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2015年08月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年10月

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佐藤多佳子   「サマータイム」(新潮文庫)

「しゃべれども しゃべれども」が私との相性に合わなくて、その後佐藤多佳子には距離をおいていたが、最近改めて手に取ってみた。そして、この人の感性と、言葉の選びには脱帽した。何よりも、無理やり感動させるような作為がなく、あくまで真っ直ぐに物語が紡がれるところは好感がもてる。
 この作品は佐藤の処女作。佐藤の原点と言える作品である。
この作品に登場する佳奈は佐藤自身が投影しているのだろうか。ちょっとわがままでかなり短期。すぐヒステリーを起こす。ゆっくり考えれば、そんなに癇癪玉を破裂しなくても、良かったのにと反省はするが、起こした癇癪に言い訳などしたくない。だから、いつも弟や母それに友達とすれ違い、時にそれで友達とは離れ離れになる。
 同じように、広一は、お父さんが亡くなってから、次々彼氏を作る母に辟易としている。それに、事故で左手を失ったことが影響していて、表面は穏やかなのだが、心はかなり屈折している。
 風采のあがらない母の恋人、気弱な種田と屈折している広一との会話は臨場感が溢れる。 佳奈に弟広一、その時々の母親。種田、ピアノ調律師の種田が絡み合い、なかなか打ち解け合わない物語が進行する。
 佐藤の素晴らしいところは、それを無理に打ち解け合わせてハッピー、ハッピーにしないところ。佳奈も広一もそのままの個性を背骨にして、成長させている。この嘘のない真っ直さがたまらない。

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秦建日子   「サマー レスキュー」(河出文庫)

「天空の診療所」というタイトルで映画化された作品。
今の医療は、最新式の計器や機械で病気を見つけ、治癒させる。ということは、最新式の医療機器を使いこなせるかどうかが医者の技量を計る物差しとなる。医者は、機械がはじきだした結果を患者に伝え、どうする、こうするかを決める。何だか患者は、医者ではなく、機械にたいして診断をお願いしているような状況。
 しかし、山の中にある診療所には、機械も、十分な薬も無い。しかも、山で大けがをし、生死を彷徨う患者が多い。更に、患者を街の病院に移送するヘリコプターも台数は少なかったり、悪天候でヘリコプターを飛ばせなかったりで、街の設備の整った病院への移送ができないこともしばしばある。
 こんなとき、機械ではない、体を張った治療や的確な病気の診断が医師には求められる。人間としての医療の原点が、山の診療所にはある。
 患者は機械に病気をみてもらいにきているのでなく、医師に病気をみてもらうために来ているのである。

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| 古本読書日記 | 15:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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高村薫   「閑人生生」 (朝日文庫)

車が誕生した時、人々の関心はこれで暮らしが便利で豊かになるということではなく、そのスピードに関心が集中したそうだ。人間の本能により速くということがある。鉄道も新幹線からリニアに。飛行機もより早くの要求に応えてきた。ネット販売も注文から納品までの速さを競う。情報入手も一瞬になった。
 同じように会社でも、スピードの速い意思決定とその伝達執行が求められる。それも他社よりも早くである。いくら情報収集手段が早くなっても、意志決定は情報だけではできない。取捨選択、それを戦略、戦術にまとめあげねばならない。これは変わらぬ人間作業である。
 その過程がスピードのためと称してどんどん圧縮される。すると人間作業のために、深夜、朝まで働く人々が増殖する。
幾多の企業小説やノウハウものがそんな組織人間をかっこうよく描きだす。
 ブラック企業なしでは生きてゆけない、歩みをとめることのできない強烈な圧迫感のなか、我々は暮らしている。

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| 古本読書日記 | 14:49 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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土屋賢二   「不良妻権」(文春文庫)

土屋は幸せな人だ。

この世で一番怖いのは妻である。妻という人間は、自分は常に正しいという確固たる信念をもって行動する。不都合なできごとが起きると、夫をはじめ、周りがすべて悪いから起こるものとする。
信念が強固な人間ほど、強い人間はない。それは間違っているとか抗弁しても完膚なきまでに粉砕される。だから、だんだん言っても無駄と思うようになり、会話がなくなる。
 でも、ごくまれではあるが、妻に勝ちたいと思うときがある。

 妻が鏡に全身を映してため息をつく。
 「ショック。何てみっともない体型なの。おいぼれてぶくぶく太って。何かお世辞でも言ってもらわないと、立ち直れないわ。何かお世辞を言ってよ。」
 で、夫がこれ以上ないお世辞を言った。
 「おまえの視力は完璧だ。」

これを言えたらなあと男は思う。しかし、こんなことをぽろっと口に出したら、どれほどの恐怖の世界がその後に待っているかわかるからぐっとこらえる。
 土屋は、本を書いて、少しは遠慮気味ではあるが、堂々とこんなことを言えるのだから、やっぱり幸せな人なのだ。

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| 古本読書日記 | 14:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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森博嗣 「ナ・バ・テア」

近所の江崎書店に「スカイ・クロラ」がなく、こちらはあったので、先に読みました。
あとがきで、よしもとばなな氏が、
「森先生にこの小説を読んだ感想をメールした時に、『一発で妊娠!という話ですね』と書いたら、『うわぁ!恥ずかしい!』と返ってきました」
というエピソードを披露しています。
そういう話です。

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そのへんはもっと曖昧になっているのかと思っていました。
相手が誰なのかは不明で、「僕の体に思いがけない変化が生じた。上からの命令で病院に行き、『中身』を摘出した」程度の話なのかと。
相手と「これは僕の問題だ。あなたはただ同意書にサインしてくれればいい」というベタなやりとりをしたり、「キルドレの子供は貴重なサンプルだから、摘出させてもらう」という実験動物扱いのやりとりがあったり、丁寧に書かれていました。
自分で腹を痛めて生んだわけじゃないんですね。
まぁ、この世界なら人工子宮もあるんだろうし、胎児を移すこともできるんだろう。

映画の、「可哀想なんかじゃない」と叫ぶシーンや、フーコを外に出して娼館の部屋で男と向き合うシーンは、この本を参考にしたのでしょう。
映像では、「子供のまま永遠を生きる」という設定であってもそれなりに大人びて見えましたし、町を歩くシーンや食事のシーンではキルドレが数名固まっていることも多かった。
もし、ティーチャと草薙がレストランに入って割り勘で支払いをするシーンを描いたら、やっぱりアンバランスなのかもしれない。

| 日記 | 22:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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この秋初の

毛布
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人間が寝る前に伸びておくのが、ももこ。
一気に涼しくなりましたね。

| 日記 | 22:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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西加奈子   「ふくわらい」(朝日文庫)

集団行動から隔絶されて、友達や嫌いな人もいないまま、いきなり社会にはいったら、恋心というのは芽生えるものだろうか。
 主人公の定は、母親が早逝し、父親は旅行作家として家をあけ、殆どをバックパッカーのように世界を放浪している。幼い定を放っておくわけにもいかないから、放浪に定もついてゆく。だから、同じ年代の子供たちと交わる経験が積めない。でも、世界のあちこちで危険なことや、珍しいことなど、色んな体験をする。そして、25歳の今、出版会社の編集部で働いている。
 他人とまったく異なる人生を歩んできているから、その行動はまわりからみると奇怪にうつる。しかし、他人と交わってきてないからこそ、純粋で、真っ白。
 その定が、人を知り、友情を知り、そして人の死を知り悲しみを知り、やがて恋を知っていく過程が実に鮮やかなタッチで描かれる。
 その、定が人間の幅を膨らましていく過程でからんでくる、アントニオ猪木命のレスラー守口の人物造形と語り口が素晴らしい。定と守口が響き合いお互いが人間的に膨らんでゆく。作品の最後に近い守口のレスリングの試合描写は手に汗を握り、読者も興奮しながら感動をむかえるようになっている。
 宮部みゆきがこの作品を、これこそ小説しか表現することができない作品と評価しているが、全く私も同意する。

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| 古本読書日記 | 15:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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佐々木譲   「ユニット」(文春文庫)

警察官である門脇の妻裕子が、門脇のDVに耐え兼ね、一人息子を連れて家をでる。
そんな妻を刑事である門脇は絶対許せない。
まだ17歳だった少年に、妻を暴行され、生まれたばかりの娘ともども殺された真鍋。その少年が7年の刑期を終え、刑務所を出所する。真鍋は、出所を小耳にはさみ、信じられなくなる。少年は判決では無期懲役だったのにたった7年で出所することが。それを確かめるために探偵事務所を使い真偽を確かめ、犯行時17歳ということが考慮され7年で出所したことを知る。
 真鍋、門脇の妻子は、波多野という小さな工務店に隠れて暮らしている。
ここまでを100ページを費やし語られる。
 後はクライマックスまで、門脇と少年が真鍋、門脇妻子の居場所を探し当てるまでの物語になる。本来なら、段々恐怖感がたかまり、読者は興奮するはずなのだが、どうしてか、全くそうならずあくびばかりがでる。
 とにかく、探す過程が長すぎるのである。400ページも費やすのだから。どう描いても、クライマックスを迎えるためには見つけ出すことは決まっているのだから、なにもこんなにだらだらと探さなくても。締まりがなく異常に長すぎる作品である。

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村上春樹  「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(下)(新潮文庫)

これは凄い小説だ。今、活躍しているあまたの作家の遙か上空をゆく。村上が毎年ノーベル文学賞候補となることも、また村上が遙か上をゆくために芥川賞の選考委員たちがこぞって村上を評価できないこともよくわかる。
 私たちの発する言葉、考え、あるいは行動は、私たちそれぞれが過去に経験したり取得した知識により表現される。60億人地球上にいれば、60億通りの異なった経験とそれに伴った言葉、行動がある。
 で、言葉発するとき、行動をするとき、その基となる経験を、私たちは全く意識していない。発する言葉、行動を表層意識という。そして、経験や知識は深層意識と言われる。ここに変な老人がいる。深層意識をある時点のところで固定してしまい、それを頭脳に移植して、表層意識と回路を結ぶ。
 そんなことをされた人は、頭がぐちゃぐちゃになり混乱の極みとなる。
物語では、老人が結ぶ回路を間違え、表層意識と深層意識が通じなくなる。それは、体だけが動くだけの植物人間となる。この小説の一方の主人公ハードボイルドは回路結びを間違えられ、ある時間を経過すると体は動くが、脳は動かない状態、作品でいう心のない人間になる。
 一方、もう一人の主人公「世界の終り」は、まさに終わりの世界に入り込む。入り口で、門番に自分の影を分離される。この影こそ、深層心理であり、心である。つまり、世界の終りでは、心が存在しない人間しかいない世界である。
 物語は、深層心理が切り離されるハードボイルドの物語と、すでに切り離されてしまった「世界の終り」が、終わりの世界で心や愛を失った図書館の女性が、影が切り離される前どんな愛や心を持っていたかを追及する物語が並行して進む。そして「世界の終り」が追及してゆく過程で、影をとりもどし、影のある世界へ脱出しよう決意し脱出を試み、脱出できるところまでゆくが、やはり影のない世界に留まることを決意して終わる。
 物語は作家の嘘、妄想の発露である。その妄想が村上は他のどんな作家よりつきぬけている。村上の作品は平凡な私には極度な疲労を伴う。それでも興奮を抑えることができない。

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村上春樹  「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(上)(新潮文庫)

音を弱めたり、消したりできる。それも、どれを対象にするかは、自由に選ぶことができる。
人間の影を人間から分離する。これはどこかで読んだことがあるから、村上の独創ではない。だけど、分離されても影は、生きていて考えたり、喋ることができ、そしてそれができなくなると死ぬ。この物語の妄想はかなり異次元である。影が死んでしまったら、影から分離されてしまった人間本体はどうなるのだろう。下巻まで読めばわかるのかもしれない。
 それにしても村上は、想像、妄想があふれるようにでてきて、それを全部表現しないと我慢ならないのか。
 私(主人公)が奇妙なエレベーターに乗り込み、そのエレベーターに乗り、出るまでの奇妙な体験が、時間にしてはわずかなのだが、描写は本当に長い。
 それから、行方不明になった天才研究者の老人を探しに、研究者の孫娘と私が、老人がいると思われる場所まで、地下の下水、地下川を進むところも、また異常に長い。
 早く、研究者のところにたどり着くそれが最大の使命なのに、孫娘と私がキスをしたり、抱き合ったり。それが物語の進行上必要なのか、下巻を読まないとわからないが、そんなことをしている場合かと、いらいらしてつい怒鳴りたくなる。

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池井戸潤  「ロスジェネの逆襲」(文春文庫)

人気半沢直樹シリーズの第3弾。
相変わらず、悪役、三沢副頭取、伊佐山部長を向こうにしての半沢の大立ち回りは迫力満点。
この勧善懲悪に会いたくて池井戸を読んでしまう。
しかし、今回の物語は、私のオツムが悪いのか少し納得できないところがある。
電脳雑技集団という会社がどの程度の規模の会社かもう一つ不明なのだが、この会社が東京スパイラルという会社を買収するための資金を大手銀行である東京中央銀行が用立てる。それが1500億円。更に膨らんで2000億円となる。
 こんな大金を電脳雑技集団に貸し付ける、東京中央銀行のメリットはどこにあるのかが、さっぱりわからない。事実、1500億円から追加500億円の融資を決める取締役会の席上での伊佐山部長の稟議案説明も、一般論だけで、貸付に対する理由の説明は全く無い。こんな稟議案を真面目に議論採決する取締役会など現実にありえるのだろうか。
 ここの物語の核をなす部分が不明朗のため、色んな買収案が飛び交うが、読んでいてモヤモヤ感が増幅して、あまり入り込めなかった。

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高嶋哲夫   「イントゥルーダー」(文春文庫)

腐敗、不正それは犯罪なのだが、国家内である権力に達すると、そのことは犯罪ではなくなるどころか、正義となる。
 国民の税金を、どう権力者同士かすめとってポケットにいれるかがある地位から上になると関心のすべてになる。こういった権力者は必ずこう言うと、作者高嶋は関東電力会長を使って典型を示す
 「戦後の荒廃のなかから、今の豊かな日本を作ってきたのは私たちだ。私たちがいなかったら今の日本は無かった。そんな中で、幾らかのお金をかすめたことをとやかく言ってはならない。それもこの国を豊かにするために必要なお金だったのだから。」
 ここには自信と自負だけがあり、お金をかすめとったことの後ろめたさなど微塵もない。
森元首相が、オリンピックメーンスタジアムの建設費が2520億円に膨らんだことについて、そんなはした金でごちゃごちゃ言うなと思わず喋ってしまう発言と同じ種類である。
 安倍内閣が新安保法案を無理してでも通そうとする。この法案が、戦争や徴兵制にはつながることは無い。そうではなくて、窮屈だった防衛費を無制限に増加させたいことが本音だと思う。ちょうど隣の大国も防衛費を膨張させているのも都合がいい。
 新安保法制では色んな可能性の幅が広がり、武器の開発、輸出、購入金額の歯止めが無くなる。そうすれば、がっぽりとお金が権力者にはいってくる。
 最近は社会保障費が膨大となり、公共工事から掠め取れる金が減ってきた。だから、何とかほかの金の掠め取る材料が必要になったのだ。

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村上春樹  「カンガルー日和」(講談社文庫)

村上春樹で読み落としている作品をこれから集中して読む。
この本は18の掌編を集めた作品集。
会社勤めをしていたとき、会社がいやになったとか、暇ということではなく、何となく今日は午後から休むかと思って実行する。そんなとき、午後の街をあてどなく歩く。すると今までであったことない街がそこにある。少し気分も爽快。茶店に入っても、本屋に入っても、きれいな人に出会えそうだし、新鮮なことにであえそう。そんな雰囲気を感じさせる掌編がたくさん。休みはいつも家でゴロゴロか接待ゴルフ。
たまに妻や子供と動物園にでかける。すると最初は面倒だと思っていたが、どこか妻とも洒落た会話が弾み、楽しくなる。
 60年から70年代にかけてのアメリカのサウンドにのりながら、村上の快調な技文章が読者に心地よい。
 ちょっと長めの「図書館奇譚」が特に面白い。
図書館で本を読み、たくさんの知識を得る。たくさんの知識を持った脳味噌は本当に美味しいのだそうだ。だから、頭を切断して、ストローで脳味噌をちゅうちゅう吸う。おいしくてたまらない。面白い発想、妄想。でも何だか図書館に行くのが怖くなる。

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田口ランディ    「キュア」(朝日文庫)

田口がよくあちこちで書いている片言隻句。
人間でいることは自由を享受できる。しかし人間らしく生きようとすると不自由になる。
ガンは、病気ではないのかもしれない。人間を作っている細胞が変容して新たな細胞をつくる現象。本来人間を構成している物が破壊されたり、傷つけられているわけではない。
人間の構成物が傷つけられると、人間が持つ免疫作用により傷つけるものと人間は戦おうとする。しかしガンは細胞の変容という自然現象だから、免疫作用が効かない。
 ガン細胞を切除したり、放射線で破壊したり、抗がん剤で対抗することは、人間が本来所有している細胞を破壊することだから体に悪影響ばかりで治療にはならない。
 ではガン治療の方法はないのか。人間は自然の一部。人間らしく生きるということは、自然界のあらゆるものを征服し配下におき特別なものとして生きることを意味する。それが、人間の細胞を変容させていることに繋がっている。人間は自分だけが生きようとするのではなく、自然世界に生かされそして死んでゆくという境地になり、それにあわせて生き方を変えれば、ガン細胞は消滅するか、その細胞は変容をやめる。
 うーん。わかるようでわからない。何よりもガン克服のため具体的に今の生活をどう変えたらよいのか具体的にイメージできない。

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今日のももちゃん&映画の感想

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もやしもんガチャガチャの妨害

今日は、スカイ・クロラのDVDを観ました。実は観るのは二度目です。
学生時代に一回観て、なんとなくわかった気になって返却し、今日は「こんなシーンあったっけ」と驚いたw
草薙氏の「妹」が実は娘という設定は、ほのめかされる程度で終わっていると思っていた。事実として扱われていますね(^▽^;)
キスシーンもあったんだ。ほぉ。ネクタイをほどきシャツを脱ぐようなシーンは覚えていたけれど。

原作(スカイ・クロラだけ)も既読なのですが、草薙の結末が映画と違っていたという記憶がなかった。
DVDはツタヤで借りたんですが、原作の文庫は在庫がなかったのです。
市野のイオンの未来屋にはあったけど、ポイントがたまらないしぃ~。(草薙氏の、原作での結末だけはちらっと確認済)
明日、会社帰りに江崎書店にでも寄ろうかなと。
どうせなら、シリーズ第一作らしい「ナ・バ・テア」も買うべきか・・・。

wikiに、キャラクターデザインの人間が一緒だから、NARUTOの絵柄に酷似していると書かれていました。
言われてみれば、そんな気もします。が、NARUTOをきちんと見たことがないので、特定のキャラとダブるようなことはない。

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佐藤多佳子   「黄色い目の魚」(新潮文庫)

高校時代などはるか昔、今の高校生を描いた小説など、時代や行動が違いすぎて、読んでいて実感がわかないか、なるほど今はこうなっているのかと距離を置いて読むのが全て。
 ところが、驚いた、この作品は、すんなり私を高校時代に連れてゆき、一緒に歩んでくれた。かなり衝撃を受けた。
 普通のどこにでもいる高校生が、育つといったら教育用語でいやになるのだが、ゆっくりと、ときには突然に一皮、二皮と殻を破って育ってゆく姿が、実に淡麗な文章で鮮やかに描かれてゆく。
 主人公が2人。村田みのりと木島悟。悟はサッカー部のGK。それに絵を描くことが大好きな高校生。みのりは絵や漫画が好きで、悟の描く絵が好き。ここに、大事な2人が加わる。一人は悟の母の別れた男で、悟の父である、絵を描きながらぶらぶらと暮らしているテッセイ。それから、みのりの母の弟で、漫画を描きながら暮らしている通(とおる)。
 家庭でも学校でも浮き上がっているみのりとサッカー部でも落ちこぼれ、意欲が乏しい悟は、テッセイの生き様、自由人の雰囲気に憧れ、寄りかかる。みのりは家には殆どいなくて通の家に入り浸る。
 その、みのりと悟が、悟の絵を通じて、徐々に結びつきながら、他人とだんだん交流ができ、色んな経験をして、甘えたテッセイ、通を越えてゆき、正面を向いて生きてゆこうとする姿の描写が実に素晴らしい。
 久しぶりに質の高い青春小説を堪能した。

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山本幸久  「パパは今日、運動会」(ちくま文庫)

会社に入った頃は、福利厚生の一環なのか、社員の結束向上が目的なのか、この作品のように運動会、球技大会、仮装大会、慰安旅行など社員参加の社内行事がたくさんあった。
 流石に今ではなくなってきたが、巷間聞くところによるとまた運動会などをやる会社がでてきたそうだ。
 この作品は、運動会を背景にしながら、日頃の会社内の色んな人間模様や、組織間の軋轢をあぶりだそうとしている。そこに、社員夫婦、家族などが加わる。しかしたくさんの事を盛り込みすぎて、肝心の運動会が遠くに引いてしまっている。会社で起こっていることを、運動会を背景にしたことがよかったのか少し疑問。山本にしては、運動会の情景にリアリティがなく、ちょっと頭でこねくりすぎ。特に借り物競争の借り物に「不倫相手」は調子にのりすぎて白ける。
 ただ、騎馬戦で、日頃、恨みつらみを持っている奴をぶった押しに行くところは迫力満点。
運動会とか仮装大会とか、準備しているときは白けそんなものなんでやるのという空気が蔓延するが、当日になるとみんなが声をからし応援して盛り上がる。この作品は、白けの部分が多すぎそこも違和感がある。運動会がストーリーとやっぱしマッチしていない。

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宮部みゆき 「あんじゅう」

三島屋シリーズ2作目。

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やっぱり、なんだかんだで主人公はいい子ですね。
賢くて、素直で、働き者。そして、なんといっても美人。

前作で登場した青年は影が薄くなり、主人公の恋のお相手(?)として別の若者が登場します。
家族思いで小柄な大店の若旦那か、教え子たちに慕われる手習い所の元お侍さんか。
お侍さんは、猫絵十兵衛の西浦さんを連想させる、いい奴です。
引きこもりがちの主人公に、周りのほうが「あの人が気になるのね?うふふ」と盛り上がる。
三作目では、別の男を出してくるんでしょうかね・・・
この主人公なら、どんな家に嫁に行ってもやっていけるんでしょうけれども。

「藪から千本」は、嫁姑・嫁同士・姉妹のどろどろした感情が染み出てくる、なかなか怖い話でした。
表題作は、しんみりする感じ。
以前に読んだ、「猫は仕事人」もそうでしたが、身分の低い人間に罪を着せることが当たり前のようにできた時代という設定。
今も、部下に罪を擦り付けるくらいはありそうですが。

あと、立ち聞きや噂話の多い女中って、どうなんでしょうね。
ガキどもも、当たり前のように盗み聞きしている。「先生が美人と会ってるぜ」「赤くなってらぁ」と、他人の家を覗いている。
そういうキャラクターがいたほうが、話は盛り上がるかもしれませんが、読んでいてイラッとしてしまう。
ふと思い出しましたが、名探偵コナンでも、「このおばちゃん何でも知ってんなぁ」と内心突っ込みを入れられていた女性がいました。
「廊下で聞いちまったのさ。あの男の正体はね・・・」と、容疑者の動機(容疑者の父親が、被害者に追い詰められて自殺している)を皆の前でぶちまけるので、状況を説明するうえでは便利なキャラクター。
ただし、真犯人は別w

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岡嶋二人   「クラインの壺」(新潮文庫)

今更誰でも知っているだろうことを、この作品を読んで調べて初めて知った。岡嶋二人は、井上夢人と田奈純一二人の合作作品で使う架空の作家名だった。そして、この作品を最後に2人はコンビを解消。つまり、これ以降岡嶋二人の作品は世にでることはない。実に淋しく嘆かわしい。
 この作品。ゲーム作家をめざしていた主人公上杉が、ある懸賞に作品を書いて応募する。その作品に関心を持ったゲームソフト会社が、上杉の作品をソフト開発する、ついては開発中の作品に上杉が入り込み、ゲームの開発に協力してほしいというところから始まる。
 そこにアルバイトとして同じゲームにはいり、開発に協力してゆく利紗が加わる。
ゲームを演じる機械は大きく特殊で、家庭で操作してやるものではなく、街のゲームセンターにおいてさびれてゆくセンターを逆転繁盛させるために開発しているものだと、上杉は開発会社の梶谷から説明を受ける。
 そして毎日20分間という時間で、上杉、利紗はゲーム機にはいりゲームストーリーの一員となりパフォーマンスを行いゲームつくりに協力する。しかし、20分ではゲームのさわりしかできない。
 ゲームは家で個人が行えば、時間無制限だからどれだけかかってもよい。だけど、ゲームセンターや遊園地のようなところでは、さわりで20分もかかり、機械を一人の客が独占すれば、とんでもない使用料をとらないと、採算などとれない。
 変だと思い読み進むと、途中でちゃんとその疑問が物語のなかでも呈される。
そこから、謎が急に深まり、こんがらがり迷路に陥る。この旋回が実に用意周到で上手い。
そして、混乱しながら困難をひもといていく過程が、バーチャルと現実をミックスさせ、質の高いファンタジーと恐怖の世界を見事に作り上げている。
 実に面白く、楽しい作品だった。

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阿川弘之   「鮨 そのほか」(新潮文庫)

本屋にゆくと、気が付くのだが、最近の本は分厚いと思う。以前は、長編といっても250ページくらいが主流。300ページを超えると大長編のように感じた。しかし、今は300ページくらいでは短い。400ページ、500ページを超えるのがザラである。また、オリジナルを見直して再出版するとき、必ず書かれているのが、再出版にあたり加筆修正を加えたという注釈。
 志賀直哉は、原稿を推敲する際は、どこを削るかに集中、減筆修正はするが加筆は一切しなかった。阿川がこの作品に収めているエッセイで、小説を書くときのべからず集を書いている。そこで最も重要なことは20枚で書けるものを、50枚、70枚にするなと言っている。
 今や、手書きで原稿を書く作家は浅田次郎か西村賢太くらいだろう。みんなパソコンを使って書くのである。メールなどを読んでいると、くどいというものが多い。手がすべるのである。感情の赴くままPCは書けるから、感情が作品に移入しすぎると、これでもかっていうくらい作者だけが一人興奮している作品にあう。PCは、作品を不必要に長くしてしまう。
 ここに収められている3つの小説を多くの読者に読んでほしい。実に無駄も無く、流麗な文章で書かれた作品であることにみんな驚愕すると思う。ここには確かな文学がある。

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村上春樹  「村上ラヂオ」(新潮文庫)

私はビートルズが好きだったが、あるときから大嫌いになった。今は廃刊となった平凡パンチにジョンレノンへのインタビューが載る。
レノンは他のメンバーを大嫌いだという。それは、ビートルズでは、メンバーの誰かに好きな子ができると、メンバー全員がその子と肉体関係を結ぶことになっているが、オノヨーコは誰も抱いてくれなかったからだとそのインタビューで言う。
 田舎っ子で純真な私は、何と不潔なことかとビートルズを拒絶した。村上のこのエッセイ集にそのことが載っていた。とても懐かしかった。
 「真っ赤な嘘」というのは奈良時代に嘘をついた人に真っ赤な大福を12個無理やり食わせ、窒息死させる刑罰からきているのだそうだ。
 結構薀蓄がいっぱいのっていて勉強になった。

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田口ランディ  「水の巡礼」(角川文庫)

今の日本人は、縄文時代を作った人々とは異なる民族。我々の祖先は高天原、今の中国から渡ってきた人と東南アジアからさかのぼってきた人との混合でできた民族であること、確か清張の本で知った。
 では縄文時代を作った人たちはどんな民族だったのか。アイヌだという説がある。しかし高天原からやってきた民族が、今の中国地方に散らばっていた出雲民族を出雲大社のとこ周辺に封じ込めたという話もあるくらいだから、アイヌだけではなかったのだろう。
 神という言葉はアイヌ語のカムイからきているそうだ。そういえばアイヌという言葉も何となく鬼という言葉に通ずるような気がする。鬼退治とはアイヌ民族を殺戮することを言うのかもしれない。
 奈良県の天川村に芸能の神様といわれる天河弁財天がある。この弁財天で節分の前日「鬼のお宿」という神事が催される。ここでは、先住民族であったアイヌを鎮魂がおこなわれる。
そして豆まきの掛け声は「鬼はうち、福はうち」となる。

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村上春樹   「パン屋再襲撃」(文春文庫)

村上春樹   「パン屋再襲撃」(文春文庫)
初期短編集。
登場する主人公は、ライター、デザイナー、広告担当、そして時々無職。家では、音楽に揺られてコーヒーをよく飲む。妻やおんなたちと、シニカルな会話。その会話にこれという意味や背景があるわけではない。ちょっとした摩擦があると、街へでる。住処はまわりに何でもある街中。図書館も、映画館も、喫茶店も、こじゃれたレストランも、そして必ずゆくところはバー。
 そこから女と連絡をつける。そして、バーでカクテルを飲んで、ホテルにはいりSEXをする。あくまで相手は恋人ではなく女。
 同じ風景の中で、同じような無意味な会話、同じ行動がこれでもかと、あきることなく毎日続く。苦悩もなければ、あふれる喜びもない。
 文章も僕が主人公であっても、誇張も緊張もなく、淡々と流れる。
だから、流れに乗ってどんどんページはめくれる。まるで、小説そのものがBGMである。
読んでいるときは、心地よい。しかし、読後、さて何を読んでいたのかと考える前に、今自分は何をしていたのだろうと思ってしまう。

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| 古本読書日記 | 14:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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田口ランディ    「オラ!メヒコ」(角川文庫)

田口ランディ    「オラ!メヒコ」(角川文庫)
田口ランディは私にとって厄介な作家だ。
私は田口と対極にある人生、平凡すぎる人生を歩んできた。他人と振幅の揺れ、スピードの違いはあっても、高校、大学をでて会社にはいり家庭をもち、子供も私と同じような人生を歩み社会へと巣立った。20歳では20歳なりの青春をおくり、30,40,50歳とそれなりの平凡すぎる人生だった。
 田口は若いまま止まっていたい、平凡な人生には入らないと決意し、そのように暮らしを実現して今に至っている。その生活を愛し、それに酔いぐるぐる回っている。
兄の自殺、横暴な父との葛藤と末期がんになり崩れていった父の生涯に対する反発と逆に理解、父に付き従って耐えに耐え亡くなった母。そんな家族への執着、田口がどれほど年を重ねても、変化しない。
 精神や気持ちの有様が、年齢とともに変わっていかない。社会の規範、年齢による落ち着きとは無縁。よく言えば自由奔放。自由は、数えきれないほどの男たちとの性関係にも表れる。そして、こうした自由人の象徴として、行き着く先に魂の解放という行為がある。それが、このメキシコ旅行の目的である、マジックマッシュルームという幻覚作用のあるきのこによる幻覚への旅。
 まだ、シャーマン、心霊、妖術、スピリチュアルという言葉で踊っているときは、私も付いていけるが、幻覚に取り込まれてしまった田口についてゆくことができない。

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| 古本読書日記 | 14:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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村上春樹   「1973年のピンボール」(講談社文庫)

確かに僕らの青春時代は、初期のゲーム機が登場する前で、茶店やバー、ゲームセンターにはピンボール台がおかれていた。この作品で言うように、1973年にすたれてしまったといこともないし、アメリカ5社だけが独占して製造していたわけではない。セガやパチンコメーカーの三共あたりはゲーム機がでるまでハピンボール第を製造していた。でも、確かにどこかですたれた。
 私が、学生のころ夢中になったのが雀球。マージャンとパチンコを合体したようなもの。
狂ったように朝から晩まで雀球のある店にゆく。バーや居酒屋で、仲間と雀球について熱く語った。
しかし、雀球は生まれて死ぬまでの期間がとても短かった。2年くらいじゃなかったか。
 雀球が無くなったときの虚脱感は大きかった。その瞬間生きがいとか生きる意味がなくなったような思いがした。青春はなにごとも大袈裟だ。
 この作品の最後。主人公の僕が倉庫に並べられているピンボール台に一斉にスイッチをいれると、瞬間ピンボール台がうなりをあげ、点数を0に戻すところ。会いたかったピンボール台と語り合うところ。そしてやがて電源が切られ、暗闇になり僕が倉庫をでるところは、何か哀愁漂う映画をみている気分になった。そして、何だか懐かしく青春時代がよみがえってきた。

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| 古本読書日記 | 15:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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田口ランディ 寺門琢己  「からだのひみつ」(新潮文庫)

この間の、中学生殺人事件を始め、最近変質男の事件が多い。
原因はいろいろあるのだろうけれども、思春期の社会環境、条件に問題があることが大きな要因になっている気がする。
 10歳前半から18歳くらいまで、男性も女性も、心身が大きく変化する。女性については、生理をはじめ、体、心の変化と対応について学校で教えられ、母親への相談も敷居が低い。また、学校で全員に教えられるから、周りの子たちと相談し合ったり、悩みも打ち明けやすい。
 それに比べ男性の場合、変声期と喉仏の発達、反抗期くらいはさらっと教えてもらうが、勃起や夢精などの変化は全く教えられない。そんな変化への対応は、かっては兄弟から
習ったり、先輩との交わりのなかでできていた。また平凡パンチのグラビヤや青春性小説を読みながら消化してきた。
 今は、兄弟はいないし先輩も仲間も少なく関係も希薄。それに反比例してPCを立ち上げれば膨大な情報が溢れかえっている。それで、性情報の海におぼれて、心身の変化への対応に変調をきたす。あるいは心は変化をしないまま、体だけが変化して大人になった男性が増加している。
 そんな人が変質者となって街を徘徊している世の中になったような気がする。

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| 古本読書日記 | 15:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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宮部みゆき 「おそろし」

1話目を読み終えたときは、主人公の抱える事情について、「忘れられない」「打ち明けられない」とほのめかすだけで、
結局明かされないところに、イラッとしてしまった。
もともと宮部さんのファンじゃない人は、このあたりで読むのをやめちゃうんじゃないかと思いました。

2話目のときは、姪(主人公)に面白い話を聞き取りさせようと思いついた三島屋主人の、
「子供じみた好奇心」に、イラッとしてしまった。
それらしい理由をつけ、「やっぱり私も話を直接聞く」としゃしゃり出て来るんですよ。
人の不幸は蜜の味? 悩みのるつぼとかラジオ人生相談とか好きなタイプ??
↑このあたりは、続く部分で奥さん(主人公の叔母)に叱られてもいます。

3話目で主人公の過去が語られ、4話目に姉弟の禁断の恋というスキャンダラスなネタが登場し・・・と来ると、
すいすい読み進めることができました。

指摘されて自分の偏見に気付いたり、二人の男の間で気持ちが揺らいでしまったり、「私の心に踏み込んでこないで!」と強情だったり、
ちゃんと欠点のある主人公というところが、たぶん魅力なのでしょう。

続編も我が家に在庫があるのですが、どうしようか考え中。
面白いと言えば面白いですが、「心の闇、自分の弱さ、目を背けていた己の卑怯な面と向き合う」って感じで、けっこうヘビーな内容なんですよね(-_-;)

| 日記 | 23:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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近藤史恵   「はぶらし」(幻冬舎文庫)

近藤はこの作品もそうだが、きっとクライマックスをまず創造して、それから物語を創ってゆくのではないかと思う。だから、結構クライマックスは印象的にできている。
 ところが、やはりこの作品もクライマックスに比べ、それまでの物語の出來がよくない。
主人公の鈴音は36歳のシナリオライターで成功者でもある。何しろ、マンションのほかに仕事場を別に持っているのだから。普通のサラリーマンよりたくさんの収入がある。
 鈴音は、才能もあるだろうが、競争厳しい世界で打ち勝つわけだから、主張も考えもきっぱりとしていて、芯の強い女性だと思える。
 ところが、作品では、優柔不断で、水絵の願いに押され、水絵と子の居候を受け入れる。
この水絵、高校時代部活は一緒だったが、クラスも違い殆ど交流はなかった。高校をでて20年近くの間に会ったのは9年前の一回のみ。にもかかわらず住むところがないから、友達として水絵と幼子を一緒に住まわせてと鈴音に懇願する。
 約束は一週間ということだったが、ずるずる押され、結局就職が決まるまでとなり、就職を斡旋してあげ、そこが決まっても、「そこには行くことはできない。」(これは後で理由がわかるが)と断る。
 シナリオライターとしての成功者と水絵への対応の弱さが共鳴しない。人物造形に失敗している。

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| 古本読書日記 | 14:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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田口ランディ  「スカートの中の秘密の生活」(幻冬舎文庫)

田口ランディが魅力的なのは、生活のハードル、目線が低い、しかし、その目線から、自然、平和、心理学、哲学まで興味を持って、自分のものにし、その幅の広さを言葉に変え小説やエッセイにするところだ。
 普通、エッセイでSEXを扱うと、自分のことはさておいて、雑誌などで知ったことや、耳学問ではいってきたことを面白おかしく書く。この本も、そういうところもあるが、何よりもあっけらかんと田口自身をカミングアウトさせて書いているところは驚く。
 初めてのヨーロッパでギリシャに行き、そこの髭持ちの男に会い、その髭の格好よさに引かれ、SEXに及ぶ。恰好いい髭と同じ形の胸毛があり感動したと書く。
 人間にとって心と体は一体のもの。だからこれを分離してはいけない。体だけを物として、男に売りつける。そんなことを繰り返すと、必ず心が壊れる。田口だからこそ妙に説得力がある。
 何しろ、ときどき眠る前に、今までの経験した男の数をかぞえてみるが、その都度人数が違うというのだから、説得力が段違いなのも当然である。

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| 古本読書日記 | 14:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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田口ランディ   「パピヨン」(角川文庫)

この作品で引用している二つの、アメリカの精神科医エリザベス キュープラーの言葉が胸にズシンとくる。
 もっと組織で働いているときに知っていたらよかったとも思うし、今の年齢になって知っても心の安らぎに寄与してよかったようにも思う。
 「神様私に与えてください。
  変えられないことを受け入れる落ち着きを
  変えられることを変えてゆく勇気を
  そしてこの二つのことを見分ける賢さを  」

 「人生において、願望がすべてかなえられると考えるのは、非現実的だ。おなじように。完璧であり続けること、後悔しないことも非現実的である。後悔する自分を許すことだ。もっとよい選択をしていればよい結果が得られたと考えるのも真実とは言えない。あのとき、あなたはあなたなりに最善をつくしたのだ。」

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| 古本読書日記 | 15:42 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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