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2015年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年09月

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溝口敦   「民暴の帝王」(小学館文庫)

溝口の帝王シリーズ最初の作品。2作目の「武闘の帝王」から先に読み、この作品の中味がカスカスだったので、ルポライターとしての溝口の迫力は凄いと思うが、小説家としては今いちと思っていた。しかし、流石に溝口最初の小説、徹底した取材をベースに想像力も十分で、読み応え十分のある作品になっている。
 神戸地盤の山内組。それに対抗して全面戦争をしている広島地盤の平組。神戸の山内組の関東進出を阻みたい稲森一家。戦争は、殺戮しあうだけが戦争ではない。それは表面にでるごく一部であるし、正直各暴力団も殺し合いを望むなんてことは無い。戦争は、経済、しのぎ、権益の奪い合いにある。手練手管、脅迫、お金、色仕掛け、色んな武器を縦横無尽に使い、相手をねじ伏せるのである。
 この作品を読むと、現在行われている新安保法制の中味の無い議論にうんざりしてくる。
共産党は、外交力により安全平和を確保すべきと主張する。この力というのがそんなにかんたん何であるか知るべきだ。
 戦争は殺し合いだけではない。今は経済、通過、サイバー戦争が主流、その類の戦争がグローバルで繰り広げられている。殺し合いも含めこれらの戦争に伍してゆくために、どんな力が必要か考えないといけない。
 丸腰で外交力だけで世界に対応するなどと言うことは、無責任極まりない主張であり最も安全、平和から遠い危険な態度である。そんなことをこの作品を読むと感じてしまう。

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日韓嫌悪感情

今日の中日新聞に、中日新聞と韓国の大学日韓関係について合同世論調査の詳報が載っている。
とにかく、今の日韓関係はかってないほど最悪、韓国では78%の人が嫌日感情を持っているとのこと。そして、その原因は歴史認識、慰安婦、徴用工などの問題が横たわっていることをあげている。しかし、隣国同士がいがみあうことはさけるべきとして、食や文化の人材交流を活発化させ、両国が仲良くなるべく努力しようと結んでいる。
 おいおい、それは無いぜと文句をつけたくなる。確かに韓国の朴大統領の硬直した姿勢、産経新聞ソウル支局長の逮捕など、両国が離反する要因はあった。しかし、朴大統領の発言の頻度はポツリ、ポツリ。産経問題だって産経は自社のことだから大騒ぎしたが、他マスコミはほとんどベタ記事扱い。とても、これほどまでに両国民の嫌悪感情が高まった原因とは思えない。
 一般の人々は、こんな程度では嫌悪感情は普通持たない。ではどうして?
日本ではマスコミ系も含め、嫌韓、反韓本が異常数出版され、本屋に山積された。毎週のようにこの類の本が出版された。
一方、韓国では一流紙や韓国を代表する配信会社がこれも爆弾のごとく毎日、それもレベルの低い噂話の類の日本非難記事、主張を掲載、配信したし、今もその状況に変化は無い。
 繰り返し、繰り返し、マスコミ及び一流出版社が反日、反韓を煽りたて、互いに嫌え、嫌えとやれば両国民がお互いに悪感情を持つことは当然の帰結である。
 おかしい。自分たちでぼうぼうと火を燃やしておいて、火をみながら現在を憂うなんて気取ってみても全く説得力を持たない。
煽って、冷やせか。ちょっと人々を馬鹿にしすぎじゃないの。

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真梨幸子   「パリ警察1768」(徳間文庫)

会社生活を終えて、暇だらけになったので、新聞をまじめに読むようになった。現在、朝日、東京、産経を読んでいる。会社勤めをしているときは、斜め読みで、中味まで読むなどということは殆ど無かった。今、真面目に新聞に対すると、かなりそのあり方に違和感を思うようになった。
 昨日、新安保法制賛成の有識者310人が集まって、新法案の早期成立のアピールをした。90人が記者会見も行った。今朝の新聞では、一行たりともこの報道がなされていない。
 とにかく、全国津々浦々安保法制に反対する人で埋まり、賛成する人は誰もいない。安倍首相は危険人物で、すべての国民が安倍打倒を願っているという記事で埋め尽くされている。不思議なのだが、これで世論調査をすると、新聞は危険水域と騒ぐが安倍内閣支持率はまだ40%近くあり、20%の人々は安保法制成立を支持しているのである。
 新聞、主張はあってしかるべきだとは思う。しかし、自らの主張とあわない事実は黙殺したり、この国ではその新聞の主張以外は存在しないような報道はよくない。事実は公平に報道して、その上で主張を展開するべきだ。
 この作品はパリ革命の少し前、投獄されたロベールという人の回想として書かれている。ロベールは訴状を作成し、法廷に提出する仕事をしている。この訴状で市民が喜びそうなものをたくさん印刷して売りさばき金儲けをした。この訴状が今の新聞にあたる。
 自分たちの都合で、世論をあおるだけあおる。平和の仮面をかぶっているが、こういうあおり新聞こそ、最も戦争を引き起こすもとであることを肝に銘じておかねばならない。

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溝口敦   「錬金の帝王」(小学館文庫)

ちょっと肩すかしを食らった作品である。
学生運動で暴れ、起訴されること2回。それで、大学を退学して海外生活を送った小椋が、日本に帰ってきてヤクザに誘われゴルフ場の地上げを行う。小椋は知的でインテリ。そういう雰囲気で物語が始まったので、暴力団の本質、暴力を使わず、頭脳と口を使って、お金を稼ぐ、そんな手口がどんなものか興味があったが、そんなことはでてこず、平凡でつまらない暴力対暴力の物語になっていてがっかり。
 暴力団の資金源は、覚せい剤取引、オレオレを始めとする詐欺商法、それに加えてマネーロンダリング。暴力団は、表にできない金の動く情報掴む。あるいは表にできない金を動かしたいという依頼者からの要望に応じその方法を構築して実行する。
 新国立競技場の建設には数千億円の税金が使われる。こういう事業には、必ず政治家がなかにはいり、上前をはねる。このとき、建設会社から直接、政治家にお金ははいらない。不正をきれいにする処理をされ、入ってくる。この処理を暴力団が創った会社が担う。その会社は当然手数料としてお金を頂く。
 この方法がいろいろあるしそこを知りたい。この作品もそれらしいことは書いてあるのだが、総じて暴力団抗争に筆と興味がいってしまって錬金手法が明らかにされない。

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桜木紫乃   「氷平線」(文春文庫)

地方の集落の鬱屈さがあますところなく描き出されている。優れた短編集である。
集落にある店は、農協か漁協がやっている店が殆ど。農協漁協は、唯一の金融機関でもある。そこに勤めている人は、集落の住人の全てを知っている。更にすべての住人が知り合いである。
 そんな店で物を買うと、その日のうちにあそこの家の今夜の夕飯は何であると話が知れ渡る。農協漁協でお金をおろすと、何に使うかわからないがでかい金をあの家でおろした。そして、よからぬ目的でおろしたなどととんでもない尾ひれがついて村中に広がる。皆が皆で監視しあう。他の楽しみは無いから、監視のなかからでてきたネタを大げさに膨らまして喋りあう、これが集落の唯一の楽しみ。そこに舞い込んだ女性の悲しさは尋常ではない。
 それからもうひとつの特徴を表題作「氷平線」からひく。
「集落の男は、15歳でまず大きく道がわかれた。中学を卒業してすぐ漁師になるか、定員割れの僻地高校へ進学するか、高校を卒業したあと漁協か役場に職を得られれば、親類縁者に赤飯と酒がふるまわれる。」
 こういう田舎村にも何年か一度、頭が優秀な子がでる。苦学して東大に入学して卒業後は財務省に入省する。そんな男が、税務署長となって故郷に帰ってくる。そこでの村人、同級生たちの卑屈さと男の傲慢さ、そしてそこででるねじれが薄倖な女の子をはさんで鮮やかに描かれる。

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小田実  「アボジを踏む」(講談社文芸文庫)

この作品を読んでえっと思った。阪神淡路大震災のことが書かれていたから。小田実は随分前に亡くなっていて、震災のときはすでにこの世にはいなかったと思っていたからだ。
 年譜をみると彼が亡くなったのは2007年、8年前。しかも今生きていても85歳とそれほどおかしくない年齢なのだ。この作品も震災後に創られている。
 小田はこの小説にでてくるアボジ(韓国語の父親)、の末娘と結婚している。
アボジは韓国済州島生まれ。日韓併合のときに生まれている。済州島では食っていけないのでアボジは日本にやってきて、同じ済州島生まれで日本に稼ぎにやってきていた海女のオモニと結婚する。オモニは韓国語で母親。
 戦前、戦中、戦後、アボジもオモニもとてつもない苦労をしてきた。何しろハングルであれ、日本語であれ読み書きができないのだから。小田は直接的にその苦労は描かないが、ユーモアを織り込んだ彼らとの会話から、じわりと染み出るように苦労を描いている。物語クライマックス手前、アボジは肺癌で余命半年といわれて病院に入院する。
 一日だけ外泊が許され、アボジは我が家に帰る。そこで阪神淡路大震災にあい家の下敷きにアボジはなるが、近所の人たちに助けられる。しかし、病院には帰ることができない。病院は今にも死ぬかもしれない人々が次々かつぎこまれているから。
 しかたなく点滴棒をもちながら、被災者と一緒にたき火を囲み配給のバナナを食べながら凌ぐ。その時のアボジの言葉が突き刺さる。
「土方も人夫も担ぎやも闇商売、荷役もやったし、警察にもつかまり留置場にいれられたけど、このくらしは一番ひどい」

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安倍談話評価報道の怪

私はこのあいだの安倍談話をどう評価すべきかはまったくわからない。

面白いと思ったのは、中国、韓国が否定的評価をするのはわかる。まあソ連も同じだろう。で、他国はとみてみると、たいていの国は当たり前なのだがそんなものはどうでもいいという国が多い。しかし、アメリカ政府の高評価は当然として、驚くことに44もの国が、安倍談話に高い評価を表明している。
 大戦時、中韓同様に植民地支配をした東南アジアの国々も肯定的評価。アセアン諸国連合としても高い評価をしている。
 また日本と同じ敗戦国であり、ユダヤ人殺害の後遺症で苦しんだドイツメルケル首相も全面賛成と評価している。EU諸国連合も賛成の意志を表明している。つまり、中韓ソ以外の多数は高い評価をしているのが実態なのである。
 どうしてマスコミは、全世界を俯瞰した客観報道ができないのだろう。その上で日中韓の在り様を語れないのだろうか。
毎日新聞は、安倍談話を否定的に論評する新聞をはじめ海外マスコミ機関を血眼になって探し回り、それが全世界の評価のように報道する。朝日新聞に至っては「こんな談話なら、だす必要はなかった」とけなす。宇宙人の鳩山元首相が韓国で土下座までするような談話をださないと朝日は納得しないのか。土下座談話をだし、中韓二か国には評価されるが、他の国々には馬鹿にされ嘲笑されてもいいということなのか。
 中日新聞も今朝、第一面に79%の国民が安倍談話を否定的な評価をしているとデカデカと載せている。でもそれは、韓国世論調査で。日本での評価は虫眼鏡でみないとわからないような記事の中に埋もれ書かれている。
 こんな報道姿勢を恥ずかしいとは思わないのだろうか。ひどすぎると思う。

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中脇初枝   「魚のように」(新潮文庫)

東京や大阪から遠く離れた小さな田舎町にだって、少し悪くて、落ちこぼれ気味の高校生はいる。
 田舎町はとにかくわずらわしい。町中の人が高校生である自分のことを小さい頃からよく知っている。とにかく町じゅう全部が知り合い。家族もじいさんばあさんが同居している。それぞれがどこかでいがみあったりすると、ずっと何年も同じ状態が続く。町で、家族で、学校で、自分の置かれるべき位置が定まると、どう努力したって町を離れるまで、その位置はずっと変わらない。
 姉が失踪する。そして、その姉を追うようにして主人公の僕も失踪する。で、行っても行っても、同じような町と同じような風景が繰り返される。どこまで行っても、家出にならない。
 悪ぶって万引きをする。都会だったら学校に通報されたり、家の人が呼びだされる。田舎は皆知り合い、少し小言は言われるが、何もなく解放される。
 父の植木を持ち出して、ふらふら朝まで放浪し、河原を散歩しているじいさんに早朝一万円で植木を買ってもらう。そのしわくちゃの一万円札を綺麗にのばしてタバコの火で燃やす。
 田舎での鬱屈感が勝って、燃やした一万円が少しももったなく感じない。そうでもせにゃあ高校生なんか田舎でやってられないぜ。

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幸田文   「番茶菓子」(講談社文芸文庫)

幸田文は私の祖母とほぼ同じ年に生まれた。だから、2人は同じ時代を生きてきた。私の祖母は洋装をしたことはなく、常に着物を着て日本髪だった。
 幸田のエッセイは、明治から現在、世の中はダイナミックに変化して、現代は圧倒的に住みやすく、便利になった。それはそれでよいことなのだが、どことなくその便利さを受け入れがたい、戸惑って、揺れているところに味わいがある。
 水道が通ったときは、テレビがでたときと同じようにびっくりしただろう。ごはん焚き、料理は竈をつかって火をおこしする。汁物はへっついでする。そのための水は井戸からくみ運んで使う。
 ご飯は、いろんなオカズを所狭しと並べるのではなく、懐石料理のように、食事の進行をみながら作り、一品一品分けて振る舞う。その方が出来立ての料理を味わえ、美味になるからである。しかし、明治では当たり前だったかもしれないが、こんなことを現在はしない。
 茶渋をまいて、それから雑巾がけをする。はたきと箒を使う。
今はあまり嫁、姑の争いは見られない。家事が嫁、姑の時代であまり変わらないからだ。
姑が嫁の作法の気にいらない範囲が殆どなくなっている。

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朝日新聞がちょっとおかしいです。

今朝の朝日、一面の左側と三面ほぼ全体を使って、馬鹿な私にはとても理解しえない難しい記事というか論文が掲載されました。

現在のように平和が70年も続くと、戦争は白黒画面、画像でしかみることができず平和は空気のように当たり前のもの、結果平和や戦争という言葉の概念がつかみどころが無くなってきている。平和の状態が長く続くと、退屈になり社会が退化する。
え、それじゃあ、安保法制に反対しないで、賛成して戦争をおこし退屈、退化を防止するの?しかし、論文の最初に安保法制反対の人々が登場しているので、どうもそうではない。
 
 はっきりと書いていないので、よくわからないが、連日紙爆弾のごとく、新安保法案は戦争法案だ、徴兵制がやってくると大騒ぎしているのに、多少支持率はさがったとはいえ、安倍首相退陣には程遠い。安保法案賛成も世論調査すればかなりたくさんいる。
調査のなかには賛成が反対を上回るものもある。日本国中安保法制反対の声であふれかえっていると扇動につぐ扇動をしてみるが、プロ市民や活動家はデモに参加はしてくるが、一般市民はあの安保反対闘争やベトナム戦争反対運動のように集結せず、チラリホラリ。

 どうも朝日はこの状況に不満、怒りを覚えているようだ。平和が続いている国は世界を見渡せば例外。目を広くみれば世界のあちこちで戦争が日常のように行われている。被爆者の上に原子爆弾が落とされたのではない。君たちのように普通にデートを楽しんでいる人たちの上に原爆は落とされ被爆者が生まれたのだ。もっと平和や戦争に敏感になってほしい。
 それでも、退化してしまったなかでのうのうと生きている若者にはこんな論理は通じないと感じたのか、ブラック企業、世代間格差、熾烈な就職競争、権力が力で人々に迫ってくる、それこそが戦争そのものと結論つけ、ともに若者よ戦争阻止にたちあが
ろうとよびかける。
 どう考えても、俗人の私には理解不能なこじつけ。朝日はこんな記事を一面にだしてとうとう狂っちまったのかと悲しくなりました。

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中上健次   「水の女」(講談社文芸文庫)

昔、関西のある地方都市のセメント屋さんに、勤めていた会社から出向させられた。
セメント屋には独身男が4人いた。私も含めて5人は、田んぼの真ん中にあるプレハブのアパートを与えられた。
 そこは、言葉、思考、目標、生きがい、愛、癒し、優しさ、苦痛、切なさなど全く存在しない世界だった。
会社でのセメント担ぎが終わると、アパートに帰る。そこで酒盛がはじまり、汚いカーテンにブルーフィルムを映しひたすら観賞する。そして、興奮してくると、近くの福原か雄琴のトルコまで車を走らせる。休みの日は眠ることなしに、マージャンをする。二抜けになったときに食べる即席ラーメンが唯一の食事。
 女性を銜え込んでいる人もいる。愛だ恋だなどという感情は微塵も男にも女にも無い。ひたすら、まぐわいをして、休んでまたまぐわい、そして即席ラーメン、またまぐわい。
 金が続かなくなる。すると、いかがわしい街金融から金を借りる。そして金を返せなくなる。怖いおじさんがアパートの周りをうろつく。そのアパートの一人が六甲の湿原から死体となって発見された。そこで、プレハブは壊された。
 中上は言葉の以前の本能で生きている人々の世界を見事に言葉にした。中上を読むたびに言葉の無かった出向時代を思い出す。

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溝口敦   「食肉の帝王」(講談社+α文庫)

大阪のマフィアと言われた、食肉事業で巨万の富を築いた浅田満を扱ったノンフィクション。浅田の仕返しを怖がっているのか、総花的に浅田を扱っているが、目新しいものはなく、突っ込み不足で物足りない。
 それにしてもこの作品を読んでびっくりするのは、部落解放同盟に対する行政の弱腰、甘い対応である。同和企業連合会という部落解放同盟傘下の組織がある。この同和企業連合会と東京国税庁、大阪国税庁のそれぞれの長官の指示で、この連合会を経由した税務申告書はすべてノーチェックにすることになっているのだそうだ。ひどいことだ。
 浅田は何回か主に脱税で逮捕されているが、最も有名なのは、狂牛病(BSE)事件が起きた時、すでに在庫されている国産牛肉が市場に出回ることを防ぐ、更に食肉業者の損害を補償するため、在庫国産牛肉を国が全量買い取る制度が緊急にでき、その制度を悪用して国産でない牛肉を国産と偽って国に買い取らせ莫大なるお金を国からせしめた事件である。
 この時に、政府に全量買い取り制度を迫ったのが、鈴木宗男である。そして、多分それを陰で強力に進めたのが野中広務である。野中は最も清潔な政治家として名が高いが、自分が傷つかないように振る舞う能力や人脈にたけていたというだけで、本質は黒い政治家だった。
 この補償制度発効で、浅田から巨万の金を得た。
BSE問題が不思議なことは、浅田の不正について週刊誌を中心に報じられていたが、逮捕、捜査はそれから2年後、小泉が首相になってから開始された。そして、鈴木も野中も政界の隅に追いやられるか、政界引退においやられた。

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吉村昭  「海馬」 「羆」

動物小説集です。
海の馬と書いて、トド。皮がぶ厚く、こめかみの一点を狙って撃たないと倒せないんだそうな。

IMG_8622.jpg

「海馬」のほうを、先に読みました。
こちらは、ある動物に執着する男がいて、それを理解し支える女が現れるというパターンの話が、いくつか入っていました。
羆嵐の惨劇をうけ、犠牲者一人につき十頭の羆を倒そうと決めた猟師なんかも出てきます。
そんなに読後感の悪いものは無かったかな~と。
華やかな都会に憧れて東京に出て、職場の男に酔わされ純潔を奪われ、ボロボロになって帰ってきた美しい幼馴染。
抵抗できなかったとはいえ、他の男に身を許した彼女は汚れていると感じてしまうのが、主人公の男。
そのあたりに、時代を感じました。

「羆」
こちらは、動物の魅力に取りつかれた人々が破滅に向かうという話がいくつか。
旦那と息子を狂わせたレース鳩の小屋と自宅に放火した女性の気持ちは、わからなくもない。
夜の勤めに出て家計を支えてくれていた娘は、預金通帳を持って男と失踪。
無職の息子は、「大事なレースの前だから」と、病気の母親の枕元に食パンと牛乳を置くだけで、掃除も洗濯もしなかったそうな。
全部焼き鳥にしたくもなろう。
本人も火事で一緒に死ぬつもりだったというあたり、より悲惨ですね。

表題作は、子熊の頃から客寄せに使っていた羆が暴れて、奥さんの首をへし折り脱走したため、主人公の猟師が倒すべく山に入るというもの。
そういえば、「シャトゥーン ヒグマの森」も、暴れる羆はかつてギンコと名付けられ人間に飼われていたという設定でした。
「羆」のほうが、描写があっさりしていて良いかと思います。
いや、本当に、「シャトゥーン」は人生ワーストワンにしていいくらい、これでもかというほどに残酷グロ描写が続くので(-_-;)
柔らかい部分から一晩かけて食い殺されるくだりと、熊の大便に食われた仲間の髪の毛がごっそりというくだりは、思い出すだけで気持ち悪い。

吉村昭・松本清張・小川洋子あたりは、短編の質が保証されていてどれを読んでも楽しめるという印象です。

| 日記 | 22:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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堀川アサコ   「幻想映画館」(講談社文庫)

小川洋子だったか、子供の頃、色んなお話を勝手に作りながら、一人遊びをしていたという作家がいたことをこの作品は思い出させる。
 この作品の主人公高校生のスミレも変わり者で友達が一人もいないから、一人しりとりを唯一の楽しみにしている。変わり者、友達がいないことは、はたからみるとかわいそうで、切なくみえるものだが、本人はそんなことを気にしてない子が多い。
 多分主人公は、作者堀川を反映しているのだろう。さみしい、苦しい、悲しいなんていう現実からさっさと逃げて別の場所に行こう。その場所はひたすら妄想だけをする世界。
 そこは、今は無い一世代前の商店街。色んなちっぽけな店があって、そこにまた小さな変わった映画館がある。映画館にいる人間もすべて変わっている。しかも、彼岸までゆけない幽霊もいる。その幽霊も変わっている。
 そんな変わり者たちを、古びた映画館、貸家、商店街で縦横無尽に堀川は活躍させる。
今の辛い世界で踏ん張っておかしくなるより、そんな世界からは飛び出よう、そして、自分だけの世界を作って遊び狂おうよ、それで元気になってまた現実に戻ろうよと堀川は言っている。

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| 古本読書日記 | 15:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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溝口敦   「武闘の帝王」(小学館文庫)

一代で組を日本最大の暴力団に成長させた山内組総長国松保助がゴルフ場で狙撃された。命は取りとめたものの、日を追って病状は悪化し、そう遠くない日に死ぬことは間違いないこととなった。
 そこで、壮烈な跡目争い始まる。
それにしても、この作品からは、暴力団の実態、存在感が伝わらず、何故跡目争いで殺しをおかしてまで、跡を継ぎたいのか、まして、現在暴力団が何をして資金を得ているのか茫漠としてわからない。
 とにかく山内組は万の構成員がいる。この構成員をどうやって養っているのかがわからない。
 驚いたのは、山内組の組織構成が5階層になっていること。それぞれの階層に何々組となる暴力団がある。会社は課、部、本部、役員、社長と同じ5階層。ヤクザも同じかと思った。ナントカ組などと言って肩で風切っていばっていても、その組がどこの階層に属しているか認識しないと、本当のやくざかチンピラかわからないのである。

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| 古本読書日記 | 15:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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続世論調査

すみませんでした。安倍と安保が似ていて見間違えました。

安保法制賛成は31%で反対を下回っています。安保法制反対の大合唱のなか、どこに31%も賛成な人がいるのでしょうか。
しかも31%は前回調査より増加しています。
31%の人たちの声を黙殺しているマスコミは、戦前の大政翼賛会を彷彿させます。言論の自由を標ぼうするのなら、さまざまな意見をとりあげ、そこで安保法制反対を何故主張するのかを表明してほしいと思います。

| 古本読書日記 | 18:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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三浦しをん あさのあつこ、近藤史恵 「シティ・マラソンズ」(文春文庫)

3人の旬の女性作家がシティマラソンをテーマに描いた作品集。
どの作品も輝いていてすばらしい。しかし、「風が強くふいている」の三浦しをんの作品ニューヨーク・マラソンを走る「純白のライン」が群を抜いている。
 難しい言葉は使わない。ありふれた言葉が、文章が胸をふるわせる。どうしてなのか、わからないのが悔しい。
 その文を紹介します。去っていく風景。マラソンの高揚がジンジン伝わってくる。是非
堪能してください。
 「あと少し。
  40キロ、25マイル地点を通過。身の丈の何倍もある大岩が道の脇にそびえ、大木が
  梢を揺らす。公園として手入れされているようには見えない。どの木も野放図に、力強く枝をのばす。日暮れには遠いのに薄暗いほどだ。紅葉が美しい。黄色い葉がわうかな日射しを受け、星のようにかけそく光る。
 徐々に木が空いて、道が明るくなる。・・・・・・膝が震える。青いシューズで地面を蹴る。」

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富岡多恵子   「湖の南」(岩波現代文庫)

明治24年5月11日、ロシアのニコライ皇太子一行の行列に飛び込み、皇太子を切りつける事件が発生。犯人は行列防護にあたっていた滋賀県駐在所の津田巡査。その動機が不明のため、後年いろんな研究者や文学者が動機を想像した。司馬遼太郎も「坂の上の雲」で、この事件をとりあげ、津田巡査は狂信的な反ロシア主義者だったと結論付けている。
 司馬の欠点は庶民を見ず、常に指導者層や知識層しかみないこと。それと、その時代を今時代の文化、生活環境の視点でみてしまい結論付けるところ。
 津田巡査は指導層とは大きくかけ離れた駐在所の巡査、庶民の典型である。こんな人間が何々主義にかぶれるなど到底ありえない。しかも当時は世界や日本の地方で起きていることが瞬時にちかい状態で知れ渡るなどありえない時代。そもそも庶民が世界情勢など関心のない時代である。
 唯一の情報源は新聞。明治24年のころの新聞は、記事はスキャンダルや噂話が記載されているだけ。こういう時代背景をよく理解して、起きた事件を想像しなければならない。
 津田、もともとは下級武士。軍に徴用され西南の役に出征している。この役で、西郷隆盛は殺されたが、胴体しか発見できなかった。胴体もそのうち西郷のものかどうかも怪しくなる。そうすると、庶民の間や新聞では西郷隆盛はまだ生きているということが真実のように語られる。一番有力だったのがロシアに逃げ、ロシア軍にはいり日本にいずれ攻めてくる。しかもロシア皇太子一行は日本偵察が実は真の目的だと。
 こうなると津田は真っ先に西郷ロシア軍に殺されるのではないかとずっとひやひやしている。それならいっそと思い詰めても不思議ではない。

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世論調査にびっくり

今朝、中日新聞をみて本当かとびっくりしました。共同通信が安倍談話を受け世論調査をした結果がでていて、その結果にびっくりしたわけです。
とにかく、読売はしりませんが、最近の新聞は日本全国新安保法制に反対一色で、法制に賛成する人など皆無であるか、いたとしたら非人間非国民であるかのような記事が満載。
 特に自民党議員が、何か法制に関して発言すると、鬼の首でとったような非国民ごときのつるしあげに血眼になっています。
 そして安倍内閣支持率は40%をきり危険水域にはいったと。40%を割ったら危険水域というのは初めてききましたが。安倍内閣はこれからは凋落の一途をたどるという論調、雰囲気が作られています。
 で、今朝の世論調査(まあ、これをまるごと信じていいかわかりませんが)まず安倍内閣支持率が6%上昇し43%になり40%を回復しています。たたきまくった自民党支持率も上昇。安保法制反対の雄、民主党、共産党の支持率が下がっています。
 確かに安保法制の今国会成立に反対するひとは、中日新聞が太字で強調する通り、66%以上になっていますが、安保法制賛成は44%にのぼり反対を大きく上回っています。

 新聞テレビ週刊誌から受ける印象と調査結果の乖離は衝撃です。毎日これでもかと憲法違反、徴兵制がやってくる、アメリカにくっついて際限なく戦地にゆき、戦争をどこでもする国に日本がなるとあおりにあおりまくっているにもかかわらずです。

どうしてこうなるかはよくわかりません。新聞テレビはそれぞれに主張があることは構いませんが、記事や考えかたは反対、賛成両方をとりあげ、その後自論を展開するべきだといつも思います。扇情、感情はちょっとしたことでひっくり返ることが常、戦争反対の主張が戦争賛成にいつか変わるようで今のマスコミに怖さを感じます。

今日の産経を見ていると、安倍談話、植民地支配、反省、お詫び、侵略とも7月7日時点の原案にすでに入っていたそうです。
 ところが、報道の印象では、公明党の要請や、世論の動向を受けて、直前に渋々安倍首相がいれたようになっています。産経が正しいかどうかはわかりませんが、もし本当としたら、朝日、中日はとんでもない意図的、希望的誤報を創り上げていることになります。

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五十嵐貴久 「年下の男の子」

真っ赤な林檎は頬張りませんが、早食いだそうな。

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シリーズ2作目の「ウエディング・ベル」については爺やも感想を書いています。
良かったから続編があるんだろうな…と、1作目を入手しました。
さぁ今から彼の両親と対決するぜ、というところで終わっているので、続編を意識して書いたのかもしれないですね。

そこは男性作家なので、「こんな私が年下イケメンに迫られるなんて。どうしよう。あたしなんてあたしなんて」という自虐っぽいナルシシズムは控えめです。
しょっぱなから、ピアスじゃらじゃらコネ入社お嬢様が出てきて、こいつがライバルになるんだろうと思っていたら、違いました。
ヒロインのおばさんっぽさが出ています。
私は、給湯室で噂話に花が咲いたり、仕事中に化粧直しをしたり、職場の飲み会で一発芸をやらされたり、縁が無いです。
こういうのって、男性作家や働いたことのない女性作家の脳内だけにあるイメージだと思っちまうんですが、会社によってはあるんですかね?

続編は、そんなに読みたくないです。
・彼の両親宅に23時に押し掛ける。
・朝も昼もメールが来ているのに「何も考えたくない」と何日も無視(駆け引きでそうするよりはマシですが)。
・勝手に「彼は私よりあの子とお似合いよ」と判断して、二人きりになるようセッティング。
・年下同僚に、「彼に対してもっと積極的になってみたら?」と言ったその舌の根も乾かぬうちに、押し切られて彼と恋人同士になる。
・バツイチのイケてる上司に言い寄られて、一度はOKしたものの、「彼への愛に気づかせてくれてありがとうございます。私は、役員の地位が約束されているあなたに幸せにしてもらうより、契約社員の彼を幸せにしてあげたいんです」と振る。
この、37歳ヒロインの行動がどうしても受け付けない。
あと、24歳ヒーローがヒロインを呼び捨てにするのも、なんだか引っかかる。

3作目のタイトルが「かわいいベイビー」ということは、年の差カップルが結婚し、「リミットがあるから急がなきゃ」と妊活するんでしょうかね(;^ω^)

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山田詠美  「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」(幻冬舎文庫)

澄生と真澄は母の連れ子。創太は父の連れ子。両親からできた子は千絵。こんな複雑な子供たちがいる澄川家。だから、皆必要以上に明るく、元気をだして良い家庭、家族を演出しようとする。
 懸命に演出しているとき、長男の澄生が雷にあたって死んでしまう。そこから理想を目指した家族が一気に崩れる。まず母が澄生の突然の死に衝撃を受け、アルコール依存症になる。
父親の事業は失敗し大幅な縮小においやられる。そして、青春を迎えた真澄、創太、千絵。
真澄は外国人との不倫に走る。創太は50歳を超えたおばさんと恋に陥る。てんでばらばらでそれぞれが深い問題を抱える。そして、それぞれの親との血をめぐり兄妹の関係を悩む。その上に狂ってしまったアルコール依存症の母に振り回される。
 理想の家族が、たった一人の死でいとも簡単に崩れ、個々人の在り様がむきだしになる。
でもこの家族は、崩れた絆を復活させようと試みる。それが成功したかはこの物語では明かされない。
 この作品を読むと、家族という塊、絆が本当に必要なのだろうか。元々そんなものが人間社会に備わっているものなのか、特に子供たちが成人した後には家族は不必要なのではと考えてしまう。

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| 古本読書日記 | 15:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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溝口敦   「詐欺の帝王」(文春新書)

振り込め詐欺もそのひとつである特殊詐欺。表面化している被害額は昨年約560億円。今年はそれを上回る被害額で推移している。実被害額は表面化している額の4倍程度と推定され、それは暴力団のシノギで主流になっている覚せい剤取引額とほぼ同金額だそうだ。
 振り込め詐欺はもちろん暴力団が関与している場合もあるが、その中心は半グレ集団だそうだ。半グレ集団というのは、今もあるかどうか知らないが、バブルのころ流行ったイベサー(イベントサークル)を運営していた学生たちが社会へでて作った集団。
 まずは、ネットを使っての詐欺を行う。その方法は、2つ。一つはエロサイトに入ってくる人たちにたいし架空請求を行うワンクリック詐欺。もう一つは、即お金を融資するという
メールを不特定多数に流す。だいたいは50万円くらいまでの小口。そして5万円から10万円くらいを利子として請求する。被害者は知らないうちに元本の数倍を利子として支払う。
 これが母体になって振り込め詐欺が始まる。この作品では、その手口が明らかにされていないので、どうしてこうもたくさん詐欺にひっかかる人がいるのかはよくわからない。
 ただ、ものすごいお金が、銀行に設定した口座に振り込まれる。銀行口座に預けたままにしておくと、犯罪の足がつくので、即ATMより引き出す。これを、海外に持ち出すこともあるが、通常は、タンス預金にする。想像がつかないが、金を保管するためだけに、一軒家やマンションを借りる。保管場所がいくつもないとお金を置ききれないというのだから凄い。
 この作品に登場する詐欺元締めの本藤は、週9千万円の収入があるそうだ。とにかく使い切れない。投資などすると税務署や警察に目をつけられる。よくするのは、愛人と2人
ディズニーランドを朝の2時間とか借り切る。マンションからヘリを使ってディズニーランドを往来する。それでも、4千万円しか使えない。本藤は金を使えず困っている。

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| 古本読書日記 | 15:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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江國香織   「ちょうちんそで」

同じ本を読んでみたシリーズ その4

じいやの感想はこちら
じいやも、あとがきの綿矢さんも触れていますが、妹と縁が切れたエピソードが印象的ですね。

連絡を取ろうと思えば取れるはずなのに、それが無いということは、向こうは自分ともう関わりたくない、居場所を知られたくないと思っているということ。
探す方法はいくらでもある。スカイプやツイッターだってある。
でも、向こうが拒絶しているのなら、こちらから探すわけにはいかない。
そんな感じです。

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じいやは前に、江國さんの作品に出てくる高級な人びとの感覚についていけない、みたいなことを書いていました。
私も、前にアンソロジーで読んだ、女の子がフランスで失恋する話は「はぁ・・・そうですか」でした。

この作品も、タイトルや冒頭の「ミルクティーに浸すビスケットは、マリーではなくチョイスがいいわ」というエピソードから、どんなしゃれた話かと思ったのですが、平凡な人間もけっこう描かれていました。
スーパーマーケットのカート放置や、定年退職した旦那の自慢にいらだつ奥さんが、いい味出しています。
清楚な奥さんが、若いころに乳首を星で隠すグラビアに出ていたとな。今でもあるんだろうか(´・ω・`)
もちろん、雛子が住むのは高級老人マンションだし、失踪した飴子が暮らすのはカナダだし、味噌や畳の匂いがする話ではないです。

登場人物に「正直」という名前の人間がいて、読みづらかったです。
「正直には言えない」・・・これは、ショウジキなのか? 名前の方か? と、出てくるたびに立ち止まらなきゃいけない。

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たまには猫写真を

脱走癖があるので、首輪を装着。
13歳になりますが、落ち着きのないももこ。

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イオンで購入しました。猫用は、引っかかったとき首が閉まらず外れるよう、工夫されたものが多いのですね。
鈴は無しにしました。

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・・・。

実は、我が家に来たばかりの頃も首輪をつけていました。
こんな感じ。

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眼をパッチリ開いている姿を、しばらく見ていない気がする。
病気だといわれたことは無いですが、よく片目をつぶってもいます。
まぁ、元気だからいいか。

おまけ。
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茶々丸の首輪はカインズ。ももこのより安いです。

彼女は脱走しないので不要。最近、毎日腹を出しています。暑いからねぇ(;・∀・)
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| 日記 | 08:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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湯本香樹実   「岸辺の旅」(文春文庫)

湯本香樹実   「岸辺の旅」(文春文庫)
知らないうちに家出して、行方知らずになっていた夫が3年ぶりに帰ってきた。
どうも夫は、海で溺れて、蟹に食べられ死んでしまったらしい。それから、夫はどこを彷徨っていたのか夫自身もわからないのだが、とにかく3年ぶりに家に帰ってきたのだ。
 そして、夫は、自分が彷徨っていた道を遡るのだと言って主人公の妻を連れて旅にでる。
死後夫がさまよった、新聞販売店、中華食堂、タバコ栽培農家を訪れる。そこにも夫と同じようなすでに死んでしまった人がいる。
 どこの家も、みんな優しく、いつまでもいなさいと言ってくれる。そして、妻は夫とどの家にもずっといたくなる。夫との愛を夫が生きていたときと同じように確かめたくなるからだ。そんな気持ちが起こる度に、夫は次の場所に行こうとまた放浪の旅にでる。
 そして、最後に夫と愛の交歓が実現する。
 その愛の確かめ合いが終わると、白鳥の群れの一員となって夫は去っていく。
湯本には死んだ人が見えるのかもしれない。見えない私には、あまり楽しい作品ではなかった。

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| 古本読書日記 | 16:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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高野秀行  「イスラム飲酒紀行」(講談社文庫)

会社にいたころ、仕事でアメリカ ジョージアの小さな町に行った。夏の盛りで40度にもならんかなというくそ暑い中仕事をしてホテルに戻り、まずビールと思ったら、ビールをホテルが置いてない。ドライカントリーの町で、アルコール類の販売が禁止されていた。
 あれほどショックを受けたことはなかった。ホテルの近くのレストランでステーキを食べたが、一緒に飲んだ飲み物はコーラ。ホームシックに初めてかかった。
 イスラムはアルコール飲酒を戒律で禁止している。この作品はそういう国々を訪ねて、酒を飲もうという作品である。
 しかし、現在はイスラム国といっても、飲酒にゆるい国が多いし、海外からの訪問者にアルコールを提供しないという国は殆ど無い。だから、どの国でも飲酒はできる。で、高野は
いかにも飲酒不能なような特殊な場所にでかけ、酒を手に入れ飲もうと頑張る。
 これは無理すぎる。酒は街のいたるところで飲めるのである。それを大変な思いをして酒にありついたなどと言われると何だかテレビのやらせを思い出してしまう。
 昔のように冒険真っ向勝負の高野に会いたい。

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| 古本読書日記 | 16:23 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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川上弘美「おめでとう」

現実離れした不思議な作品たちもいいですが、「冷たいのがすき」もなかなか良かったです。
40代半ばの妻子ある男が、30代半ばの女と不倫関係にある。
女は、
「不倫ではなく、『公式でない恋愛』という言い方をして欲しい」
「クリスマスには、蕎麦屋やうなぎ屋で過ごしたい。あいびき客の多い場所で食事をしたくない」
「自分は、ガラスの靴が脱げないシンデレラだ」
「若い人は、あなたみたいに『悪さをする』『犯す』とか、ベッドの上で言わないのかな? 若い男性と付き合ってみようかな」
などと言う。
もう若くない女が、思い切って不倫相手との関係を清算・・・・・・みたいな、ありがちな話にならないのが川上さんらしいと思いました。
何も解決していないし、事件が起こるわけでもないけれど、このテーマ(関係)でいやな感じにならないのは、作者の力なのかなと。

あんまり、幸せな雰囲気の話はないですね。不倫とか裏切りとか未練とかそんな感じで。
私は、さだまさしさんの曲では「まほろば」とか「飛梅」とか好きなんですが、川上さんはああいう男女の姿をちゃんと思い描くことができ、それを表現するいい言葉が浮かぶのだろうと、ふと思いました。
思い出という落ち葉を集める女とか、再び戻る今日はないとか、
自分同士が坂ですれ違い一人は光の中へもう一人は闇の中へとか、そういうあれこれですね。
桜のうろに住み着く男を書く彼女なら、黒髪に霜が降るまで待つ女や風に乗って一夜で男のもとへ飛ぶ女だって、さらっと書くのかもしれない。
私は、きれいな表現だと思いますが、何がどうなってそうなったのかはわかりません。

| 日記 | 01:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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川上弘美   「なめらかで熱くて甘苦しくて」(新潮文庫)

正直難しい。理解できない小説である。巻末の辻原登の解説がまたよくわからない。
短編5編。最初から、性への目覚め、恋愛、妊娠出産、大人の恋愛描かれる4編まではなんとなく理解できそう。しかし、最後の作品は宇宙的性愛のようでもあり全く読んでいても理解できない。
 印象に残ったのは、動物的性の特質の説明と、人間も動物的特質を持っているくだり。
猿の雌は真っ赤なお尻をだして四六時中雄を誘う。しかし、子供ができてしまうと雌猿は雄に見向きをしなくなる。カマキリは交尾が終わると雌は雄を頭から食べてしまう。
 子供ができるまでは、相手の男を好きで好きでたまらない。常に抱かれていたいし、貪るように愛し合いたい。ひたすら子供を求めるように男も女もできている。避妊具なんか使うことも厭う。
 それで一旦子供ができてしまうと、互いに好きなことには変わりないのだが、いつでも、どこでも抱き合っていたいという情熱は急速にさめる。体の関係も義務となり、行為もおざなりになる。人間も他の動物と同じなのである。

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| 古本読書日記 | 15:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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岩井志麻子  「月夜に鴉が啼けば」(幻冬舎文庫)

今は、朝から晩まで、定年を過ぎた大人中高年や老人たちが、健康のためにとウォーキングやジョギングをする。
 やっぱり、人間はいつか死ぬことがわかっていて、できるだけ長く生きたいからウォーキングやジョギングをする。
百歳までとは言わないが、平均寿命は越えたいと思うから。
 人魚の体を食べたら、800歳まで生きることができると言う。もし、今頑張ってジョギングをしている人たちが800歳まで生きられるとしたら、あんなに懸命になってウォーキングやジョギングをするだろうか。65歳で定年。後は自由に自分の生活を楽しんでくださいとなったらどうしよう。何しろ人生後735年も生きねばならないのだから。
 そうなれば人生は楽しいものか、それとも苦痛になるのか。下手をすると自殺者ばかりになるかもしれない。

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| 古本読書日記 | 15:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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窪美澄「アニバーサリー」

同じ本を読んでみたシリーズ その3

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爺やの感想はこれです。

一気に読みました。
窪さんは、白石一文さんにプッシュされていた気がする。だから、まぁ、重めです。「どう生きるべきか」「なぜ死んではいけないのか」「この世界に希望はあるのか」みたいな。
読む前にちょっと覚悟がいりますね。余裕があるときに読むことをお勧めします。

単に、お節介なおばあちゃんたちがシングルマザーに干渉する話ではなく、二人の女性の過去をがっつり描いています。
「津波後の映像と、東京大空襲後の焼け野原を結びつけるのか。へぇ~」って感じ。
薄っぺらい話ではない。あとがきを読んで、脇役たちもしっかり作られているんだと理解しました。

率直な感想は、「産まなきゃいいじゃん」です。
「薄々気がついてはいたのだ。確認するのが怖かった。初めて産婦人科を受診したとき、もう中絶できない週数になっていた」
破滅のにおいしかしない。
10代ならまだしも、30歳過ぎている設定ですぜ。愛人を何年も続けてきた後ですぜ。
もちろん、中絶は殺人です。が、トラウマ盛りだくさんで、真菜が精神的に不安定なことがびしびし伝わってくるのですよ。
産んでしまったら取り消せないのに、よくその状況で産もうと思えるなぁ。それだけヘビーな家庭で育ったら、産みたいと思わなくなるんじゃないのか? とひっかかってしまう。

定年退職した60代男性(爺や)は、
「シングルマザーと言って、特別に大変、肩身が狭いなどと思ってはいけない。普通に生きていけばいいのだ。多くの女性に読んでもらいたい作品だ」
なんて書いても、アラサー女性(私)はそんなにすんなり思えない。
「産み育てられる状況にある人、ある程度自信や余裕のある人が産んだほうがいい」と意地悪く(?)考えてしまう。
そんなものです。だから、爺やは「孫が見たい」とは言いませんw

| 日記 | 23:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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