朝倉かすみ 「恋に焦がれて吉田の上京」(新潮文庫)
まだ出会えていないけど、出会えたら告白して、それで断られたら、気持ちをすっぱり切り替え北海道に帰るのだと言う。もちろん、この告白は採用した後で聞いたことだが。
更に驚いたのだが、この女性は札幌の名門女子大、藤女子大を卒業していて、ご両親は2人とも学校の先生という堅い職業。更に、彼女を応援するために2人の友達が一緒についてきていた。
北海道というところはどういうところなのだと不思議に思った。行動力旺盛で、思い描いたことは、やらないでは済まない。その前には絶対あきらめない。とんでもない女性がいるところだと感動した。
主人公の吉田苑美は、「ささやかなしあわせ」という言葉が大嫌い。「『ささやかなしあわせ』に落ち着くのが一番いいということはわかっている。だが、そこにたどりつくまでに、もうひとあばれしたっていいのではないか。」と強く想い、一目ぼれをした男を追って東京にでてくる。
北海道の女性はここぞと思うときにはちゃんと口にだして、ストレートに気持ちを伝える。もったいぶって、屋外でぐずぐず駆け引きをしているうちに、真冬の北海道では凍死してしまうから。
なるほど、だから勇ましい女性が育つのか。
私のところに勤めた女性は、この作品の苑美と異なり、告白が通じて結婚をし、今浜松で幸せな生活を送っている。
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| 古本読書日記 | 10:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑