが、勝家と秀吉。そして、信長の後継候補に勝家は信長の3男信孝を、秀吉は次男信雄をかつぐ。信孝は、文武に優れ、人望も厚く、多くの戦いの勝利を得ている。これに対し信雄はいわゆる「うつけ者」と言われ、ひ弱で頭もよわく、全く人望も無い。
秀吉は、これを挽回、評判をひっくりかえすため、信孝と信雄の軍にわかれイノシシ狩りをさせ、勇敢にイノシシをしとめた方が武勇に優れ後継者にふさわしい者とするように仕向けた。そして、図って、イノシシが信雄にむかってくるようにし、その後ろに秀吉が控え、矢の放ちどきを指示するようにした。ところが、信雄はせまってくるイノシシに驚愕し、そのまま失神してしまう。これで、信雄の評判は地に落ち、勝家が後ろ盾になっている信孝が後継者になることが間違いないと思われた。
しかし、清須会議本番で、秀吉はとんでもない隠し玉を放つ。何と後継候補に信長直系の孫三法師を推挙したのである。このとき、三法師はまだ3歳。無理ではないかという反対に対し、自分も含め、5宿老が三法師を支えてゆけば何も問題ないと言い切る。
直系の人間を後継にするということには、他の宿老が完全に反対できず、秀吉の隠し玉が通ってしまう。これで、勝家と秀吉の力関係は逆転。
翌年賤ケ岳の戦いで、勝家を秀吉が駆逐し、天下とりにまい進する。
三法師後継は、秀吉ではなく黒田官兵衛の作戦。大将軍の影に名参謀がいる。
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| 古本読書日記 | 07:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑