今野敏 「ICON」(講談社文庫)
私の世代の人間が知っているアイドルというのは、テレビ、映画に活躍していて、誰でも知っている人だった。しかし富田真由さんというアイドルは知らなかった。そもそも、私たちが理解しているアイドルからはかけ離れている。ごく一部の熱狂的なマニアックの人たちしか知らない存在、その人をアイドルと呼ぶ。サブカルにカテゴライズされる人である。
この作品も、パソコン通信で熱狂的なマニアが燃え上がる、有森恵美という名のアイドルが事件の鍵を握る。熱狂的ファンを集めて、ライブハウスなどで、「有森恵美コンサート」が行われる。これが不思議なのだが、有森本人が登場したことがないのである。有森公認という「アリモリ ファミリー」「アリモリ サポート バンド」が演奏するだけ。この2つのバンドが有森公認というだけで、CDがそこそこ売れるのである。
今世界には、サブカルであるアイドルマニアが存在していて、いるかいないかわからないバーチャルの世界でアイドルを作り出しているのである。
この作品では2つの殺人事件が起きるが、事件の鍵となるのは、バーチャルのアイドル有森恵美が実在するかどうかであった。
こんなことはパソコン世界では当たり前なのだろうが、全く疎い私には面白く新鮮だった。
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| 古本読書日記 | 16:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑