アンドリュー・スタントン 「ファインディング ニモ」(竹書房文庫)
オーストラリアの海岸のイソギンチャクを住居にしていたカクレクマノミ夫婦、200個の卵の孵化を心待ちにしていた。そこをオニカマに襲われ、卵を守るために飛び出した妻を
救おうとした夫マーリンが叩きつけられ気絶してしまう。眼を覚ますと、妻は亡くなり、残った卵はたった一つ。その卵から誕生したのが主人公のニモ。
ニモが学校に初めて登校した日、先生の背中に乗って遠足にでかけたとき、人間のダイバーの網に掬われニモが連れ去られる。
そこから父マーリンのニモ探索の冒険と歯医者の水槽に入れられたニモの水槽脱出作戦が平行して進む。
マーリンの探索記が非常に面白い。サメに飲み込まれるが、サメは魚は食べないということを信条にして腹には飲み込まない。歯の先端に引っかかりながら、脱出するところなどはワクワクする。海亀の背に乗って深海を移動したり、クラゲの背中を弾みながら移動し、最後はペリカンのナイジェルの嘴でつまんでもらい、とうとう歯医者の診察室までやってくる。もう一歩で出会える直前で、歯医者はニモをいらないものにしてトイレに流す。
トイレに流されたニモはパイプを伝わり、海にでる。そこでもいろいろあるのだが、何とかマーリンと出会い、逞しくなって、家に帰る。
この作品でマーリンと探索を一緒にするドリーの言動に独特のユーモアがありとてもいい味をだしている。とにかく物忘れがひどい。さっきやったこと言ったことをすぐ忘れる。だけど、歯医者の住所だけは、マーリンの顔をみると絶対思い出し忘れない。
困難に打ち勝ちながら、成長、仲間への信頼の深まり、家族の絆を謳いあげる真正面から臨んだ愉快な映画であり小説である。
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| 古本読書日記 | 20:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑