辻村深月 「ネオカル日和」(講談社文庫)
ある日の午後、「ひらかわ」の前を歩く。いつも人だかりがあるのに、その日は誰もいない。そんな時、お兄さんに呼び止められた。
「いつも、行列ができるわけではないんだ。午後の今の時間はだれもいない。」
そして、主人公の子に、たいやきをタダであげるから、公園で食べてと言われる。びっくり、うれしくなって公園に行ってベンチに座ってたい焼きを食べる。そのベンチにはいつも、若いお姉さんがスケッチをしている。お姉さんがちらっと主人公の食べてるたいやきをみる。
次の日もたいやきをタダでもらい。また、ベンチで食べそしてお姉さんがまたちらっとみる。
その次の日、「ひらかわ」に行くと、お姉さんとお兄さんが嬉しそうに話しをしている。完全に恋人同士のよう。主人公の女の子は、衝撃を受ける。大好きなお兄さんがとられてしまったと。それから「ひらかわ」の前を通ってもお兄さんは声をかけてくれない。
女の子は直接声をかけられないお兄さんが、自分を使ってお姉さんを引き寄せようとしていたことを知る。切ない気持ちが一杯になった。
辻村さんが小学生の時、びっくりするのだが、クラスで小説を書くことが流行ったときがあったそうだ。他の皆は恋物語を書く。題が「明日のボールを君に」とか「レモン色の濃い占い」など。そんな時、辻村さんが生まれて初めて書いた小説。その題名が「さまよえる悪霊の中に」。流石、天才辻村さんだと感心した。
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| 古本読書日記 | 21:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑